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第74話 Popularity and Picori

 満月家にて。

 六姉妹はただ今夏休みという訳で、自宅で暇をしていた。

「ふんふふふーん、やっぱり『FALSE』は解散したのが惜しいバンドだなぁ……」

 その中で、四女ピコリはリビングでスマホ片手に、大好きなバンドのPVを視聴していた。

 そこへ次女、マジナがやってきて、彼女に告げる。

 

「ピコリー、君に言いたいことがあるんだけど」


 ピコリはイヤホンを外して、

「え、何?」


 マジナの淡々とした言葉を聞く。

「『本作の調査レポート』によると、私達六人の中で、ピコリが一番人気がないんだって」


 これにピコリはひどく驚かされる。

「ええええ!? ちょっ、待って、ウチが人気最下位!? それ、どこソースよ、それ!」


「だから、『本作の調査レポート』っていう、作者が連載一周年を踏まえて、これからどうやってこの作品の人気を伸ばしていこうか考える材料にするためにとまとめたレポートだよ」


「ウチらの作者ってそんなマメなこと出来るの!? あっちこっちにある誤植もほったらかしにするぐらい大雑把な人だと思ってたんだけどウチ!?

 で! そのレポートの調査方法は何なの!? 読者アンケート? 閲覧数分析?」


「作者の手応え」


「やっぱり大雑把じゃーん! うう……どうしてそんな杜撰な成り行きでウチが不人気キャラにならなきゃいけないの……しかもそれをどうしてウチのメイン回で言われなきゃいけないの!」


 ここでコーリンもやってくる。

「なんせこの作品、ブックマーク数が十五しかない(2020年12月20日集計)からな。

 アンケートなんかやっても人が集まらんだろうし、閲覧数の分析もサイトの仕様がめんどっちいからしたくてもできねーんだよ。だから『手応え』っていう秤でピコリが一番不人気になった訳だ」


 ピコリは悲しげに言う。

「ウチ、この作品にいっぱい貢献してきたつもり何ですけど……メタ発言キャラとか、パロディ発言キャラとか、ツッコミキャラとか、いっぱいキャラ持ってこの作品盛り上げてきたつもりなんですけど」


 さらにユノスが現れて、ピコリに言う。

「けどピコリお姉ちゃんのパロディ発言キャラって、何か弱いと思うよ。だって『SAFハイツの三〇二号室(※第8話参照)』とか『おいパイ食わねぇか(※第68話参照)』とか、今時のライトノベル読者の年齢層にわかりづらいネタが多いもん」


 続けてサバキも現れて、ピコリに言う。

「ツッコミキャラの方も、自分や母さんで事足りているんだぞ。ピコリだけが誇るもなかろうに」


 ピコリは思う。

(おまけにメタ発言キャラも、なんかさっきからみんなに盗られてるし……踏んだり蹴ったりじゃんウチ……いや、でも)

「でもさ、出番は多いじゃん! 多分この作品で一番お話に出てるの、ウチだと思うよ!?」


「だと思うかい、姉御?」


「いや。確かに出番は多いが、活躍が浅くねえか? 例えばあの母さんが社長になる話(※第28話〜第32話参照)で、オレとマジナとルシェヌが大立ち回りしてる最中、お前ほとんどビビって隠れて、最後の一撃以外出番なかったじゃねえか」


「自分もそう思う。この前の生徒会選挙(第70話〜第72話参照)の時も、ルシェヌが立候補者から外された後、急にフェードアウトしただろ」


「それは、もうウチに出来ることがなくなったからで……あと、ひょっとしたら、この後ウチがメイン張る大長編が来るかもしれないじゃん! 『六人の娘が異世界から帰ってくるだけの話 ――When in different world do as the different worldns do―― 無限列奏編』的な感じで!」


 ユノスは言う。

「そういう大きすぎる願望持つと、後で後悔するよ」


 続けてコーリンも言う。

「だとしても、ピコリが今不人気なのはどうあがいても不可避な現実だしな」


「うう……じゃあ、ウチはこれから、どうやって読者人気を稼いでいけばいいんですか……」


「ふふふ、その人気キャラの極意、アタシが教えてやろうなのじゃ!」


 そしてついに、ルシェヌが現れる。


「おっ、ついに真打ち登場と来たねぇ。ピコリ、あのレポート調べで、本作一の人気キャラ、ルシェヌがやってきたよ」


「ルシェヌが人気ナンバーワンだったの……で、何だっけ、人気キャラの極意を教えてくれるんだっけ?」


「そうなのじゃ。今まで魔王であるアタシにあれこれ口出ししてきた仕返しに、今日はアタシが上からビシバシ貴様を指導してやるのじゃ」


「その口出しって多分『正論のこと』だと思うんだけど……

 けどこのまま不人気キャラのまま終わるのは嫌だし、仕方ない、今回貰ったウチのメイン回は捨てよう。とにかく、人気キャラの極意、教えて下さい!」


「それでいいのじゃ。じゃあ、早速色々教えていくぞい!」


《ピコリでもわかる! ルシェヌの人気キャラのなり方講座 1.『口癖』》


「人気キャラには必ずと言っていい程有名な台詞があるのじゃ。『真実はいつも一つ』とか、『お前はもう死んでいる』とか、『何が嫌いかより何が好きかで自分を語れよ!』とか、『すっごーい! 君は○○のフレンズなんだね!』とか」


「それ原作で一回しか言ってなかったり、そもそも実は言ってない台詞のどっちかなんだけど……てか、かくいうルシェヌに名台詞ってあったっけ」


「それはわからんのじゃ! けーどー、『〜のじゃ』とか、そういう印象的な喋り方はあるじゃろ? 貴様も、そういう風な言葉を言えば、多分人気が出ると思うのじゃ」


「要するに『口癖』を考えろってことか……えー、ウチに合いそうな口癖……初めましてだっピ! ウチは満月ピコリだっピ! ……的な感じ?」


 ルシェヌは言う。

「そうそう、そんな感じで合ってると思うのじゃ」


 続けてマジナが言う。

「いいんじゃない。ピコリっぽくて。なんかドラゴンのコスト二下げられそう(ただし一以下にはならない)な感じもしてるし」


「ありがとうだっピ! でも、何かしっくりこないっピ……だからあと五話くらい模索させて貰うっピ」


《ピコリでもわかる! ルシェヌの人気キャラのなり方講座 2.『目的』》


「人気キャラっていうのは大抵すごい目的を持ってるのじゃ! 『復讐』とか、『野望』とか」


「ルシェヌの目的は奇抜すぎだっピ。

 しかもこの作品日常系だから、そういうすごい目的持ったキャラいらないような気がするんだけどっピ」


「ところでピコリ、貴様の登場人物設定を拝見したら、好物はラーメンとカフェオレって書いてあったぞい。今後はこれを猛質するキャラになってみたらどうじゃ?」


「ああああ、カフェインが足りないぃ、塩分が足りないぃ! もっと、もっとラーメンとカフェオレを寄越せっピ! さもなくばウチは貴様らを皆殺しにするぞっピ! ……いや、これは流石におかしいだろうっピ!」


 ルシェヌはピコリに拍手を贈りながら、

「そうそう、そういうのでいいのじゃ。すごいキャラが立っているぞい」


 同じく、コーリンも拍手を贈りつつ、

「少なくとも、前のビビリキャラよりは進歩してていいと思うぜ!」


「あ、ありがとうだっピ……こんなキャラ日常系作品に居たらおっかないの極みだと思うけどっピ」


《ピコリでもわかる! ルシェヌの人気キャラのなり方講座 3.『下ネタ』》


「いやちょっ、ちょっと待つっピ! 何このサブタイはっピ!」


「読んで字の如く下ネタだぞい。

 よくよく考えてみるのじゃピコリ。何故こんなに女の子がワチャワチャいる作品の中で、何故貴様は下ネタ的な言動を取らないのかえ。普通ヒロインに一回ぐらいは何かエロいシーンあるのに、これまでの話全部振り返ってみたら、貴様だけそういうのはなかったのじゃ」


 マジナは言う。

「そうだよ。折角この作品R-15規定つけてるんだから、もう少し下ネタに走ってもいいと思うよ」


「ウチの作者、下ネタに走りすぎてBAN食らった作品があるから、あんまりそういう路線避けていったほうがいいと思うだっピ……あと、下ネタないキャラと言えばユノスもいると思うんだっピ」


「ボクは第8話でスカートめくれたし、第22話でマジナお姉ちゃんにおっぱい揉まれたもん」


「よって、下ネタ要素皆無なのは貴様だけなのじゃ、ピコリ。というわけでピコリ、ここで一発駆け出しとして、なんか下ネタ言ってみるのじゃ」


「……はい、わかりましたっピ……ああ! あのバンドのドラマーのドラムスティックペロペロしたいっピー!」


 サバキは言う。

「……今の、下ネタなのか?」


 マジナは言う。

「多分ドラムスティックから『ドラム』外せば十分下ネタになってたと思う。それと多分読者が求めてる下ネタってそういうことじゃないと思う」


 総括して、ルシェヌは言う。

「つまるところ、ピコリが人気キャラになるのはまだまだ先のようじゃな。シーズン2もあと23話しかないから、それまでに頑張るのじゃぞ、ピコリ」


「は、はいだっピ……そして、いい加減メタ発言キャラだけ返して欲しいっピ」



「ピーコーリー、おーきーてー、ピーコーリー!」


 ピコリはゆっくりと目を開けると、目の前にはチヨがいて、室内には夕食の香りがただよっていた。


 耳にはイヤホンがついていて、スマホはまるで記憶にない野郎どもがプールに飛び込む動画が映されていた――要するに、ピコリは寝落ちしていた。


「ご飯の時間だよ。ピコリ」


「……結局夢オチだったっピかぁ!? ウチのメイン回だったっていうのにだっピ!」


「……ピ?」

 チヨはピコリの語尾にひっかかり、首を傾げた。


 なお、作者は調査レポートなんて物は作ってませんし、誰が人気あるかどうかなんてさっぱりわかりませんし、別に知ったところでどうとも思いたくもありません。


【完】

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