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第73話 曹周編の襲来

 七月末日。

 大半の学生が待ち望んだであろうイベントが、某県某市にある百式高等学校に訪れた。


「以上をもちまして、終業式を終わります。生徒の皆さん、くれぐれも大事の無いように夏休みをお過ごしください」


 終業式、イコール『夏休みの始まり』だ。


「うっしゃー! 休みだ休み! テンションあがるぜ!」

 放課後、コーリンは帰宅最中に、こんな感じで大喜びしていた。


 同じく、ルシェヌも子供みたいに――もとい平常運転ではしゃぐ。

「わーい! 休みなのじゃ休みなのじゃ! これでお母さんと遊び放題なのじゃー!」


 二人の喜び様にユノスはツッコむ。

「二人とも、道中で騒ぎ過ぎだと思うよ」


 さらにマジナは言う。

「けど休みと言われたら、やりたいホーダイになるから喜んじゃうのもしょうがなくないかな?

 ルシェヌは帰宅部かつ、母さんが恒常でいる訳ないから、確かにはしゃぎ過ぎだと思うけど」


 サバキは珍しくマジナに同情して、

「自分も休みは素直に嬉しいな。自分は生徒会で色々あったから、多少疲れを癒やさねばなるまいし」


「あと今日でウチら連載一周年だから、一年分の活躍疲れが溜まってるしね」


 ピコリの戯れ言はさておいて数分後。六人は家に着く。


「おかえり、みんな」


「お邪魔してます。皆様」


 と、六人の母親、チヨと見知らぬ少年が迎える。


 ピコリはその少年が目に入るや否、即、チヨに尋ねる。

「え、その人誰? 連載一周年からの新レギュラーキャラ?」


「違うよ。今日から一週間、うちにホームステイする……」

「皆様始めまして。中国から来ました、曹周編そう・しゅうへんといいます。しばらくの間よろしくお願いします」


 時間は夜に飛ぶ。

 満月家の七人と曹君は夕食を交え談笑する。


「へぇ、父親の七股が原因で六人のほぼ同い年の娘さんがいるなんて面白い家庭ですね」


 この曹君の台詞に、チヨは苦笑して、

「そうなんですよ曹君、本当にあの人はとんでもないことをしてくれたと思います」


「それに、みなさん見るからに性格もバラバラで……皆さん高校一年生ですよね。チヨさんはよくここまで育てあげましたね。凄いです」


 チヨはまた苦笑して、

「ははは、どうも……」


(約九年はあたしが育てたんじゃないけどね)


 ここまで一年間、本作に付き合ってきた熱心な読者なら絶対不要だと思うが念のため――ここで一つ解説を入れるとしよう。


 六人は幼い頃、その出自からいじられ、現実逃避で失踪した……かと思われていたが、実は六人はそれぞれ別な異世界に転生し、九年の時を経て、現実に帰ってきたのである。


 六人がそれぞれ尖った性格(※ピコリを除く、また今は作中時間も大分経っているため幾分か丸くはなっている)をしているのと、異能(※ピコリを除く)を持っているのは、このためだ。


 それとこの際なのでここで記しておく。

 この回は以降、会話以外のアクションが起こらないので、俗にいう『台本形式』で話を進めていく。


曹君「で、これだけ個性的な面々が揃っていたら、結構揉めごととかも多いんでしょうね?」


チヨ「うん、揉めごと多かったね」


コーリン「そうだな。一番ひどかったのは六人全員で火花バチバチ言わせて大喧嘩したことだな」


曹君「大喧嘩!? 一体何が原因でそうなったんですか!?」


チヨ「あたしが社長になる云々で、そうなりました」


曹君「社長になる云々で!? そういえばチヨさん社長でしたね!? へー、このすっごい大きい家は、姉妹同士が血を流して出来た物なんですね……」


ピコリ「あ、血は流れてないです。うちの作者グロ苦手なんで」


ユノス「けどボクは思い切りぶん殴られたよ」


曹君「皆様にお聞きしたいです。お母さんが社長になって、他に困ったこととかありましたか?」


ルシェヌ「そりゃあ山ほど困ったのじゃ。

お母さんの帰りが遅くて、お帰りのチューが出来ないから、ネットカフェで三時間ぐらいヒマしたりしたのじゃ」


コーリン「あとやたらとバケットっていうクソ固いパンを持ってくるんだよ。オレとルシェヌで新しい食べ方考えたが、結局『飽きたの極み』になったな」


マジナ「それと一回、みんなで母さんが運営するカフェのオープニングスタッフやらされたよね。あれはあれでそれなりにやりがいあったけど、色々大変だったよね。私個人だと、あちこちのカフェのコーヒーの味を調べにいかされたりしてさぁ」


チヨ「そうそう、あの初日オープンの日は大変だったよね。ま、あたしは社長だから常に忙しくて大変だけど。あと特別大変だったのは、ユノスの漫画の取材に付き合わされたことかなぁ?」


曹君「ユノスさんは漫画を描くのが趣味なのですか?」


ユノス「趣味というより仕事だよ。もう二回ぐらい連載経験あるもん。その分打ち切られたけど」


曹君「なるほどですね。そういえばみなさんの趣味は何なのですか」


コーリン「そりゃ言うまでもなく女の子とイチ……」


サバキ「おいコーリン殿。お前、お客様の前だぞ!」


コーリン「じゃなくて……ジョギングとかスポーツ全般だな。あと、やっぱり騎人バスターだな!」


曹君「騎人勇傑ですね! あれ中国でも人気で、僕も好きで全シリーズ観ました!」


コーリン「そうか! なら騎人バスターアロウズも観てるよな!?」


曹君「はい、熱いですよね! あのサンシイッタイフォームに変身した時のシーンは特に!」


ピコリ「特ヲタ同士盛り上がって何よりだね」


曹君「このままコーリンさんばっかりに構うのはあれなので……かくいうピコリさんはどんな趣味がありますか?」


ピコリ「あ、ウチは音楽鑑賞が趣味です! 特に、今は解散しちゃったスクリーモ・バンド、『FALSE』が好きです!」


曹君「じゃあ次は、マジナさんはどんな趣味がありますか?」


ピコリ「ちょっ、曹君、ウチに対しての掛け合いは無い……」


マジナ「言うまでもなくエッ……」


サバキ「言ったら……わかるよな。マジナ殿」


マジナ「カードゲームが好きかなぁ? あと、カフェでスマホ触ることとか」


曹君「やっぱりそう来ますか。何となくマジナさんって、知的なイメージありますから、確かにカードゲームやってそうです」


マジナ「そうそう、カードが好きなんだよねぇ、私。一回相手の体臭と不潔さにやられたり、優勝景品が貰えなかったり、あとカードにボコボコにされたこととかもあったけど」


曹君「カードにボコボコ……? そ、そうですか。色々大変そうですねぇ……? では次、サバキさん」


サバキ「新聞のパズルとか、ワイドショー番組を見ることとか、だな」


コーリン「お前そんな趣味あったか? 二十四時間俺らに説教してるイメージしかないぞ、オレ」


ピコリ「確かに、新聞のパズルとか、最初の『登場人物』の項目で触れられてるだけで、未だにやってない気がする」


ユノス「それと、悪い人をボコボコにしてるイメージもするよ。迷惑なお年寄りとか、暴力団とか」


曹君「な、なんかおっかない人ですね……サバキさんって」


チヨ「うわ、みんなのせいでサバキが怖がられちゃった……」


曹君「では最後に、末っ子のルシェヌさんの趣味は何ですか?」


ルシェヌ「末っ子……ちょっとその呼び方は傷つくのじゃ……」


ピコリ「紛れもない事実でしょ」


ルシェヌ「このアタシの趣味は、当然『お母さん』なのじゃ!」


曹君「お母さん……!?」


ルシェヌ「なのじゃ! 朝昼晩お母さんのこと考えて、いざお母さんに合う時は思いっきり大好きするのじゃ!」


チヨ「……サバキ、これは止めなくてよかったの」


サバキ「別に過激な内容ではないと思ったのと、どうせルシェヌのだからなと思ったから、看過した」


曹君「な、なるほど、すごい、親孝行な娘さんですね……そそそ尊敬しますっ!」


チヨ「うわ曹君引いちゃったよ。とにかく、これがあたしたち、満月家です。こんな個性的なメンバーで、ワイワイ暮らしてます」


コーリン「サバキは家具屋で人をダメにするソファにダメにされるし」


マジナ「ピコリは映画のネタバレ食らって大暴れするし」


サバキ「ユノスはヘンテコな映画を一日中観たりするし」


ピコリ「ルシェヌは半日ぐらいトイレに軟禁されるし」


ユノス「コーリンお姉ちゃんは両手捻挫して、治ったら今度はとんかつで喉をやるし」


ルシェヌ「マジナはカードスリーブとやらを、お気に入りのカードのために、血眼になって選んでいたりしてたのじゃ」


チヨ「……と、いった感じで、ドタバタやってますので、曹君、これから一週間、よろしくお願いします」


六人「「「「「「よろしくお願いします」」」」」」


曹君「は、はい……覚悟しておきます」


地の文「それから曹君は、満月家の奇天烈な六人に畏怖しながら一週間を過ごし、ホームステイを終えたのだった」


【完】


ピコリ「……だけど、この後ウチらの作者から、連載一周年のメッセージがありますので、興味があれば続けてスクロールお願いします!」

 なんやかんだ愛されてるのか愛されてないのか実感ありませんが、とにもかくにも本日で、無事『六人の娘が異世界から帰ってくるだけの話 ――When in different world do as the different worldns do――』は連載一周年を迎えました(厳密に言いますと四ヶ月ぐらい休載期間挟んでますが)。


 詳しい思い出話はまた今度にして、よくもここまで本作を皆様に押し売り出来たなぁ、かつ、PVもポイント数も歴代作品ブッチギリナンバーワンに育てあげられたと、我ながら思います。

 

 それと同時に、この73話を持ちまして、シーズン2は折り返し地点に達しました。 

 ですので、これからもいるかいないのかわからない読者様のために、残りの約24話を駆け抜けていくかつ、『四人分の宿題』を片付けていきたいと思います。


 御託はこれくらいにしまして、ここまで付き合ってきた、虚構と現実の間にいるファンの皆様、あるいはただの冷やかし様、今までありがとうございました。そして、これからも本作の応援をお願いします。

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