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第36話 満月姉妹withゲーム 〜FPS編〜

「皆様、こちら本日の昼食となっています」


「ありがとさん、アザレアさん」


 六人はアザレアから配膳されたインスタントラーメンを食べながら、ゲーム機『BC5』によりテレビに映された、動画サイトの動画を眺める。


「ほんといいな、ゲーム機って! ネットにあげられたコント観れるしよ!」


 ピコリは、ラーメンの熱を体外に出すがてら、ため息を吐く。

「道草食いすぎてお昼になっちゃってるし。 ねぇ、コーリン姉さん、まだこれ、ゲーム機としての役割果たせてないよ……午後こそはゲームしようよ、さもないとロスイさんに申し訳ないから」


「そうだな、よし! ぶっ壊れるぐらい遊んでやるか!」


「それはそれで迷惑だよ」


 数分後、アザレアに食器洗いを任せ、六人はゲームに向き合う。


「始めに入れたゲームは、『ヴァーテクス・ガンナーズ』、この界隈では名の知れたFPSだよ」


「FPSって何かえ?」


 ここで一つ解説を入れるとしよう。

 FPSとは(ファーストパーソン・シューティングゲーム、もしくはファーストパーソン・シューター)の略である。

 操作キャラの視点でゲーム内を移動し、主に銃などの遠距離武器を用いて戦うゲームを指す。


「えっと、確か……とりま銃使って戦うゲームって覚えといて! どうせみんなはやった方が覚え早いだろうし」


 ただし、ここ最近では今ピコリが言ったように『銃使って戦うゲーム』のように、もっさりと使われている言葉でもある。

 実際作者も『F』で始まるあのゲームをFPSって呼んでしまっている。


「じゃ、誰やる?」


「オレだ、一番乗りはとことんやらせてもらう!」


 コーリンはコントローラーを握り、ゲームを開始する。

 すると始めに、プレイヤーキャラがヘリから孤島に放逐される。


「おい、いきなり空から落っこちてるぞ!? 大丈夫か!?」


「大丈夫、ある程度陸に着くとパラシュートが開いてゆっくり落ちてくから。で、そっからその島にいる他九十九人の敵プレイヤーを倒して、最後の一人を目指すんだよ」


「ほう、そうか。なら、とっとと他の連中をぶっ殺せば終わるのか。なら話が早い!」


 パラシュートが開いた所で、コーリンは滑空し、近場の街の方へ着陸する。


「街の方には人がいっぱいいるはずだ。ここならいっぱい敵を殺せる」


「おー、流石姉御、いい観察眼してるね」


 さらに、運のいいことに、コーリンの視界内で、いそいそとコンビニに入っていく他プレイヤーがいる。


「手始めに奴を殺そう。丁度手にはナイフもあるし、これで一突きだぜ」


 コーリンは敵の後を追い、そしてコンビニ内で斬りかかる。敵に十ダメージをちびちびと与えていく。


「よし、先手は取った、ならオレの勝……」


 敵プレイヤーは咄嗟に振り向き、手にしたマシンガンでコーリンを蜂の巣に。

 そして画面に『LOSE』の文字が表示される。


「おいおい! どうしてこちらが先にへばるんだよ! オレは確実に奴を斬ったぞ! 説明しろピコリ!」


「これ、銃のゲームだからさ、銃器のほうがえこひいきされてて、攻撃力高いの。だからナイフとかで切りかかっても屁でもないわけ」


「ああそうかい、ったく、さっきの野郎はさぞかし心地よかっただろうに……あんな小銃手にした程度でよ」


 コーリンは、マジナにコントローラーを放り投げるように渡す。


「マジナ、次はお前がやれ、順繰りにやろうぜ」


「えー、待って、私もっとゲームの概要を把握したいな。てなわけで、はい」


 マジナはそれを直ぐに、横のサバキへと流す。


「銃撃戦なら幾度と訓練のネタにされてたから間に合っているというのに……ピコリ、やるか?」


「ダメだよ。ロスイさんは『みんなで遊ぶため』にこれをプレゼントしたんだから。多少はやるのが礼儀じゃないの?」


「だな。さぁて、他九十九人を排除すればいいんだな……」


 サバキもコーリンと同様、適当な街に着陸する。


「さて、『銃は剣より強し』という言葉を知らないコーリン殿と違って、自分はすみやかに銃器を拾うとするか」


「うるせぇ、世界が異なるだろうが世界がよ」


 サバキは街中をうろつき、銃を探す。しかし、どこにも銃は落ちていない。


「当然と言えば当然だが、街中に銃は落ちてないか。

 そういえば、先程コーリン殿を撃ち殺した奴はコンビニにいた時点で銃を持っていたな。なら銃はコンビニにある……?」


 己の推理の元、サバキはコンビニにかける。だが、既にもぬけの殻であった。


「おかしい、コンビニに銃器はないのか?」


「先取られたんでしょ? けど考え方はあってる。銃器は建物の中に入ってることが多いから」


「建物の中……どこの?」


「建物全部だよ」


 サバキはそれに頷き、一番近くにいた家の玄関に立つ。


「よし、ここに銃器が……」

 

 サバキは、そう呟いて以降。まともにコントローラーを動かさず、そのまま自キャラを玄関前に立たせっぱなしにする。


「……サバキ姉さん、銃取らないの?」


「待ってくれ、今これが不法侵入に至らないか考えているんだ。あと窃盗にもならないか」


「ならないならない、だってこれゲー……」


 そして、そうこうしている間に、サバキは通りすがりの敵に、ショットガンでヘッドショットされてしまった。


「ほらー、さっさと中入って武器とらないからー」


「いや、そもそも何故この島に放られた百人は戦わなければならないんだ? そして何故それを助長するかのように各地に武器がばら撒かれている?」


「考えちゃだめ、考えちゃだめ」


 コントローラーは『ウチは前の世界でやったことあるから』とパスしたピコリと、マジナと同じく観察したいと保留するユノスを挟んで、ルシェヌの手に渡る。


「うっし、ぶっ殺してやるのじゃ!」


 ルシェヌは持ち前の魔王スピリッツで、街に降りて即、家に入り、落ちてるだけの武器を拾う。


「何かいっぱい種類があるのじゃ? ピコリ、教えよ!」


「ピストルは威力も連射力も距離もまあまあ、マシンガンは連射力がある、アサルトライフルは距離がある、ショットガンは威力がある、これぐらいでも覚えていくといいよ」


「よくわかんなかったが、とりあえず誰かぶっ殺せればそれでいいのじゃ」


「なら聞かないでよルシェヌ」


 その時。ルシェヌの前で敵が横切る。


「うっし、奴を殺すのじゃ! うおおおお!」


 と、ルシェヌは威勢よく、敵に突っ込み、ある程度近づいた時、アサルトライフルで当人の脇から乱射する。

 この奇襲はかなり効いたらしい。相手はHPが半分くらい削られた所で、大幅に遅れて反撃を開始した。


「もう遅いのじゃ、このままとっとと押し切ってしまうのじゃー!」


 だがここで、背後から第三者が乱入。そして流れるようにルシェヌと彼女の相手を両方、ショットガンで仕留めた。漁夫の利とはまさにこのこと。


「ひ、ひどいのじゃこの野郎! こっちは必死で奴と相手してたというのに!」


 ルシェヌは怒りのあまりコントローラーを床に投げつける。

 それをマジナが滑り込んでキャッチする。


「けど、君も君だよ。あんなに(銃)声を響かせてやり合ってたんだ。そりゃ『三人目に混ざってどうぞ』って誘ってるようなものだよ?」


 マジナはコントローラーを構え、画面に向き合う。


「今までのを見てだいたいわかった。何をすれば最後の一人として生き残れるのかってね」


 マジナは今までの三人同様、街に降り立ち、迅速に適当な家に立ち入り、マシンガンを手にし、後は人目につかないようあちこちを歩き回る。

 そして、どこからか銃声が聞こえた時、そちらへ向かう。


「どうせなら派手にガツンガツンやりたいんだけどね。けどこのゲームの都合、コソドロらしくコソコソ立ち回るしかない、ね」


 マジナは物陰に隠れて、戦模様を拝見。舗装道路の上で戦い、そして片方が倒れ、もう片方は治療道具を使っている。

 そこへマジナが攻めかかり、道具を使って動けない相手をすんなりと撃ち倒し、彼がドロップした所持品を華麗に奪った。


「堅実なプレーだね、マジナ姉さん」


「褒めてるのかいそれ?」


「うん、褒めてる褒めてる」


 この後、マジナは上記のような卑劣な方法で敵を倒していき、あっという間に五人キルを成し遂げた。


「初プレイで五人はやるじゃん、マジナ姉さん」


「すげぇなあ、もし刀とかあればオレだって五人、いや十人、いーや千人は行けると思うんだがなぁ」


「コーリンお姉ちゃん、敵が九百一人オーバーしてる」


「細かいことは言うな、ユノス」


「しー、静かに。また次の獲物を見つけたから、神経研ぎ澄ませてる」


 人数が減ったためか、質のいいプレイヤー達が絞れてきたらしい――プレイヤー間の実力差は互角となり、その戦いも熾烈で高度になっていく。

 それは、戦場の選び方にも適応されていた。


「全く、普通そこで戦うかなぁ。これじゃあ第三者が混ざり辛いでしょうが」


 程々にひらけた林の中で、マジナの獲物候補二人は、知的にそこを駆け回りながら、相手を撃とうとしている。

 流れ弾を受けないよう、途中で見つからないよう、マジナもそこを本気で駆け回る。


(この尾行とチェイス……これはこれで楽しいな。前の世界でやってたことを思い出す。なるほど、これがゲームって奴なのかな)


 そして、ついに片方が倒れる。すかさずマジナは、もう片方を狙う。


「さぁ、ぶっかけてやるよ、私のショットガンを!」


 マジナは相手の頭めがけて、ショットガンを放つ。

 だが、相手は、ものすごいテンポでしゃがむ、立ち上がる、しゃがむ――屈伸を繰り返し、ヘッドショットを回避。そしてカウンター的にマジナをヘッドショットで倒した。


「あーあ、これは運が良くなかったねー、姉さん。多分この道のプロだよ、相手。あそこまで清々しい屈伸射撃初めて見たもん」


「あんなのやったら絶対膝悪くするのじゃ。よっぽど勝ちたかったのじゃな、あやつ」


「だね、これもゲームって奴の、ご都合ってところか。なら私は潔くやられるよ。で、次は誰、ピコリ?」


「いや、ボクやりたい」


「おっ、ユノスがやる気になった。じゃあいいよ、やって」


「ありがとう、ピコリお姉ちゃん」


 ユノスはコントローラーを手に取り、プレイ開始。ユノスは他四人同様街……ではなく、そこからやや離れた位置のガソリンスタンドに着陸、その辺りで適当な武器を取り、ガソリンスタンド内に立てこもる。


「おっ、芋ってるねー、ユノス」


「芋とは何だ、ピコリ」


「ああやってどこかの建物に隠れ続けること。けどこれだと敵を倒せないからいい武器ゲット出来るチャンスも減るし、それに……」


「よし、一人殺せた」


「え、嘘! ウチが芋のデメリット解説してた側から!?」


「ユノス、お前やるじゃねえか!?」


 ユノスが芋っていたガソリンスタンドは、街と街の間をつなぐ道路に有る。

 そのガソリンスタンドは、部屋一個だけという簡素な間取上、さっと立ち入り、アイテムだけ取って帰るというプレイを誘いがちな建物であり、人が来やすいのである。

 この性質を利用し、ユノスはぬけぬけと入ってきたプレイヤーを撃っているのだ。なかなかの策士である。

 

 この後も、ユノスは来訪者を撃つ、落とした武器を奪う……これらを続け、キル数を稼ぐ。装備も整える。


「マジナ、貴様のさっきの頑張りは無駄だったようじゃな」


「闇雲に突っ込んでやられた誰かさんよりは遥かに知的だと思うよ?」


「まぁまぁ、かっかしないでマジナ姉さん。言っとくけどこの戦法、実は大きな穴があるんだよねー」


 ピコリは画面の端にある、簡易マップを指差す。と、半数のエリアが何やら赤く染まっていた。


「このゲームは時間が経つにつれてエリアが狭くなるの。で、その制限時間内にエリアに行かないと、強制的にダメージを受けてやられるから。だから芋は、そう簡単に生き残れないんだよ」


「そうなんだ」


 ユノスはギリギリの所で危険エリアから逃げ、今度は適当な小屋に入る。

 流石にガソスタほどの人収拾力は無かったため、誰にも合うこと無く、また次のエリア収縮が来る。

 そこでもユノスはギリギリで逃げ、また別の家にこもる。

 

「もはや臆病の粋だぞ、ユノス」


「さっさと戦うのじゃ、こんな地味な画、つまらなくてたまらないのじゃ!」


「やだ。ボクの好きにさせて」


 だが、ピコリが言ったように芋は生きづらい。特に終盤の、エリアが極限まで狭くなり、何もない平野で戦わされる時がそうだ。


「さ、ユノス。もう終わりの時だよ。放置プレイみたいな君のプレイのね」


「大丈夫、すぐ終わる。だって……」


 先程ガソスタで得た武器を手に、家を出て全速力で走り、アサルトライフルを撃つ。


「あと一人だから」


 その弾丸は、ユノスを探していた敵の頭に命中し、一位となった。


「うわっ、すごい! 初見で一人残り達成できるなんて!」


「お前凄いな、ユノス! お前狙撃手に向いてるんじゃないか?」


「やだ、ボク漫画家だもん」


 ユノスはピコリにコントローラーを差し出し、こう一言。


「最後はピコリお姉ちゃんの番だよ。カッコいい所見せてよ」


「えっ……ああ、はい」


 前略、ピコリは適当な家に入り、武器を手に取る。街に出て、武器を探している人を見かける。


「よし、倒す倒す倒す倒す倒すッ!」


 しかしピコリは俗に言うガバエイムという奴であり、せっかく先手を取れたのにまるで弾が当たらない。

 そして相手から、嘲るかのようなヘットショットを受けて、『LOSE』の字を画面に表示させた。


「ピコリ。あれだけ、あたかも御託を並べるように専門用語を言ってたのにここまで弱いのとは驚きだぞ」


「いやー、やるのと観察するのは違うんですよー、サバキ姉さん」


「それ、『見るのと観察するのは違う』の間違いじゃない? ピコリお姉ちゃん」


「あと、私は初めてながら観察して、あれだけやったんだけど、あれとこれとで差がありすぎないかい?」


「おまけにこのゲームやる前、めちゃくちゃ急かしてたのじゃピコリ。こちらは期待してたのじゃぞ、貴様の神プレイとやらを」


「つーか今更だけど、どうして最初っからこのゲームのイロハを教えてくんなかったんだ?」


 と、五人はピコリを責め立てる。かくて、ピコリはうなだれ……


「やだ、ウチ音楽家だもん」


「それさっきのボクの台詞」


「ま、とにかくもう銃のゲームは散々遊んだだろ、さ、次のゲーム行こうぜ……オレはやっぱ刃物が使いたいんだよ」


 とのような感じで、六人は次のゲームをプレイし始める。


【完】

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