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出立

 朝起きて鏡をみるとひどい顔だった。目の周りは真っ赤になっていて、頬には涙の筋ができていた。


 シスターに頼んで、顔を洗うための水を持ってきてもらった。グスタフにこんな情けない姿を見せることはできない。


 身支度を調えて宿をでる。


 護衛騎士のグスタフとギルベルトが出迎えてくれた。


 グスタフは無表情だった。昨日彼は何を思っただろう。私の言葉に心を乱してくれただろうか。それとも何も思っていないだろうか。


「おはようございます、聖女様」


 ギルベルトが爽やかな笑顔で挨拶した。


 ギルベルトは、私を護衛するために派遣されてきた教会の騎士だ。グスタフと一緒だ。ギルベルトの他にも私を護衛するために派遣した騎士は何人かいた。


 ギルベルトはウェーブのかかったショートの金髪に青い瞳、目の近くにある泣きぼくろがチャーミング。街では多くの女性と関係があると噂だった。


 教会の教えを説き、癒やしを施したため、この村にとどまる理由はない。村長の家に訪問し、村をでることを伝えた。


「聖女様のおかげで、病に倒れた者達が再び元気に動けるようになりました。本当に感謝しております」


 村長が改めて感謝の言葉を言ってきた。


「私は教会の教え、ひいては神の教えにしたがって行動しているだけです。私ではなく神に感謝してください」


「それはもちろん。神には感謝しています。協会には沢山寄進させていただこうと思います」


 村長は頭を下げる。そして少し心配げな表情で言ってきた。


「どうか都に帰られるさいもお気をつけてください。最近、このあたりには凶暴な魔物がでるという噂がありますので」


「護衛騎士たちが私を護ってくださります。屈強な男たちです。たとえ魔物であっても後れを取ることはないでしょう」


 私は後ろに控えるグスタフとギルベルトたちを手で示しながら言った。


「聖女様は我々がお守りいたします。どうかご安心ください」


 ギルベルトが村長に請け負う。


「それでは私達はこれで」


 村長に別れの挨拶を済ますと、私は馬車に乗り込んだ。キャリッジと呼ばれる4頭立ての4輪箱型馬車だ。私の他に世話係のシスターが一緒だ。


 私が馬車に乗り込むと、護衛する騎士たちも馬に騎乗した。馬車を取り囲むように騎士達は配置につく。一番近くにグスタフとギルベルトがいた。


 御者が鞭打つと馬車はゆっくりと動き出した。


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