私、平和を見る
全て理解した神雷さんは一言こういった。
「まあ諦めろ。これは仕方がない事だ。」
えー、仕方がないって一体どうゆうつもりなんだろうか。実は全く解決方法が無いとか?放し飼いにしてて気にもとめてなかったとかかな?
「まぁそう怪訝なかおしなさんな、別に全く原因がわからなかったとかそんなのじゃあない。単にお前さんが持っているその本、正式な名を破邪受聖の本と言ってな、その本の特性として邪なものは牢獄の如く出てこれなく、神聖なモノには仮の宿のような快適さを感じさせるものなのだ」
つまりはシュテンやよく分からない危険なモノにとってはつらい牢獄だが神聖なサルであるこの子には全くもって封じ込める効力は発揮しないということなのか
「何で自分の家宝の事をよくわかってないのよ」
「そんな奇特な特性を持つのはその一冊だけだからなぁ。まぁ他のもそれぞれ変わった特性を備えてはおるがな」
「じゃあさっきの名前はこの本だけの名前なの?全体の総称とかじゃなく」
「そうだ。総称や普段は隠語として本と呼んでおるにすぎんのだ。まぁ名付け親であるあの当主は今で言う中二病みたいに一つ一つに当時でも浮いていたであろう名前をつけていたらしく、隠すために本と呼び始めた何て言う歴代当主もいるがな」
当時でも浮いていたのかぁ。なんかそう聞くとちょっと私も本って呼び続けようかなって気持ちになるね。
「じゃあこれからもずっと家のものを食べられ続けるってことですか?」
「まぁそうなるだろうな。なら1つ願い事でもしてみたらどうだ?彼らは対価に応じて願いを叶えてくれる。だから釣り合うものを差し出せばそれに答えてくれるだろう。」
そうか、その手があったか。躾るのではなくお願いする、確かにその方が簡単そうだし合理的だ。
私は早速お願いする事にした。
「おサル様、緊急時を除いて私の許可なく勝手に外に出歩かないようお願いします」
私はそっと側にあったミカンを差し出した。サルはそのミカンを食べると1つ鳴いて本に戻っていった。
「ふん、何とかなったようだな。しかし毎回勝手にミカンを使うのは如何なものかと思うがな」
「多分このミカンが好物なんじゃないかなって思って渡してるのだけど、ダメだった?」
「まぁよい。全く、このわしにこんな態度で接するのはお前ぐらいだぞ」
「そういえば露葉ちゃんも敬語使って話してたかも。実はとっても厳しい性格で皆から怖がられてたりするの?」
そんな雑談を暫くしたのち、私はそろそろ帰れと言われたので時雨家を後にした。
次の日、学校が終わって部室に行くと、そこには珍しく蒼太がいた。
「あれ、数日程全く姿を見せなかったのにいきなり出て来てどうしたの?また面倒事?」
「出会い頭にそんな事言うなんて相変わらず辛辣だなぁ。いっぺん俺の評価がどうなってるのか聞いてみたいもんだよ」
「厄介事ばっかり持ってくる残念悪魔」
「ねぇ、これ比喩だから。そんなはっきり言ってほしい訳じゃないから。というかいろいろと酷い」
そこまで間違ってはいないと思うんだけどなぁ。登場してから厄介事じゃなかった時の方が少ないしそうでないときはだいたいポンコツとかしてるし。
「考えていることはわかった。でも今回はそんなんじゃないから」
「じゃあ何さ」
「この部室に神に連なるものがいたんだよ。部屋には入って様子見しようかと思ったらいきなり引っ掻いてくるし散々だったよ」
「へー」
「もうちょい興味もって、前回の事で何とかなったと思っていたけど実際にはここが特定されて反撃してくるかもしれないんだよ。もしかしたら芽依ちゃんも襲われるかも」
あー、なるほどだいたいわかった。多分この蒼太の言ってる神に連なるものってのはおサル様だ。で、そんな事を露知らずの蒼太は部屋に入っていきなり攻撃されたから前回のあの一件の神サイドの者が攻撃を仕掛けてきたと思っているのか。うーん、やっぱりポンコツかもしれない。
「多分それは大丈夫だと思うよ」
「芽依ちゃんはわかってないよ。この前対談した奴よりも力が強かったんだよ」
「サルなのに?」
「そうそう。ん?俺ってサルって言ったっけ?」
私は本からおサル様を出した。なんか長いな、よし、今からお前の事はエテって呼ぼう。
「紹介するね。このおサル様はエテって言って私の新しい友達だよ」
「ねぇ、そんな説明より何とかしてよ」
気がつくとエテは蒼太に飛びかかっていた。きっと構って欲しいのかな?
「ねぇ、なんか和む雰囲気出してるけどこれ絶対敵対攻撃だから直ぐに引き離してよ芽依ちゃん。」
「エテ、おいで」そう呼ぶと、たった今初めて読んだのにも関わらず直ぐに反応してこっちにやって来た。
私はエテの頭を撫でて落ち着かせてから話をすることにした。
ああ、やっぱりエテは可愛い。
人形ブレイクタイム
西「ネエ、アノマスコットブシツニキテモカワイガラレラテルンデスケド」
日「すすす(私達の場所が奪われる)」
西「ソモソモワタシタチガカワイガラレルハズダッタノニ」
西日「ウラメシイデバンホシイツギコソハツギコソハ」
すず「呪いの人形感ありすぎてマスコット化は無理じゃないかな、あはは...」