一日目 喫茶店
そうこう話しているうちに、喫茶店についた。
ドアを開けるとからんこらんという音ともに店員が近寄ってきた。
「いらっしゃいませー!3名様でしょうか?」
「いえ、後から一人来るので4人です」
「かしこまりました、奥の席へどうぞー!」
店員と受け答えする瞳心の表情はいつもの顔に戻っていた。
いつも笑顔の瞳心だが、あんな顔もするのかと正直驚いが、今はいつもの瞳心に戻っているようで安心した。
店員に案内されるがまま奥のテーブル席に腰を下ろす。
店内を見渡すと、学生姿の客がちらほらいる程度で空席が目立っていた。
店は落ち着く雰囲気で、観葉植物やおしゃれなインテリアで
飾られている。
っと、再びからんこらんという音ともに女の子が一人入ってきた。
「いらっしゃいませー!お一人様でしょうか?」
「いえ、待ち合わせしていて先に何人かきてると思うのですが」
「お連れ様ですねー!奥の席へどうぞー!」
女の子はきょろきょろとあたりを見回し僕と目があった。
すると恥ずかしそうに軽く手を振りこちらへと歩いてくる。
「あ、きたきた空ちゃーんこっちこっち」
瞳心も気づいたらしく立ち上がり手招きする。
空が席についたところで、俊が急に自己紹介をし始める。
「空ちゃん、初めまして俺は榊俊、榊くんでも俊でもなんでも好きに読んでくれ、それとこの後暇なら・・・」
「はいはい、そういうのはいいから」
話が長くなりそうと判断したのか瞳心が俊の話をさえぎる。
こいつはいつも変わらないよな、そんなことを思いつつ空の方に目をやると目があった。
別に緊張などはしていなかったが、久しぶりにあったので少し照れくさい。
空はニコっと笑ったが、僕は思わず目をそらした。
「ひ、久しぶり、中学校の時依頼だね」
「うん、りっくんに合うのも1年ぶりくらいかな」
なんだか気まずい、苦し紛れに話しかけてみたがそれ以上の言葉が思い浮かばない、昔は普通に喋っていた気がするが、1年程あってなかったってだけでこんなにも話せなくなるのかと絶望した。
何か話さなきゃと思えば思うほど頭の中は真っ白になっていく。
「なになに?陸人、りっくんとか呼ばれてんの?っていうか二人共知り合いだったの?」
ナイス俊!普段は全く使えないが、今はグッジョブと言うしかあるまい。
「ああ、家が隣で小学校、中学校とよく遊んでたんだよ、まぁ幼馴染ってところかな」
「高校に入ってから、クラス別になっちゃってそれでほとんど合わなくなったんだよね」
「ん?でも家が隣なら通学とかで合うんじゃないか?」
「私、朝練で出るの早いから」
成る程っと言った様子で、俊が手をたたく。
「空ちゃん、目どうかしたの?」
空の左目には真っ白な眼帯がしてあった。目があったときに気づいて気になっていたが、瞳心も気になったのか、そんな質問を投げかける。
「うん、ちょっとできものができちゃって、治るまでつけてなさいって」
よかった、一時は気まずい雰囲気の中どうなるかと思ったが、
話はこのまま進めそうだ。