一日目 登校
家をでると途端に息が白くなった。
「さむーい」
瑠奈は、寒さに身を縮ませ玄関前で立ち止まる。季節は2月、冬は過ぎたがまだまだ寒さの残る季節である。
今日は木曜日か、今日も含めて後2日もあると思うと体が重い、特に半ばである火、水、木は非常に長く感じるのは僕だけであろうか。息を付くと不意に背中を叩かれた。
「おっはよー!二人共!」
聞き覚えのある声に振り向くとそこには美少女がニコニコしながらこちらを見ている。
彼女は同じクラスの阿久津 瞳心いつも元気で成績優秀、
運動神経もいい秀才っていうのは彼女のような人のことを言うのだろう。
「おはよう、瞳心は今日も元気だね」
「おはよう、ろこちゃん」
「リクはあまり元気じゃないみたいだね、まだ眠そうな顔してるし」
「後2日も学校があると考えると憂鬱だよ、金曜日休みにならないかなぁ」
「ナイナイ!瑠奈ちゃんをみなさい、毎日まじめに勉学に励んでるではありませんか!
ずる休みをしようともしないし」
そういいながら瑠奈にしがみつく瞳心。
「私は学校好きだよ?朝起きるのは苦手だけど・・・」
「うんうん、おまけにこんなにカワイイし、私が男だったら絶対ほっておかないなぁ」
無理やり頬ずりされて瑠奈は頬を赤らめあたふたしている。
「ちょっとろこちゃん!」
必死に引き剥がそうとしているが、まるでタコのようにしがみついて離れようとはしない。
「急がないと学校に遅れるわけだが」
携帯で時間を確認するとまもなく登校時間がせまろうとしていた。
「そうだった!私今日、日直だった、二人共先にいってるねー」
さっと走り出し、一度こちらを振り向き手を降った後、あっという間に見えなくなった。
「僕達も急ごう」
瑠奈の手を引き、かけあしで学校へと向かう。
下駄箱の前、靴を履き替えた所でまた後ろから声をかけられた。
「よぉ、陸人おはようさん」
顔立ちのいい青年がこちらに笑みを浮かべて立っている。
この男は、同じクラスの榊 俊イケメンで女子によくもてる、
ついでに友達も多いし、コミュニケーション能力も高い。
「おはよう」
「おいおい、二人共さっき起きましたって顔してるぞ?
瑠奈ちゃんはかわいいんだからもっと笑顔でさ、ほら」
「こう・・かな?」
すごく微妙な顔をしている、とても笑っているとは言えない。
「ははは、30点ってところかな」
「笑顔はたまに見せるほうがかわいいだろ?俊みたいにいつも
笑ってるとありがたみがなくなるってもんさ」
瑠奈のフォローをするわけではないが、何か言い返しておかないと俊はすぐに調子に乗る。
「なるほど、一理あるな普段笑わない娘がたまに見せる笑顔は普段から笑っている娘より価値はある」
なにやらぶつぶつつぶやきながら、考え込んでいる。
「お前の頭の中は女の子としかないのか?」
「短い人生なんだから楽しまないと損だろ?
あ、ちなみに瑠奈ちゃんも俺のターゲットの一人だからよかったら放課後どこかに・・・・」
「ごめん・・なさい」
俊が最後まで話す間もなく瑠奈は話を遮った、
はじめから答えを用意してたかのような反応の速さだ。
「あはは、ふられちゃったか、おっとそろそろいかないと遅刻だ」