仲間でも探しに
今回はすごい短いです。前回が長かった(普段と比べて)ので許してください。
「....」
「....」
「....」
「........っ....」
「.......」
「........なあ、仲間でも集めに行かないか!!」
俺は座っていた椅子を立ち、机をバン、と叩いて言った。
「....嫌よ」
「....ですよねー....」
スライムに襲われた冒険者、つまりカズハが俺のパーティーに加入した....まあ俺が加入するように誘導したという方が正しいか。ともかく、その日から一週間が経った。その間受付にパーティーから抜けさせることは出来ないのか、と言ってみたり、パーティー解散の申し出を出したりしてみたが、どちらも「規則で決まっているので」の一言で対応され、結局何も変わらなかった。
で、今に至る。ちなみにどちらも金欠で普通のご飯がろくに食べれず、安っぽい宿で微妙....むしろマズいご飯を食っている始末である。
「いやいや、ちょっとまてカズハ。よく考えてみろ。一週間!!もう一週間経ったんだぞ!!1年が大体五十週、つまり期限までの2%はもう消耗できたわけだ!!これをコツコツ積み重ねれば期限になる!!いや〜、最初はどうなることかと思ったが、案外いけるもんだな!!はははははははははh」
「ふざっけんじゃないわよ!!期限より先に私達の餓死するまでの期限の方が長いわよ!!」
カズハが大声で叫ぶ。
「う....」
「しかもなんなのあんた!!私のニックネーム知った途端にそれで呼び出すし!!馴れ馴れしいにもほどがあるわ!!」
「大体こうなったのも全部あんたのせいなんだからね!!命がけでスライムと戦って金稼いで来なさいよ!!ほら、ほらぁ!!」
カズハが俺を何回も蹴る。
「痛った!!ちょ....やめ」
「やめないわよ!!私がこんなとこにいなきゃいけないのも!!こんなにお腹すかさなきゃいけないのも!!こんなに寝不足なのも!!全部あんたのせいなんだからね!!」
カズハはやめるどころか、さらに強く俺を蹴り続ける。
「おい....やめ....」
「ほらほらほらほらぁ!!」
カズハはさらに強く蹴ってくる。
「やめ....」
「ほらほらほらほらほらほらぁ!!」
カズハはさらにさらに強く蹴ってくる。
「や....」
「ほらほらほらほらほらほらほらほらほらほらぁ!!」
カズハはさらにさらにさらに強く蹴ってくる。
「やめろって言ってるだろうが!!」
何度も執拗に蹴って来るカズハにさすがにしびれを切らし、俺は怒鳴った。
それと同時に、カズハは蹴るのをピタリとやめた。
「『全部あんたのせい』だぁ?そもそも、お前が俺をからかってきたのが原因だろが!!」
「....はぁ?その前に!!あんたがスライムから逃げて、それで私が襲われたんでしょ!!一週間の出来事くらい覚えておきなさいよ!!」
「はいい?それがなんで俺をからかうことにつながるんですかぁ?ていうか俺より全然強いって豪語してるのにスライム一匹に襲われたくらいで怖がるんですかぁ?」
「なぁっ!!それとこれとは関係ないでしょ!!」
「関係ない?スライムに負ける→俺をからかう、ってのも関係ないと思うんですけど!!結局八つ当たりだろ?八つ当たりなんだろぉ?」
「それを言うならそっちこそ!!わたs....んむっ」
その時、カズハの顔にチラシが飛んできた。その様は、まるでマンガのようだった。
「ちょっ....何よこれ!!もう....」
カズハは顔からチラシを取り、その内容を見始めた。
「『僕をパーティーに入れたい人達募集!!希望者は6/27日午前10時にアルクタッド城城下町、噴水前集合 byシキ』....?何この文面。舐めてんのかしら」
「なんだそれ?ちょっと見せてみろ」
俺はそのチラシをカズハから取った。
「....これは....」
一時間後
「で、結局行くことになったわけですか....」
カズハが露骨に嫌な顔をする。
「まあまあ。あそこで何もせずにギクシャクしてるよりかはマシだろ?」
それに合わせ、俺もカズハをなだめる。
「そんなこと言っても、あんなひっどいチラシの作り主よ?とてもロクな奴だとは思えないわ」
「確かにそうかもしれない。だがな、俺はこのチラシに運命を感じたんだよ」
「運命?」
「開催日の6/27日が今日、チラシが俺たちの手元に来たのも開催時刻の二時間前の午前8時。誰かが狙ったとしか思えないだろ?」
「まあ、確かにそうだけど....」
カズハが困ったといった顔をする。
「あと、こいつみたいに自分で募集してくれた方が、見知らぬそこらの冒険者に声をかける勇気もいらないし....」
俺が小声で言った。
「....コミュ障(ボソッ」
「や、やめろ!!俺はコミュ障じゃないし友達もいた!!部活にも入ってたし、家にこもってネトゲばっかりしてたわけじゃない!!」
「なによ、随分具体的じゃない」
「ああ、もう!!それは置いといてだな!!カズハ、アルクタッド城城下町を案内してくれ!!」
「はぁ?なんで私があんたを案内しなきゃいけないのよ」
「俺はお前と違ってここに来て一ヶ月も経ってないんだ。察してくれ」
「ああ、私ってそのためについてこさせられたのか」
カズハがはぁ、とため息をつく。
そうして俺たちは、アルクタッド城へ向かった。