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1章-07-

 それからしばらく、魔王とユーシェの声が寝室より響いていた。

なぜだかその声は艶めいている。



「いっぁあっ?!んんっ、メ、メイザース!貴様・・・はぁ、もう少しいぃっ・・・・や、やさしく、出来んのか?」


「ごめんなさぁい魔王様、痛かったですかぁ?ホントを言うと、あたしもこういうことするの始めてなんですぅ・・・・・でもまぁ本で読んだこともあるしぃ、やってて要領も大分掴めてきましたしぃ、このまま最後まで私に任せてくださぁい!きっと痛みなんてぇ、すぐに感じなくなっちゃいますからぁ~」


「な?!お、おい!そこはぁ・・・そこは関係ないだろうがっ!!や、やめ・・・・私は、もう少し丁寧にしろとだな」


「あぁ~もしかしたら、いきなりは痛いかもしれないのでまずはならそうかと思いましてぇ~。申し訳ないですぅ、余計なお世話でしたかぁ?」



 ユーシェは寝台に腰かけ、体格で二回りほど小さい魔王を自らの膝の上に座らせている。

後ろから羽交い絞めにしたり素肌を撫でたり髪を撫でたりやりたい放題だ。

しかもそれだけではなく、魔王の服の背中のひもは完全に解かれてしまっていて、今にもはだけ落ちそうな状態となっている。

今はまだ服が腕と肩に引っかかっているためまだ辛うじて服の役割は果たしているが、背中の肌は完全に晒されてしまっていた。

だが魔王は必死に耐えるように体を強張らせたりはしているものの、抵抗するそぶりは一切ない。


 むしろユーシェからの行為を積極的に受けているようにすら見える。



「い、痛いなどと誰も言っておらんだろう?・・無用な、気遣いだっ。いっ・・・他人に肌を触られるのが、その・・き、気持ち悪いんだ。んっ、だからぁ、はぁ、早急に終わらせるのんぁっ・・だ・・はぁ・・全然、おさまりそうに、はぁ・・はぁ・・・無い、から」


「えっと・・・もしかしなくてもぉ魔王様?そぉとぉ痛いのにぃー、やせ我慢してませんかぁ?ちゃあんと痛いならぁ痛いって言ってくださいよぉ?私も初めてで加減がわからないんですからぁ」



 口では大丈夫だと言う魔王。

だが行為を始めてから常に全身を強張らせ、次第には息を荒くし玉の汗まで肌に浮かべ始めたその様子にユーシェは一度手を止めた。


 ある大義名分を得て、自らの立場の優位性に少々調子に乗ってしまっているユーシェ。

だがしっかりと冷静な部分を残して、所々でやりすぎないようにブレーキはかけていた。


 そして今も案の定魔王の息は絶え絶えであり、呼吸が整うまでその行為を控える。

すると加減されているなどと考えてもいない魔王は息を整えつつユーシェに要求する。



「はぁ・・はぁ・・・わ、わかっている。はぁ・・・・も、もう大丈夫だ、遠慮など無用。さぁ好きにやれ!」


「えへへぇ~・・そうですかぁ?でわぁお言葉に甘えてぇ遠慮なくぅ!・・・って、魔王様ぁ腕を閉じないで下さいよぉー、ちゃんと下に降ろしててください。服が引っ張られて邪魔です、あっ」


「あ、ああ、すまなっぃいいぃいったぁあぁあああいっ!!!」


「ああっ!すみません魔王様っ。指、入っちゃいました。・・・・・・・・・・傷口に」


「メ、メイザース!きさまぁ~・・・」


「いやぁーわざとじゃないんですほんとですよ?ホントごめんなさい許してくださいぃっ!!」



 というゆうわけでどうにか魔王の怪我の手当を終えたユーシェと終えられた魔王。


 この怪我の手当だが、実は魔王が鞭で放った一撃は結構強烈で、それをそのままの威力で返された魔王の背中は少しばかり放置できない状態になっていたためだ。


 右肩から左わき腹にかけての背中の裂傷。

ユーシェほどではないが白さを誇る魔王の肌は切れてしまっていて出血し、さらにその傷の周りを赤く腫らしていてとても痛々しい。


 鞭うちは肌が切れるほどの鋭い打撃と同時に摩擦による焼けどもさせるので出血量こそ大したことはないがその分痛みが長引く。

魔王の自業自得と言われてしまえばそれまでなのだが、少々かわいそうにも思えてしまう。


 魔術師がいるのだから回復魔法でどうにでもなると魔王は思ったのだがそうではないようだ。


 ユーシェが用意した包帯でグルグル巻きになった胸から右肩を見てついつい口にしてしまう。

言ってやらなきゃ気が済まないのだろう、一応ユーシェにも千年間放置されていた家を無断使用していたという罪と言っていいかわからないが責任はあるのだろうから。


 魔王はユーシェの膝から立ち上がり肌蹴た衣服を直しながら、寝台の端に腰かけたままのユーシェに振り返り、言い聞かす。



「全く、あきれたぞメイザース!貴様、いくら魔族が回復魔法を扱いづらい魔力性質だとはいえ全く使えんとはなんだ?死ぬ気か?」

 

「え?えぇー?だってぇ要らなくないですかぁ?不要じゃないですかぁ!?魔族は体内魔力(オド)の消費で大抵の傷は自然治癒で治りますしねぇ!・・・まぁあたしは欠損のような傷は自力じゃぁ治りませんけどねぇ。火力特化ってやつですよぉ」


「フハハッ!馬鹿め、圧倒的な力は捨て身の思考であるがゆえに真価を発する。負傷しても治せないとあらば物怖じして全力も出しきれはすまい?」


「んふぅ~そぉれぇなぁらぁ!だいじょうぶですよぉ?命を懸けてもいいと思えるお方が目の前にいますからぁ~!私はいつだってぇ捨て身の覚悟ですぅ!!」



 魔王に対して敬語でこそあるものの、まるで敬意を感じられないユーシェの態度。

だがその屈託のない物言いと態度が逆に力を失った魔王を安心ている結果につながっていることに魔王はまだ気が付かない。


 しかし心のどこかで感じてはいるようであった。

ユーシェの言葉に変化する自らの心境を認めたくないのか、魔王にしては珍しくおどけて見せる。



「フンッ!・・・メイザース。まさか貴様、治せないふりをしているわけじゃないだろうな?」


「あーそれは酷いですよぁ魔王様ぁー!あたしが魔王様を貶めるようなこと、するわけないじゃないですかぁ。あたしの優先順位第一位は魔王様なんですよぉ?」



 忠誠心のかけらも感じさせない態度でありながらまたもやそのようなことを吐くユーシェ。

しかし、今はそれでいいのかもしれない。

あまり畏まった態度を取られてもむしろ魔王の方が居たたまれなくなってしまっていただろう。



(何しろこの私には、なんの力もない。何も返せないのだから・・・)

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