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misunderstanding  作者: ryure
第三章 蛮族の剣士と最速の狩人
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 魔族をばっさりと首をはねた。全然痛くなかったとはいえ、あの量の魔法を食らえばルチェやオランは死ぬそうだから、まぁ復讐でいいだろう。何故か効きにくい体質らしいと今、改めて自覚したが……剣を構えただけでいきなり魔法を三人がかりで浴びせてくるとは…………なかなか魔族も野蛮だな。賢者様の言葉は半分も聞く気はなかったが、挑発していたのか?気が短すぎる。


 ルチェが援護射撃してくれたから一人目を仕留めるのは容易かったな。戦闘中に倒れたか死んだか分からない相手に背を向けるとは。


「よ、よくも!」

「…………、成程」


 矢の突き刺さった魔族はいきり立っているが、リーダーらしき魔族に止められた。その間に目に入りそうだった血を乱暴に拭っておく。別に目に入ってもさして戦闘に支障はないだろうが染みるだろ……。にしても、派手にやったせいで全身血塗れだから服はどうしようか……。


「魔法を使えない代わりに私達真なる魔族と同等程度の身体能力があると……なかなか興味深い」

「さぁ、魔法を使う魔族と僕らが同じかな?」


 後ろから魔族の言葉を反論する声が飛んできた。ルチェだ。


 その後ろに先生と父さんがそれぞれ武器を構えたのか、金属音がした。賢者様の魔法のせいか妙に体が軽い。無事にオランは隠れただろうか。気になるが敵に背を向ける訳にはいかない。


 舌打ちした魔族は魔法を使い始めたようだった。それも、数秒で完成してしまい止めることは出来ないような速さで。


・・・・

・・・

・・


「……援軍か」

「我らは侵略者だ。貴様らがこの土地のように広い場所を使うのは実にもったいないとのお達しでな」


 偉そうな太った魔族がふんぞり返って瞬間移動してきた。次に魔族の死体を見て少し眉をひそめる。


「ふむ、このような雑魚がこの遠征軍に居たとは。恥さらしな」


 事もあろうに、死んだ仲間の死体を蹴り飛ばすとは。殺したのは俺だが、それは間違いなく正当防衛であり、かつ侵略してきたからだ。だがこいつはどうだろうか。死者を冒涜するなど……。まぁ、いい。俺はここを突破して村の皆を呼び戻す。出来れば、お婆さんが来るまでに。そうすれば賢者であるお婆さんも支援は必要ないと見てくれるだろう。


「魔法の力は強く偉大。お前らの持つ、力任せの野蛮な力とは違うのだよ」

「将軍!ご司令を!」

「分かっている」


 ふん……この偉そうな奴が将軍か。俺の見る限りは果てしなく弱そうなやつだが……見た目で判断して慢心はしない。ここへ来れる時点で魔族として優秀なはずなのだから。将軍であれば、腐っても上官。弱くはない。こちからの数より向こうの数が何倍も多いのだから慎重に行動しなくては。

 一番怖いのは俺以外に魔法が飛ぶこと。賢者様ならばきっと平気だ。吸収するか効かないか、はたまた跳ね返すかは知らない。だが、間違いなく平気だと断言できる。でも、ルチェはそうではないだろう、オランもそうではないだろう。


「底冷えするような目の持ち主よ、貴様は生まれる場所を間違えたな」

「俺は母さんと父さんの子に生まれ、人間として誇りを持っている……貴様とは違う」


 魔族といえば母さんもだ。賢者様も、お婆さんも。だから「魔族」には恨みはない。あるとすればここへ侵略してきたこいつらに、魔王だ。


「……攻撃しろ」


 そいつは、睨みつける俺を不快そうに見ると下っ端に見える……が実力者であろう魔族に指示を出した。次の瞬間には目の前は眩い閃光に埋め尽くされていた……が。痛くない。俺の、体質か?


「さっきからバチバチバチバチと。不快だなぁ、オイ?」


 挑発半分、苛立ち半分で声をあげる。ルチェや先生に攻撃がいってはならない。

 その甲斐あってか、またしても魔法は俺に集中した。眩い光に目はくらんで役に立たないが幸いにも目が見えずとも戦える。


 血の滴る剣で一気に三人ほど切りつけた。斜めに切り裂いたため、一息に死なない。俺としては苦しませて死なせるつもりは毛頭無く、これに懲りて帰ってくれれば一番である。後ろからまたしても飛んできたルチェの矢が魔族に次々とトドメを刺してくれたのは俺にとって幸いだ。


 いくら、動物を狩るために手慣れていても日本で生きた時間は消えない。気分が悪くなっていくのを気にしないように、生き残りの魔族が振るいだした槍を避けた。成程、確かに元々魔族だった者は魔法も武器も使えるようだ。厄介な。


「どうした!相手は剣しか武器でしかない人間だ!魔法が効かないならさっさと後ろの弓使いを殺せ!

ぐっ?!」


 醜く叫ぶ魔族の首に剣を一突きし、襲いかかってくる魔族の頭上の木の上に飛ぶ。ルチェに攻撃がいってはならない。


 向こうにも弓使いは居るようで時折飛んでくる矢を音を頼りに払いのけ、ルチェの前まで跳んだ。盾のないルチェは矢を避けるのに必死だ。


「ルチェ、分が悪い。下がれ」

「……ごめん」


 ルチェは謝りながらも後ずさった。木の陰に隠れようとするルチェは悲鳴混じりの声をあげる。


「囲まれた!…………オラニウス!平気かっ?!」

「ルーウェンス、てめぇは人の心配よりも……ぐっ……てめぇの心配をしやがれ……」


 苦しげなオラニウスの声に焦った。矢が当たったのか、魔法が飛び火したのか。…………分からない。だが、躊躇する暇はない。


 俺は魔族の群れの中に飛び込み、無我夢中で剣を振るった。弓が刺さるが、気にしてなど…………いられない。早く、勝たなければ。この、数の暴力を。

勘違い要素が……少ない……。

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