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ABNORMAL〜アブノーマル〜  作者: 古葉やしな
始章 「CAF」新人編 いたいけな無知
1/46

1-1 新人の初任務



 5月20日、

 エリア03のとある巨大研究所にて。



 平生「すごい薬品臭いですね、ここ……」


 阪「そうか?エリア04の郊外にはもっと激臭がだな…」


 そう話す2名、いや、近くには計5名の薄着に武装をした者達がいる。多少異なった服装だが、彼等の首元には共通して「CAF」の三文字。「Control of Ability Force」 、「対能力者特殊部隊」と呼ばれている。

 彼等がいる場所はデパート並に巨大な研究所。事実上、大量生産が不可能の、ある薬を開発している。そしてその薬の存在が今回の事件の発端でもある。



 2030年、全国に謎の細菌が大量発生した。大気中に散布された有害ウイルスの影響で人口の六割が死亡した。感染方法は不明で、発症者は自己治癒は不可能とされ、不定期に血を流し死ぬことから「ブラッドウイルス」と呼ばれる。


 その成分を調べて出来たのがある薬、抗ウイルス剤「ヴィーナス」。だが抗ウイルス剤はたいへん希少で、大量に作れるようになるのはまだまだ先だろう。


 その貴重な薬をめぐり今の国の治安は最悪である。100近い数のエリアに分断し、他のエリアへの交通網を少なくすることにより悪化を防いだ。しかしそれも愚策に過ぎず、「CAF」の組織が組まれたのだった。



 そして時は20年後、2050年。



 短髪の男は通信機器の様子を見る。


 阪(ちっ、圏外か…、だから狙われたのかもな)


 5名は薄暗い中を拳銃を構えながら進む。電気の類は壊れているようだった。とはいえ、無事なものもあり、半停電状態に近い。


 阪「罠が仕掛けられているかもしれん、慎重にな、平生」


 平生は、はい、と返事をした。阪が平生にのみ注意を促したのは他でもない。平生は今回が初任務。どころか、「CAF」所属初日なのだ。



 事の始まりは一時間前。



 エリア05の地下にある「CAF」本部Bの一室にて。


 鋼「おー、新人共。今回案内を務める鋼拓海(はがねたくみ)だ、よろしく」


 三人の新人を前にした金髪の若い男が言う。


 鋼「じゃ右から。名前と…年は全員18だよな?名前だけで」


 一人目は肩まで届かない、小柄な女性だ。


 高宮「あっ、高宮三葉(たかみやみつば)です、よろしくお願いします」


 鋼「まぁ女の子は少ないけど頑張って、次は…」


 と、横の暗い雰囲気の新人に目をやる。


 深見「深見龍我(ふかみりゅうが)です」


 鋼「あ、君が例の!ランクは?」


 深見「14です」


 鋼「新人で14かよ、凄ぇな…、えっと最後は」


 平生「はい!平生貴文(ひらおたかふみ)で…」


 言葉の途中、突然部屋の扉が強く開かれた。現れたのはショートカットの女性。そしてその背後にはがっしりとした体格の男性。


 弘前「鋼クン、急いで……、って取り込み中?」


 鋼「そ、新人案内だけど、何か事件?」


 弘前「三ヶ所の研究所が同時間帯に襲撃されたって。緊急に3つの班が組まれて、A班の指揮が鋼クンだから」


 鋼「えー、能力持ちの上位に任せりゃいーじゃん、わざわざ案内役に…」


 弘前「残念だけどほとんど出払ってるから、それと新人3名もそれぞれの班に振り分けられてる」



 そして新人トリオは初任務となった。



 鋼「じゃー行くぞ新人、まあ出番はほぼないと思うけど」


 深見は静かに返事をする。



 弘前「弘前涼香(ひろさきりょうか)。初日だし、わたしの後ろについて来て」


 高宮「は、はい!」



 平生「平生貴文です!よろしくお願いします!」


 平生の班の担当は強面長身の坊主頭だった。


 阪「阪勝樹(さかまさき)、平生といったか、ウチは人手も足りてないし新人扱いする気はない」




 続く

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