僕らの始まり~指輪の秘密②~
闇紗華です!この作品を読んでくださり、ありがとうございます☆
それでは、今回も楽しんで下さい♪
廃墟になった田倉恵の家は、ボロくて今にも崩れてしまいそうな感じがした。すると、Liraはなんのためらいもなく家の敷地に足を踏み入れた。
「まだ、田倉恵の気配が残っているね。」
死んだ人の気配が残っているなんて、実にオカルトじみた話だ。彼女は、腐敗した柱を触りながら歩いていた。すると、Liraはいきなり足を止めた。僕は驚いて前を見た。目の前には小さな扉があった。扉は開きかけていて、少しでも近づけば中から何かが飛び出してきそうだった。僕は少し恐かったが、Liraは楽しそうにニヤニヤと鋭い笑みを浮かべながら扉を開いた。僕は恐怖のあまり目を閉じた。
「どうやら、裏口のようだ。」
彼女の言葉を聞いて僕はゆっくり目を開いた。すると、扉の先には螺旋階段のように、下までずっと続く階段があった。Liraは歩いて階段を下りて行くが、僕は恐怖で足が竦んでしまい、階段を下りれない。
「麗、早く来い!」
裏口の前で止まっている僕を見たLiraは、突然笑いだした。
「ハハハハッ…もしかして、恐いのかい?ならそこでいつまでも待ってるといいさ。」
彼女はそれだけ言うと、また歩きだした。僕はムカついたが、仕方ないと彼女の後を追いかけた。
永遠と階段を下りていると途中で扉が閉まる音が聞こえた。驚いて振り向いたが、扉は開いているようで、風が吹き込んでいた。
「気にしすぎか…」
僕は前を向き、また歩いた。目の前には彼女の背中だけが見える。会話もない中で歩くのは少し恐い。僕がそう思っていると、いつのまにか長い階段はおわっていた。そして、僕らの目の前には薄暗い紅色の空間が広がる。外は雨で、空には雲がかかっていたため、窓からの光も少ない。そんな中、目に入ったのは、紅色の絨毯、紅色のソファー、紅色の花瓶。部屋のいたるところが紅色で統一されていた。こんなところにきて、紅色と云うと赤に連想され、やはり血の色しか想像できない。僕がぼーっと佇んでいると、ようやく彼女の口が開いた。
「紅色だからって、変な事を考えるんじゃないよ!紅色は昔から魔除けの色という意味があるんだ。その年で建物とかに使われているのを見た事がないのかい?」
それとこれとは関係がないと思う。僕は言いたかったが我慢した。こんなところで、彼女の機嫌を悪くしたら大変だ。
「まあ、何も言わないという事は、お前さんはタダの馬鹿にしかすぎない。ということか…」
本当に腹が立つ。ムカつく…
………あれ?
そういえば、自分は何で彼女と一緒にいるんだろう…
嫌いなはずなのに…
どうしてだろう…
今思うと、彼女との付き合いは思ったより長かった。でも、自分は彼女が嫌いなのだ。
僕が1人悩んでいると、彼女の声が広い部屋に響いた。
「無駄なことを考える暇があったら、仕事をしろ…」
気がつくと彼女はこの部屋の調査を終わらせていたらしく、僕に少し不機嫌そうな態度をしていた。
『Lira』次回もお楽しみに!