僕らの始まり~指輪の秘密①~
闇紗華です☆今回も頑張って執筆しましたので、楽しんで頂けたら嬉しいです!
昨日きた依頼についてはLiraから詳しくはきいていない。それよりも気になったのは、彼女の妙な英語。なぜか日本語よりも上手い。
「あの…」
「あの…じゃないよ!いつも言っているじゃないか。敬語は使うなと!」
「は…うん。」
彼女は相変わらず洋菓子を摘まんで偉そうな態度をしている。いつもそれに少々腹が立つ。
「あのさ、なんでLiraは英語話せるの?」
僕の質問に彼女は速答した。
「私が帰国子女だからだよ。」
えっ?……いまなんて言った?私が帰国子女だからだよ?いつも着物きて、黒髪垂らして歩いてるこいつが…
「何か言いたいことでもあるのかい?」
多分、また彼女に悟られた。僕は恐ろしくて何も言えなかった。
「それと、今日は新しい依頼主の所に行かなくてはならない。はやく準備をしろ!」
「うん…」
僕らは依頼主のもとえ向かった。外は雨が降り始めていた。
「えっ?」
僕は衝撃を受けた。依頼主の田倉多恵はすでに死んでいた。彼女の墓だけがここにいた。
「ねぇ、Liraこれってどういうこと?」
彼女は不思議そうな表情をして言った。
「馬鹿かお前さんは!ただの墓だよ!」
「はぁ?」
僕は完全に彼女と話がかみ合っていなかった。それより、僕には疑問があった。Liraは何故『死者から手紙を受け取る』ことができたのか。まずそこに引っかかった。僕は質問するつもりはなかったが、自分の口は指示なく動いていた。
「この事件を調べる前に、一つ質問して…」
「ああ、そういえばお前さんに一つ忠告しておくことがあったよ。」
完全に話をそらされた。何か彼女の嫌気の指すような事を言っただろうか。それに、忠告とはなんなのだろうか。
「実は、この事件にはお前さんが知ってはいけないことがたくさんあってね。…くれぐれも、腐敗物には気をつけるように。」
彼女はそれだけ言うと、立ち上がり僕に背を向けて歩きだした。
僕が彼女の後を追おうと一歩踏み出した瞬間。背後から何者かが勢いよく走ってきた気がした。僕が振り向くと背後にはたくさんの墓が行儀良く並んでいた。一つの墓の影に何かの影が揺れた。それにあわせて、塔婆がガタガタと声をあげて嗤う。その光景はとても気味がわるく僕は唖然として見てしまった。
「どうかしたのかい?」
彼女の突然の質問に僕は驚きながら答えた。
「あっ…えっと、何でもない…」
(お前さん、力に目覚めたかい?)
僕が言うのと同時くらいに頭の中で誰かが何かを呟いた。まるで、幻のようなその声は何処か懐かしい気持ちになった。
目の前にいた小さな少女は何も気づいていないのだろうか。
Liraと共に次に向かったのは田倉多恵が住んでいたという屋敷。今はもう廃棄になってしまっていた。
次回もお楽しみに!
See you ☆