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ロングロングアネーム

で、結局薬局何なのかって言うと。


わからないままに、またもや見知らぬ方々がご登場あそばされました。

──ドアを蹴破って。



「BB!気配を消すなと何度言ったら……」

「お前はいつも口うるさいね」

「そういう問題ではないだろう!」



そういう問題じゃないのかもしれないけど、そこの貴方も目前の大問題をまる無視してますよ。

あたし、一応三十路直前とは言え、嫁入り前の乙女なんだけど。

ドアを蹴破るほどの方々に、そんな意見をする勇気がないのが悲しいけどね。


真っ裸なんだけどね。

ええもう、上掛け一枚引っ剥がしたら真っ裸なんだけどね。


とは言え、三十路直前なだけあってか突然いろんなことがあったからか、ぼんやりとBB達のやり取りを眺めながら、あたしは達観していた。

悟り?

これが噂の悟りの境地なの?


それはさておき。


見知らぬ方々はBB含めて総勢四人。

それはもう、目も眩むほどカラフルな方々だった。


入室早々BBに突っかかった硬派な感じの彼は、さっぱりショートにした髪の毛が群青色ウルトラマリンブルーで瞳の色は青色ブルー


まあ、青繋がりで妥当と言えば妥当な色合い。


その後ろで黙ったままBBを呆れ気味に見据えている大人っぽい彼は、漆黒のストレートヘアを右側にきゅっと束ねていて、瞳の色は氷みたいな薄いブルー


色素が強い黒が地毛なら、目の色は珍しいことになるのかな。

でも、ありえないわけではないよね……ない、はず。


ここまではいい。

無理矢理よし、とする。


問題はここからで、漆黒の彼の隣でベッドに腰掛けてBBとにこやかにライトに笑い合う彼は、最初に会ったキンキラキンの美男子だ。

四人共にかなりな美人さんだとは思うけど、BBと彼だけは格が違う。


とんでもなく、ずば抜けて美人。


話が逸れたけど、彼はとにかくキンキラキンなのだ。


やっぱりおかしいでしょ!?

ありえないでしょ!?

明るい場所で見たって、あれはやっぱり琥珀色アンバーなんかじゃないもの!


まじまじと見詰めていたからか、キンキラキンくんがふと、ようやくあたしの存在に気づいた。



「あ、起きた?」



さっきから起きてましたよ。


にこっと、それは眩しく笑顔を浮かべられ、やっぱり喉から押し戻されてしまうあたしは悲しき一般人。

キンキラキンくん、ビューティーオーラが半端ないね!



「はじめまして、ええっと……」

「ヨリ、木村ヨリだよ」



二度目ましてなんだけどね。



「ヨリ!僕はディルディペルティア・アルマスィマッチ・ピピウォッチ!」

「ディルディ……ええっと」



BBもだったけど、長ったらしいな、もう。



「ディルでいいよ」



にこっと笑ってくれたのでにこっと笑い返したら、


ぐっと、


乳を鷲掴まれました。


──は?



「ち、乳を鷲掴むな─────!!!!!」



思わず叫んだだけだった。

のに、バリーンッて、何かが割れた。

ふわりと風が舞い込む。

薄暗かった部屋に、ちらりと光が射した。


……あれ、今気づいたけど、もしかしてこの部屋、真っ暗だった?

え、何で気づかなかったの?



「まだばれたばかりで落ち着いていないんだ。あまり興奮させるな、ディル」



漆黒の君が呆れ気味にディルを諌める。

けど、今、そういうことが問題だったの?

何かいろいろ違う気がしてるのは、あたしだけなの?

何が割れたの?

何で割れたの?

何で見えるの?


意識してみれば、やっぱり部屋は真っ暗で、けれど、あたしはしっかりと四人を目視出来ている。


あ、やばい。

また混乱しそう。


よし、一回忘れよう!


漆黒の君がついと前に出たので、それに合わせて視線を上げた。



「わたしはエウ・スィ・ヴァラフ。竜族だ」

「……はあ」



── 他 に ど う 言 え と !?


聞き間違いじゃないよね。

聞き間違いならそれでいいし、冗談なら「やぁだあ、アメリカンジョーク?」なーんて笑ってあげてもいいんだけど。


眉間に寄ったシワを見留めたのか、エウの表情が険しくなった……のは、間違いないと思う。



「BB、お前ならとっくに、情報共有を図ったと思っていたんだが」



ちょっと棘があったのも、たぶん、気のせいじゃないな。


BBは「まあね」と軽く受け流してから、ちらりとあたしに視線を寄越して、また腕を絡めてきた。



「お前、やはり……!」

「まあ聞いてよ。情報共有はしたんだよ、ただ、ヨリは異邦人でしかも処女おとめじゃなかった。だからかはわからないけど、情報が断片的で全て行き渡ってはないみたいなんだよね」



真っ赤になって激昂した硬派くんを宥め、BBは、さらりとそんな説明をしてみせた。


……デリカシーとか、どっかに捨ててきちゃった人達なんだね。

やった後に言うのも何ですが。



「ちなみに、魅了チャームもあんまり効かないよ。この世界に馴染んでなかった最初だけ、かな」

「ふむ……」



エウが何か思案する素振りを見せたけど、あたしは今、別のことを考えている。

最初だけ。

最初だけって、言ったよね。


思い出せ、呼び起こせ、あたしの脳味噌!

最初って……あれか、暗転したちゅうか。

つまりだ、ちゅうからセックスに持ち込むまでが最初か。



「神様……!」

「「「「!?」」」」



急に祈りのポーズを取ったあたしに四人の視線が向けられたけど、そんなのはどうでもよかった。


あたしやっぱり、ライトなわけじゃなかったんだ!

よかった!

あれはよくわからない魔力とやらが作用していただけだったんだね!



「……お前は巫女なのか?」

「そんなわけあるか」



硬派くんの青色ブルーをひたと見て、あっさり否定を口にした。

あたしはただのOLです。


てか、ごめん。

硬派くん、名乗ったっけ?

貴方の名前まで長ったらしかったら、あたしもう、覚えきれないけど。



エウさんの名前はスワヒリ語から拝借しています。

【エウスィ】は【黒】

【バラフ(作中ヴァラフと表記)】は【氷】

という意味だそうです。

BBとディルは、長ったらしい名前がつけたかっただけです。

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