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第二幕 米は日本人の魂、也!!

 今更ですけど第一幕のサブネーム付けるの忘れてました。

今回の第二幕は肩の力を抜きまくって書きました。あまり長々、話すと面白くなくなると思うのでここで失礼します。

 ―5/19日 am7:50 『天布領あまひれ高校・一年a組』― 


 「……垣、八重垣!! 起きろ、八重垣」

 大声、というより耳元で張り上げられた声に机に伏せた上体をがばっと起こす。

 「すいません。夜更かししすぎたッス!! あれ、授業ってまだじゃね?」

 眠気で霞んだ視界、教室の椅子に座る生徒はまばら。半分も居ないんじゃないかといった程だ。視界に映る生徒はクスクスと笑い、笑いの根源、八重垣出流やえがき いづるを見つめる。しかし、全員が八重垣を見ている訳ではなかった。彼の右横、机に挟まれる形で佇む長身の男が居た。

 

 「起きたかい、坊ちゃん? 米と麦、どっちがいい?」とそいつは聞く。

 使用人のような手つきで右手にコンビニのお握り、左手にコンビニの惣菜パンを出す。しかし、手つきとは裏腹に口調はとても使用人のそれとは違う。

 当たり前だ。同じ高校に進学した古くからの友人。長身の男の名は祓地唯ふつち ゆい、八重垣が心から信頼する親友だ。

 「ん、あ? ……何でそんなもん持ってん?」

 「はい? 何を言ってんの、お前が朝早くに電話で飯買ってきてっていうから」

 

 そう言って祓地は両手に乗せる食物を八重垣の机に置き、制服のズボンのポケットから携帯を取り出す。器用に片手で折りたたみの画面を開いて操作し、八重垣の前に着信履歴を見せ付ける。

 「あ、そういえばそうだっけ? ほとんど寝てなかったから頭がボケちまったよ」

 「前から気にはしてたけど、お前、夜中に何してんだよ? まさか、良からぬことでも……」

 「ははっ、基本引きこもりの俺が夜中に徘徊しているとでも?」

 八重垣やえがきの言葉に祓地ふつちは右手を顎に添え、更に左手を右肘を支える様に同じく添える。あたかも名探偵の如く思案深気しあんふかげに瞳を閉じ、眉間みけんにしわを寄せる。

 「……むぅ~ん。分かった、ネトゲか?」

 祓地名探偵の推理は意外と早く結論が出るが、その言葉にうんともすんとも言わず八重垣は肩をすくめて見せるだけ。

 

 「ふむ、そうか。じゃぁ、面白かったら今度でいいから教えてくれよ」

 「分かったよ。……所で、両方食っていいのか?」

 八重垣は祓地にそう告げて、視線を机の上に置かれた米と麦の形成物に移す。

 八重垣から見て右に置かれた握り飯は包装フィルムに『明太子』と書かれている。隣あうように、その左には惣菜パンが置かれている。そちらの包装フィルムには『チーズとベーコンと麦の恵み』と、いかにも添加物マーックスなる物が。

 

 「え、両方食うの? 食っちゃうの?」

 「分かったって、片方な、片方……」

 祓地の怪訝けげんとした顔を察し片方を選ぼうとするのだが、

 (分からん。どっちをとればいいんだ?)

 考え込むように八重垣は瞳を閉じ、両腕を組み思索する。そう、思索、妄想、いやいや……、思索してみる。右目を薄っすらと開け、右のお握りを一瞥いちべつし再びその目を閉じる。

 (見える、見えるぞ!!)

 


まぶたの裏に見えてくる世界は、田園が広がっている。まだ暑い頃か、日は高くまで昇ってはいるがほほでる風が気持ちい。

『田』の『口』で囲まれた字である『十』の形、で田園が区切られた十字路の中央、少女は立っていた。

 少女は背まで届く長い髪を麦わら帽子で隠すように被ってはいるが、隠しきれてはいない。長い髪は時折、吹く風に揺れ鎖骨を隠すようにふわりと揺れ動く。飾り気の無い白いワンピースから覗く鎖骨は鎖骨フェチの俺にとっては高評価だ。ぐへへ……。

 何故だろうか。俺に見つめられているのが気恥ずかしいのか、少女はほほを紅潮させている。おいおい、これ、威力高すぎ。何か、こう、きゅーんって来る感じ。かなりの高得点だよ。

 少女は赤くなった顔を隠すように、背を俺の方へ向けそっぽを向く。

 ……これ、なんてギャルゲ? 無防備な少女の背後を見つめながら俺はそう思った。

 

 「ktkrキタコレ!! 米の無垢な白さは少女の白い肌にあったんだ。白いワンピースはあくまで少女を飾りつける色だけでしかない。いや、飾り付けるのなら、その米を包む海苔にあったんだ。風になびく髪は正に大和撫子、ナリ!!」

 椅子に座して、突然叫ぶ俺は変態にしか見えないだろう。……いや、ごめんなさい。変態です。サーセン。

 静まりかえる教室の情景を一瞬、想像したが、いつも(・・・)のように打ち砕かれた。

 女子達のくすくすと笑いだす声や、男子達の高らかな笑い声。もちろん、それは隣にいる祓地ふつちも例外ではない。

 「ははは、出流いずるさぁ、顔とキャラ合ってねぇーし」

 「そうそう、何かこう大人びたイメージあったけど全っ然!!」

 良い評価なのか、悪い評価なのかはさておき、クラスメイトの面々が口にした言葉は俺個人としてはとても心地が良かった。

 たぶん、言葉の意味じゃなくて、表現するのは難しいが言葉にするなら『雰囲気』が良いんだと思う。 


 

 どうでしたか?

 自分的には脱力しきった感じで書きました。かなりライトに仕上がったと思います。

 自分的には妄……思索してる姿は主人公の『表』を上手く表現したと思います。何かご意見がありましたら、指摘して下さい。

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