第一幕
どうも、初めまして遠江静です。
今回が初投稿になります。R15とかありますが、ぶっちゃけ普通のアクション系の作品です。そこら辺のラノベのアクションと同じくらいでしょう。血が出たり、腕が吹っ飛んだり(たぶん、無いかな~)しても、そこは一つご愛嬌ということで(笑)。
俺は、いつも守られてばかりの弱い自分が嫌いだった。だけど、
弱き者を虐げ、強さを誇示しているように見せる暴漢。
弱きを貪り喰い、富を築いているように見せる略奪者。
弱きを使役し、あたかも力があるんだと見せる権力者。
弱きを作りあげ、安堵して見下すように見させる屑芥。
そんな憎くて、許せない奴らはもっと嫌いだった。
だから、俺はあの時誓った。今よりずっと、ずっと……強くなって弱きを虐げる者に報復すると。
そんな、俺の願望に応えるようにあの女は、力をくれた……。
― 5/18 PM11:50 『帝都都心・路地裏』-
「おいおい~♪ 逃げ足だけは一人まえだなぁ。なぁ……逃げてんじゃ、ないってっ」
俺は必死で走り去る男が手から落としたナイフを拾う。夜闇から脱け出して明るい往来に逃げようとする男の足めがけて、僅かな月明かりに輝く凶刃を掲げ、腕を振り下ろすように投擲する。
たったそれだけの所作でナイフは薄暗い路地に刹那に輝く銀閃と化し、男の右脹脛を貫き、あろうことか往来へと続くコンクリートの床に深々と突き刺さる。
男を縫い留めんとばかりか、脹脛を貫通したナイフのグリップはしっかりしたもので、貫通面は刃の部分よりも断面積は大きい。
何が言いたいかというと、男の骨を砕き、幾束もの筋肉を断ち切った。しばらくすれば感染症に陥り命を落とすか、病院に行けたとしても右足は切断するであろう傷を負わせたのだ。
「がぁぁぁぁあぁぁ!! お、俺が何をしたっていうんだよ!?」
男は痛みに倒れ伏せ、身悶えながらも、幾分かの距離を隔てている俺に向けて粘ついた声音で問いかけた。
事務的で鼻につくような含み笑いを込めた声で間髪入れずに俺は答えた。
「端的に言えば盗みと暴行。いわゆるカツアゲってやつかな」
男は冷や汗を垂らしながら目を見開いて驚愕の声を浮かべた。
「っざけンじゃねぇよっ!! そんなことでこんなことして良いと思ってんのか、クソガキ!!」
悲痛と焦燥の込められた声は往来を行き交う人々に届いているはずだが、お構いなくとばかりに無視を決め込んで黙殺している。
勿論、そうやって黙りこんでいる奴らも俺は嫌いだ。
中には家族の前で正義面をして飛び込む偽善者もいる。だが、それは大抵、昼間のささいな喧騒の中でしか起きないことだ。こんな夜中に飛び込まない偽善者は大抵、温かい家庭に戻り偽りの面を被って、子供たちの前ででっちあげな話をつくり上げ正義面をする。
「はっ、もうすぐ仲間が来るからな!! 恐かったら逃げて帰んな。 ヒャ、ヒャヒャヒャヒャッ……」
脅しのつもりか、顔を狂気に歪め嘲笑う屑芥。
―弱きを作りあげ、安堵して見下すように見させる屑芥―
俺はそんな屑は大っ嫌いだ!!
「仲間……屑が固まっても屑は屑。所詮は屑なんだよ。分かったか、屑? それと、まさかだとは思うけど数で勝ってそんなに嬉しいのかい?」
怒りの感情を抑えた顔で笑顔を無理やり作り上げた俺は、男と隔てていた距離をゆっくりとした歩みで縮めていく。
カツッ、カツッと、靴をコンクリに叩く音を自分の脈拍と同じリズムで刻む。建物に囲まれた路地に、その音はよく反響する。男は刻まれていく音に、顔をより歪ませる。
「はぁ!! な、なぁ、こういうのはどうだ!? ここに金がある、大金だぞ!! ど、どうだ山分けしねぇか? 頼むから見逃してくれよっ!!」
息をするのも忘れていたのか、男は肺に溜まったもの恐怖といっしょに吐き出すように声を震わせ、怯え、身体も震わせる。
「その金はお前のか? 違うだろ、それはあの子から盗ったものだろ。お前のものじゃあない」
俺は少しの間を置いて立ち止まり後ろを振り向き、立ちすくんで怯えている眼鏡をかけた学生服の女の子を一瞥した。
男は煮えをきったかのように、声を張り上げる。
「あぁぁぁあぁぁ、クソ、正義面してんじゃねえよ!! 手前ぇだって俺と同じだろ。なぁ、暴力魔!!」
その言葉に感が触ったのもそうだが何より否定の意思を込めて、決して近くない距離を一瞬で間を詰めて無様に横たわる男の顔面を左の手の平で覆う。
「俺はお前らとは違う。弱きを虐げるお前らとは違う」
男は、左手で顔を覆って隠して表情は読み取れないが、口は不気味な笑みを浮かべる様に口の両端を吊り上げるのが見えた。
「一緒だろ。結局は暴力で俺を痛めつけてるんだ。弱きを虐げているのは誰だ、よっ!!」
どこに隠し持っていたのか、それとも地面に突き刺さった得物なのか、男は左手でナイフを逆手に持って相対する俺の右目めがけて突き刺そうとする。
避けようと思えば避けれた。否、突然のことでも冷静に対処できるはずの俺が避けれなかった。
そう、文字通り、避けようと思えば出来たのだ。
俺は男の言った言葉を考えていた。男は自分を弱き者と言ったのか? それとも俺から見て、弱き者と言ったのか?
解釈の仕方、ようは基準。弱さの物差しとは何だ?
そんな自問をしている内に男の手にしていたナイフは俺の右目を深々と突き刺す。
「ははぁ、ざまぁ無ぇなぁ。お前なんか恐かねぇんだよ。屑がっ!!」
「……確かにざまぁ無い。だからこうしよう」
ゆっくりと右腕を上げ、男の左腕に添うように手を伝わせ手首を優しく包む。
「お前の仲間とやり合う時は、無傷で叩きのめしてやる!!」
男の手首を掴む右手に力を込め高らかに宣言する。
「がぁぁぁぁあぁ!!」
突如、男は悲鳴を上げる。悲鳴にかき消されたが、男の手首からは、がりごりっと飴玉を噛み砕くような乾いた音が鳴り響く。
「さっき言ってたよな。弱きを虐げるのはお前も一緒だと……。だけど、それは違うんだよ」
俺は呆れたような溜息を溢した。しかし、男からは視線を逸らす。その呆れは自分に対しての嘲りなのだから。
「俺は、弱きを守るもんじゃねぇ。まして、弱きを虐げる悪を倒す正義じゃねぇ。だったら、何かって……」
男の頭部を掴んだ左手を赤子を持ち上げるように軽々と吊るす。右手は男の左手首を掴み更に力を込めつつ、男が掴んでいるナイフを右目から抜くように、吊るす左腕とは逆に下の方へと向けていく。
「俺は報復する鬼だ。悪を討つ悪鬼だ」
宙吊りにされた男は俺を見下すような視線で俺を見つめる。呻き声はあげなかったが、その目は見てはいけない者を見るかの様な冷えつき、怯えたものだった。
「こ、っこの化け物!! ぜってぇ殺す!! てめぇなんか死にやがれ!!」
呪詛にしては粗末な暴言。目は怯えているというのに口だけは達者。負け犬も良いところだ。
「あぁ、俺は化け物だよ。だけど、俺は殺せない。俺は死ねないからな」
潰れたはずの右目は血に染まったのか、血管が浮き出ているのか真紅に輝く。
だが、その右目は血の色にに紅く輝いてはいなかった。そもそも、かすり傷さえ見えない。ただ、右目から紅い涙が流れてるだけだ。
その目は、紅き眼は、獣の如く眼を吊り上げ、高いところから見下す男を睨み返した。
ずらずら~、と書きまして「読みにくいよ~」という方もいたかもしれません。それでも、巧く表現しようと尽力しています。
さて、初投稿でまだまだ稚拙な文しか作れない遠江静、日々精進しようと努めますが、読者の皆様のお力を是非、お借りしたいと思います。
今後も学んでいく事が多いと思うので、先輩の皆様が、ご協力していただければ幸いです。