第20話 魔族の王
宇宙が静まり返った。
戦っていた魔族の艦隊さえ、動きを止めている。
巨大戦艦の後ろ。
暗黒の空間がゆっくり裂けた。
その中から
とてつもなく大きな影が現れる。
まるで星のような大きさ。
黒い装甲。
角のような構造。
赤い光る目。
ハイロンが息をのんだ。
「なんだ……あれ」
父さんが低く言う。
「間違いない」
「魔族の王だ」
その存在だけで宇宙の空気が重くなる。
リアが小さくつぶやいた。
「強い……」
魔族の王がゆっくり動いた。
その声は宇宙全体に響く。
「人間」
低く重い声だった。
「よくここまで来た」
俺はロボットを前に出す。
「お前が魔族の王か」
王はゆっくりこちらを見る。
赤い目が光る。
「我が名は」
「ギルガウス」
その名前だけで、空間が震える。
王は続けた。
「この宇宙は」
「我らのものになる」
リアが怒った声で言う。
「女神は渡さない!」
王は少し笑った。
「女神?」
「ただの器だ」
その言葉に、リアの体が光る。
耳が獣の形になる。
金色の瞳が強く輝く。
怒りが伝わってくる。
王はゆっくり腕を上げた。
次の瞬間。
黒いエネルギーが広がる。
宇宙全体がゆがむ。
「試してみるか」
「お前たちの力」
巨大なエネルギーが放たれた。
ドォォォォン!!
宇宙が爆発した。
俺はすぐ念力を広げる。
でも
止められない。
衝撃が強すぎる。
ロボットが吹き飛ばされる。
「ぐあっ!」
リアのロボットも弾かれる。
ハイロン、シーラの機体もバラバラに散った。
たった一撃。
それだけで戦線が崩れた。
俺は震えた。
今までの敵とは違う。
桁が違う。
王が静かに言う。
「弱い」
「その程度で宇宙を守るのか」
そのとき。
後ろのリングが強く光った。
ゲートが完成した。
巨大な光の通路が宇宙に開く。
父さんが叫ぶ。
「ゲートが開いた!」
「今なら外へ行ける!」
リアが俺を見る。
「セロ」
「行こう」
俺は王を見た。
ギルガウスは動かない。
ただ見ている。
まるで余裕の表情だった。
「逃げるのか」
王の声が響く。
俺は答えた。
「違う」
「女神を助ける」
リアのロボットがゲートへ向かう。
俺も後ろを追う。
王の声が再び響く。
「よかろう」
「ならば最後は」
「宇宙の外で決着だ」
その赤い目が光った。
第20話 終わり




