第17話 見えない力
宇宙は静まり返っていた。
でもその中心で、二つのロボットが向かい合っている。
俺のロボット。
そして
魔族の幹部ヴァルグ。
黒い巨大ロボットがゆっくり動いた。
「来るか」
低い声が宇宙に響く。
俺は念力を集中した。
宇宙の空間が、少しだけ歪んで見える。
敵の動き。
エネルギーの流れ。
全部わかる。
ヴァルグが腕を振った。
黒いエネルギーが飛ぶ。
ドォォン!
俺は手を動かす。
見えない力が広がる。
空間が曲がる。
黒いエネルギーが横へ逸れた。
「何!?」
ヴァルグが驚く。
俺はそのまま前へ進んだ。
ロボットが高速で突っ込む。
念力を集中。
拳に力を集める。
「これで!」
ドン!!
見えない衝撃がヴァルグの機体を直撃する。
巨大なロボットが後ろへ吹き飛んだ。
ハイロンが叫ぶ。
「すごい!」
ヴァルグのロボットが体勢を立て直す。
でも装甲にヒビが入っていた。
「……面白い」
ヴァルグの声はまだ落ち着いている。
「だが」
「まだ終わらん」
黒いエネルギーが機体の周りに集まる。
巨大な刃のような形になった。
そして
高速で突進してくる。
「セロ!」
リアが叫ぶ。
俺は動かない。
念力をさらに広げる。
敵の動きが遅く見える。
そしてその瞬間を待つ。
ヴァルグが振り下ろした。
その一瞬。
俺は手を握った。
「止まれ」
空間が止まったように見えた。
ヴァルグのロボットが一瞬だけ動きを止める。
「なに!?」
その隙に俺は前へ出た。
拳にすべての念力を集中する。
「これで終わりだ!」
ドォォォォン!!
宇宙が光った。
ヴァルグのロボットが真っ二つに割れる。
爆発。
黒い破片が宇宙に散った。
静寂が戻る。
通信が開いた。
ヴァルグの声が聞こえる。
弱々しい声だった。
「まさか……」
「人間がここまでとは」
俺は静かに言った。
「宇宙は壊させない」
ヴァルグは小さく笑った。
「安心しろ」
「これは……まだ始まりだ」
「魔族の王が目覚めれば」
「この宇宙は終わる」
その言葉を最後に。
通信は切れた。
残骸がゆっくり宇宙に流れていく。
リアが言った。
「セロ」
「勝ったね」
俺は遠くの星を見た。
でも胸の中は静かじゃない。
ヴァルグの最後の言葉。
魔族の王。
それが本当の敵だ。
父さんの声が通信に響く。
「みんなよくやった」
「だが戦いは終わっていない」
リアが空を見上げる。
遠くに不思議な光が見えていた。
女神のエネルギー。
宇宙の中心。
俺は拳を握る。
「行こう」
「セレスティアを助けに」
宇宙の旅はまだ続く。
第17話 終わり




