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眠れる勇者99九回目で  作者: ネム・サブロウ


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三部5話目将軍の笑顔は地獄の合図

読んでいてくれた方1月以上だってしまい申し訳ございません、これから読んでくださる方、誠にありがとうございます!

カーカー


5人は時間を忘れて話し合っていると、

それぞれが異世界に来てから感じていた違和感や不安を、

言葉を選びながら少しずつ吐き出していた。

笑い声が混じることもあれば、沈黙が落ちる瞬間もあり、

その空気は不思議と居心地の悪いものではなかった。


背後から男が声をかける。


男「こんにちは、皆さん。お初に目にかかります。

スミロ軍の将軍をしています、グルートです。」


突然背後から響いた低い声に、

5人の肩が同時に跳ね上がる。


5人は咄嗟に立ち上がり、お辞儀をする。


将軍という肩書きに、場の空気が一気に引き締まった。


三郎「(今までループしてきたけど、接した事はない)」


これまで幾度となく繰り返してきた時間の中で、

名前だけは知っていた存在。

だが、こうして正面から対面するのは初めてだった。


祐希「(イケオジだぁ、)」


年齢を感じさせる落ち着いた雰囲気と、

無駄のない体の動き。

ただ立っているだけで、只者ではないと分かる。


環奈「(つよそぉ、)」


視線を向けるだけで圧を感じる。

それが将軍という存在なのだと、環奈は直感的に理解していた。


グルート「皆さん、頭を上げてください」


その声は穏やかで、威圧感はない。

だが、逆にそれが緊張を強めていた。


グルート「今から、皆さんに訓練をしてもらいます」


その一言に、空気が微かに揺れる。


風月「訓練!?」


反射的に声が漏れた。


健太「きついですか」


恐る恐る尋ねる健太に、

グルートはわずかに口角を上げる。


グルート「キツくなるのはこれからです。今日は

能力検査と、その引き出し方法をやってもらいます」


一同は安堵のため息を吐く。


“今日は”という言葉が、

今後の厳しさを予感させていたが、

とりあえずの安心感が勝った。


グルート「皆さん、馬車があるのでお乗りください」


三郎達は馬車に乗り始めた。


軋む音を立てながら動き出す馬車。

揺れに合わせて、緊張も少しずつ緩んでいく。


馬車で移動中の事、

祐希が三郎に疑問を問いかけた。


祐希「三郎くんは本当に1000回目のループなのか?」


三郎「うん」


即答だった。

迷いのない返事に、祐希は小さく息を呑む。


環奈「なんで私たちが、ここに来たのかわからないの?」


三郎「生活サイクルの乱れと白昼夢、明晰夢が原因って説が有力なんだ」


あくまで“説”でしかない。

確定的な答えがないことが、

逆にこの状況の不気味さを強めていた。


風月「そうなんだ。じゃ、ループの原因は?」


三郎「魔王が原因じゃないかって思ってる。でも確信はないんだ」


健太「とにかく魔王を倒したらいいんだね」


三郎「そういうとこになるね」


5人が話していると、

馬車の揺れが次第に収まり始めた。


グルート「皆さん!着きました!」


5人は馬車から降りる。


そこには多種多様の武器が揃っており、

すでに数人の兵士が訓練をしていた。


剣がぶつかる音、

地面を蹴る音、

荒い呼吸が空気を震わせている。


巨大な道場。


三郎「うぉ」


風月「かっこい」


健太「グルートさん!入っていいですか!」


健太はキラキラした目で聞く。


純粋な憧れが、そのまま表情に出ていた。


グルート「いいですよ」


ニコニコしながらグルートが答える。


その笑顔が、なぜか不気味に映る。


環奈「私もええ?」


グルート「はい、どうぞ」


風月は小声で三郎に呟く。


風月「なんで、あがなニコニコしとんの?」


三郎「??? ごめん、わからなかった」


風月「あ、ごめん。なんであんなにニコニコしてるのなぁ〜って」


三郎「そういうことね。あの笑顔はものすごく裏を感じるよ。訓練のキツさを、あの笑顔は物語ってるよ」


風月「私、入る気にならないもん」


三郎「僕も」


二人の間に、重たい沈黙が落ちる。


グルート「お二人!お入りください」


そう言われて三郎と風月は渋々入った。


数分後。


ガラガラ。


扉が開く音と共に、

空気が一段階、張り詰める。


グルート「シュン様、お待ちしておりました。

あ!ルミナ様もお久しぶりです!」


シュン「グルートさん!前線から帰ってきたのですね!」


ルミナ「お久しぶりですね。子供所以来ですね」


グルート「大きくなりましたぁ」


その言葉には、

長年の付き合いを感じさせる温度があった。


グルートは手をパチッと鳴らす。


音が合図のように、

周囲の兵士たちの動きが止まる。


グルート「皆さん!お集まりしていただき、感謝申し上げます!

国王様から三郎パーティーの教育係を務めさせていただきます!

ここに集まってもらったのは、シュン様とルミナ様チームと、

三郎パーティーの対決をしてもらおうと思います!」


それを聞いた5人は、

驚きの表情を見せた。


三郎を除いた4人は、

少しの不安や、少しの楽しささえ感じていた。


未知への恐怖と、

強者と戦えるかもしれない期待が混ざり合う。


だが三郎は、悪魔に脅されたような表情をしていた。


祐希「三郎くん、なんでそんな地獄のような顔してるのかい?」


三郎「えぇ?そりゃ、今から地獄以上の地獄が始まるんだよ」


三郎の脳内は、

今までのループでの記憶が延々と駆け抜ける。


何度も見た光景。

何度も味わった敗北。

そのすべてが、嫌というほど蘇る。


グルート「シュン様は素手でお願いします。

ルミナ様は1%ぐらいでお願いしますね。

皆さんは本気で!では!よーい、始め!」


5人は状況がうまく理解できず、

その場で硬直する。


次の瞬間――


シュンは待ちきれず、5人に襲いかかる。


シュンは一瞬で、風月、健太、環奈を手刀で気絶させた。


何が起きたのか理解する前に、

三人は地面に倒れていた。


シュンがターゲットを三郎に変え、襲ってきた。


三郎は謎の人物の戦闘経験を活かし、

身体が勝手に反応する。


シュンの攻撃を避ける。


三郎「っ!危ねぇ!」


シュン「(避けた!)」


わずかな驚きが、

一瞬だけシュンの意識を逸らす。


その一瞬の油断が、シュンに隙を与えてしまった。


三郎はシュンの腹に手をかざし、


三郎「コルムナ・イグニス!」


魔力が一気に解放される。


だが、その攻撃すらシュンには通じず、

風魔法でシュンは巻き取り、三郎に攻撃し返した。


三郎「うぁ……(まだこんなに離れてるのか)」


バタ。


床に叩きつけられる音が、

道場に重く響く。


その光景を見ていた祐希の心拍が上昇。

鼓動が異常に早くなり、過呼吸になり、

目の前が霞み始める。


体から黒いオーラを放ちながら――


本人に自覚はない。

だが、確実に何かが目覚め始めていた。


それに最初に気づいたのはルミナだった。


ルミナ「シュン!祐希くんが!」


シュンが首を向ける。


だが行動をする前に、

祐希の能力が暴走を起こし、大爆発を引き起こした。


衝撃波が道場を包み込み、

視界が白に染まる。


その光景を見ていたのは、

三郎とシュン、ルミナだけだった。

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