第三節 日常、リターンズ
「ガラガラガッシャン‼」
椅子が飛び交う教室。
「パリィイイン‼」
遂にはガラス窓が割れた。
「誰だぁ!? この俺を集団で襲撃しようと目論んだヤツはぁ!!」
松本が吠えた。
松本――、
マスク着用、黒髪短髪、身長185cm、体重100㎏、金持ちで少し不幸。
「黙れ」
おっと口が過ぎたようだ。
「てめぇか!?」
「ゴッ!!」
「てめぇか!?」
「ゴッ!!」
「それともてめぇか!?」
「ゴッ!!」
生徒A,B,Cの顔面を、松本の鉄拳が襲った。何体もの死体が出来上がった教室内、その様相は正に戦国時代の合戦の跡の様だった。
「いったい誰だぁ!?」
「俺だよ」
そこに登場したのは、パパラッチャーバカアキ。右手にはAIBOの一眼レフを持っている。
「て……てめぇは……!?」
松本は冷や汗を額に数滴掻きながら、汚いものでも見る様な目でバカアキの姿を、正に頭のてっぺんからつま先まで舐めまわすかの様に眺めていた。バカアキは一升びんの酒を開けながら口を開く。
「最近、スキャンダルが少なくて――、な。ケンカの1つや2つでもあればと、栄一2人分をチラつかせたのs(ry」
「ゴッ!!」
バカアキがセリフを言い切るか否かの刹那――、松本の鉄拳が顔面を襲った。
バカアキ、死す!!
フーと、大きく息を吐いた松本は、清々した様に言う。
「刺客は居なくなったか。これで朝から昼寝ができるぜ」
「松本――!! ここで逢ったが三千年目!! くたばりやがれ――!!」
「!?」
一息つく間も無く、何者かが松本を金属バットで襲った。
「ゴッ!!」
「へ?」
「フッ……カランカラン」
しかし松本は右手でバットを持った相手の腕をなぎ払い、バットは宙を舞った。
「あっ……ちょ……」
「お前は誰だ?」
「えー? 俺のコト忘れたの?」
「お前は誰だと聞いているんだ」
「の……延安だよ! の! ぶ! や! す!」
バットで襲ってきたのは延安だった。
「そうか……“ノブヒコ”。1人でこの俺に向かってくるとは、いい度胸だな」
(お……俺の名前、延安なんだけど……)
松本はゴキッゴキッと拳を鳴らしながら、困惑する延安を他所に臨戦態勢に入る。そこへ――、
「残念だったな、松本。1人じゃない……!!」
「!?」
「松本、俺も相手だ」
「てめぇは……!!」
颯爽と現れたのは2年だった。
「2年の……野郎……!?」
松本は固く握った拳を振り下ろさずにはいられなくなっていた。
「おっと……」
「!?」
2年は右手で松本を制止させ、左手で何やら胸元からゴソゴソと取り出した。それは数枚の写真だった。
「早まるな松本……さっきのケンカの一部始終……それをこのポラロイドカメラで撮り現像したのがここにある写真だ。それをPTAに提出するとどうなるか……、分かるだろう?」
「ヤロウ!!」
松本の両眼は充血し、こめかみは血管が浮き上がっていた。爆発寸前である。フルフルと震える松本を他所に、2年は続ける。
「ハハ……そう熱くなるなよ、松本。最近、リアルがつまらなくて――ね。それに運動不足気味なんだよ。1つ――、軽い運動でもしようじゃ……ないかっと!」
2年は流暢に話すと、急に走り出した。
「なっ!? ちょ、待てよ」
松本は堪らず2年を追いかける。
2年は50m走5.8秒の俊足。それに対して松本は6.8秒の鈍足。二人の差はどんどん離れていった。
一方その頃、教室では――、
「ハッ!? 二人の会話に入っていけずに、忘れ去られたー!? 待てぇ、松本ぉおお!! 俺を蚊帳の外に置くなぁ――!!」
延安が松本VS.2年に加わっていた。
「待てコラぁ!!」「フッ、追いついてみな」
二人が軽い運動をしている最中――、
「ん? アレは……松本?」「ん? 何だ……?」
セキズとフタエが通りかかった。
To be continued.
これは、私の最後の精神科入院時に書いた話です。汚染された環境、閉塞的な環境で泣きながらチラシの裏にボールペンで書いてました。誤字脱字だらけで、きったない字なので今からぐしゃぐしゃにして捨てますね。「グシャグシャっ……ポイッ」続きは来月くらいに書きます。いつか帰ってきます。また帰ってきた松本達なので――、ね。




