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俺は結婚式の前の日に、彼女の目の前で亡くなってしまう!

作者: 七瀬





”俺は結婚式の前の日に、彼女の目の前で亡くなってしまう!“




・・・絶対にあってはならない事を俺はしてしまった!

3年付き合っていた彼女と結婚式の前の日に、俺は彼女の目の前で

亡くなってしまったのだ!

俺と彼女が信号がない横断歩道を渡ろうとした時、猛スピードで

ダンプが俺と彼女を目掛けて突っ込んできたんだ!

俺は咄嗟に彼女を庇って車に轢かれてしまった。

”俺は即死だった!“

彼女は軽いかすり傷で済んだのだが、俺はそのまま病院に運ばれ、

死亡届を出される。



『”な、なんで拓ちゃんが死ななきゃいけなかったの! 明日、私達の

結婚式だったんだよ、私を置いてなんで先に死んじゃったんだよ、“』

『・・・紡さん、拓海は?』

『”ごめんなさい、義理のお父さん、お母さん! 私だけが生き残つて

しまって、拓ちゃんが、拓ちゃんが私を助けるために、“』

『もういいのよ、紡さんが悪い訳じゃないでしょ! 拓海を轢いた

車の運転手が全部、悪いの! この運転手、お酒を飲んで運転して

いたって警察から聞いたわ! 運転手のこの人がお酒を飲んでいなかったら? 

拓海は交通事故なんかに巻き込まれなくてすんだかもしれないと思うと、』

『・・・お、お母さん、』

『そうだよ、紡さんは何にも悪くないんだ。』

『お父さん、』

『”拓海も紡さんを救えた事を誇らしく天国で想っているはずだわ。“』

『・・・あぁ、は、はい、』

『だから、もう泣かないで! 皆で前を向いて進む為にもね、』

『はい!』





彼女の泣きじゃくる姿を見て、俺は胸が締め付けられる!

あんなに彼女に何度も約束したのに、、、。

”俺がこの先、紡を責任を持って幸せにしてみせるから、

紡はなんの心配もしなくていいからな!“ 俺が彼女にそう言うと?

彼女は嬉しそうに俺に何も言わず、【うん】と頷いた。



・・・でも? もうその願いは叶えてあげられない!

【俺は死んだのだから。】

これからどうしたらいいのだろう?

俺は既に、”体を持たない浮遊霊なのだ!“

泣きじゃくる彼女を俺は強く抱きしめてあげたいが、彼女の体を透けた

俺の体が通り過ぎてしまう。

もう彼女に触れる事も抱きしめる事もできなのか。



そんな時、俺が運ばれた病院で俺ぐらいの歳の男が亡くなろうとしていた。

俺は咄嗟に、彼に話しかける!



『”お前がこの体を要らないと言うなら、この体を俺にくれないか?“』

『えぇ!?』

『”もう生きる気がないんだろう? この社会に絶望して生きる気力が

なく自殺を図ったんじゃないのか? それならこの先の人生をお前の体で、

頼む、俺には愛する彼女もいるんだ! この体、俺にくれないか!“』

『・・・別にいいよ、君がこの体を欲しいと言うなら、あげてもいい!

ただ凄く苦労すると思うよ、それでもいいのか?』

『・・・そ、それは、どういう事だよ、』

『”もう時間がない、どうする? この体、本当に要るのか? 

君が今すぐ選択しろ!“』

『”要る! 俺にこの体をくれ!“』

『あぁ、分かったよ、じゃあ、後は頼む! 僕はもう行くよ。』

『・・・あぁ!』





 *





俺は彼の体にスッと魂が入り、ベットで目を覚ます!



『”こ、幸介! め、目を覚ましてくれたの! よ、良かった、

もうダメかと想ったわ。“』

『よ、良かった、生きててくれて!』

『・・・・・・』

『幸介さん? ”この人たちが分かりますか?“』

『えぇ!?』

『”記憶が一時的に失っている可能性があります。“』

『先生! 幸介の記憶は戻るんですよね? 大丈夫なんですよね?』

『・・・今のところはまだ何とも、』

『幸介! お母さんよ、大丈夫なのよね? 記憶がなくなったりして

ないわよね!』

『”お母さん、まだ幸介さんは目を覚ましたばかりで、安静にしていないと

いけません、今日のところはもうお引き取りください! また明日、

幸介さんのお見舞いに来てもらって、“』

『あぁ、そうしようお母さん!』

『そうね、スミマセン! 今日はもう帰ります、じゃあまた明日ね幸介。』

『じゃあな!』

『・・・・・・』






・・・これからどうしたらいいのだろう?

俺は彼の人生の続きから人生をはじめなくてはいけない!

そもそも、”彼がどんな人生を歩んできたのか何にも俺は知らないのだ!“

先居たのは? ”きっと彼の両親なのだろう。“

でも今、彼の体に入っているのは違う人間だ!

適当に話す事も出来なかった。

あまりにも俺は彼の事を知らな過ぎた!




数日後、俺は無事に退院する事が出来たのだが......。

検査の結果! もうどこも悪くないから退院していいと先生に言われる。

ただ俺は、”記憶喪失“を装うしかなかった。

何も分からないのだ! 彼の事を何も知らない。

だからただ黙って彼の両親の言う通りに、”実家で休養を取る事になった!“



『”幸介の住んでるマンションは、時々私が掃除に行ってるのよ。

明日にでも一緒にマンションに行きましょうね。“』

『・・・・・・』


彼はどうやら? 一人暮らしをしていたらしい! 正直、少し心が

ホッとしている! 彼の両親と一緒にこれからも居るかと思うと心が

ドット疲れたからだ。

全く知らない赤の他人で、ましてやこの体の本当の持ち主の親とずっと

一緒には住めないよ。

いつか俺が彼じゃないとバレてしまうんじゃないかとヒヤヒヤして

夜も眠れやしない!

それに俺は彼女とまたやり直したいという夢がある!

”今度こそは、彼女と結婚式を挙げる夢がね!“







 *






しかし、それから数年が経ったが未だに俺は彼女になかなか近づけない!

キッカケがないし、それに違う体に生まれ変わった俺を彼女になんて話し

ていいのか分からないのだ!



それに彼女はいつの間にか、”俺の可愛がっていた後輩と急接近していた。“

友達以上の関係になっていたのだ!

まさかだけど? ”コイツと結婚したりしないよな、紡?“

俺の夢が今にも消えそうになっていた。

頼む! もっと俺に勇気をくれ!



『・・・あぁ、あのう? スミマセン? この辺りに○○と言う

カフェがあると聞いて来たんですが、知ってますか?』

『えぇ!?』

『・・・ど、どうかしましたか? 私の顔に何かついてます?』

『”い、いえ、俺の大好きだった女性に物凄くアナタが似ていたので、“』

『そ、そうなんですね、私にも大好きな男性ひとが居たんですが、

亡くなってしまって、スミマセン! 初めて会った男性ひとに、

私は何言ってるんだろう?』

『いいんですよ、もし良かったら? その話、一緒にカフェに行って

聞かせてくれませんか?』

『・・・あぁ、はい!』

『良かった、じゃあー一緒に行きましょう。』

『はい。』









・・・俺はどうやら? ”神様に大きなチャンスを貰ったらしい!“

このチャンス! 必ずモノにするぞ!

でも? ”相変わらず紡はキレイだ!“

俺はこのために、彼の体をもらい受けたんだと再確認する。

絶対に後悔だけはしないと俺は決めているんだ!

一か八か? やるしかない!



最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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