第二話
あまりにも突然のことだった。
猛スピードで突っ込んでくる車は、駐車場の段差を運悪く乗り上げでそのまま、私に衝突してきた。そのまま吹っ飛ばされた私はコンビニのアクリル板に跳ね返るように激突し、この時点で背骨と肋骨が折れた私にさらにダメ押しの一発だ! と言わんばかりの二度目の衝突をしたのだ。
「……っ、ぁ」
自分の状態を確認した。
口を動かそうとすると、呂律が回らないのか、あるいは舌を切ってしまったのか動かすの
がないし、息をしようと酸素を取り込もうとすると、先ほども言ったが肋骨と肺が潰れ、漏れているような感じで、息がしづらい。というかそんな余裕すらない。
五体満足だった自分の手足は動くことすらもままならない。
唯一、動かせる指先でも砂すら持てない、まるで撫でるかのように触れられる程度だ。
暗いとさえ思えていたあの景色がさらに、靄のようなものがかかり視界に映るものが見
えにくい。
死の一本手前……瀕死の重体だった。
「……」
だが、不思議と自分が死に向かっていることに怖がることがなかった。
不幸中の幸い……なのか全体に自然と痛みを感じなかった。アドレナリン出まくっているせいだろう……。
父さん、母さん、姉と弟よ。そして、数少ない私の友人のサッチー、イデジン、それと……。
やべっ、数えだしたらキリがねぇわ。まあ、いい。最後に別れの告げ口も言えない私を許してください。
かくして。私……ならぬわたくし、翡翠満月の二十二という短い生涯を終えて、俺は人生の幕は下りた……。