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11 第二王子の婚約者



 ザカリアスが記憶喪失になったことが公表された。


 そのせいで王太子妃候補の全員が落とされた。


(また同じ流れだわ)


 リセットの記憶によれば、次は王太子妃候補の一人がリヴァイスの婚約者に選ばれる。


 今回はというと、


「私が第二王子殿下の婚約者に?」

「第二王子殿下のたっての希望だそうだ」


 父親はため息をついた。


「小花の髪飾りを拾って渡してくださったただろう? あの時から気になり始め、婚約者を選ぶならお前にしようと思ったらしい」


(こんなことになるなんて!)


 一回目と二回目はザカリアスが髪飾りを見つけたが、三回目はリヴァイスが見つけた。


 これは大きな変化だが、リセットは自分のせいで変わったとは思えなかった。


 ただ、この部分が変わった理由については予想できなくもない。


(きっと、巨大な魔法陣を出現させた人物のせいだわ)


 やり直しになっているのは、ザカリアスの葬儀の最中に出現した巨大な魔法陣のせいだとリセットは考えていた。


 そして、その人物の行動が変わったことが、リセットの落とした髪飾りにも影響を与え、見つける人物を変えてしまったのではないかとリセットは推測した。


(普通に考えれば優秀な魔導士。王宮魔導士かしら?)


 しかし、王宮魔導士の情報をリセットが入手できるわけもない。


(お父様が中央官僚だったらよかったのに)


 王家の決定に従わないわけにもいかず、リセットはリヴァイスの婚約者になった。





 王宮で婚約の顔合わせが行われた。


 第二王子の婚約式が身内だけなのは、王太子が記憶喪失の状態であること、王太子妃候補の審査に落とされた者から選ばれたことを考慮した結果だと説明された。


「ごめん」


 リセットはリヴァイスから謝罪された。


「リセットが兄上のことを想っているのは知っている。それでも、リセットが良かった」


 王太子が王太子妃候補から誰も選ばなければ、その中の一人を第二王子が婚約者にすることが決まっていた。


 リセット以外の王太子妃候補は有力貴族の令嬢で、王家としてはつながりを持っておいた方が有益。王太子が駄目なら第二王子がつながりを持てばいい。


 政略的なものだけに拒否権はなかった。


 但し、王太子妃候補の中からであれば希望は出せることになっているのを逆手に取り、リヴァイスはリセットを希望した。


 国王は渋ったが、ザカリアスがリヴァイスの意志を尊重すべき、候補の中から選んでいると言って味方をしてくれた。


 問題が発生した場合は選び直せばいいということで、なんとか婚約をもぎ取ったことが説明された。


「王子としての責務があることはわかっている。でも、有力な貴族が外戚になるのは危険だ。娘を王妃にするために、僕を王位に就けようと思うかもしれない。だから、僕は有力な貴族の女性を妻にしない方がいいと思っている」

「そうですか」

「まだ婚約だ。時間がある。その間に互いのことを知り合いながら距離を縮めたい。どうしても無理そうなら……その時にまた考える。しばらくは我慢して貰うしかないけれど、リセットの意志を尊重するから安心して欲しい」


 リセットはリヴァイスの優しさと誠実さを感じた。


「わかりました。第二王子殿下と一緒に王太子殿下をお支えしながら守ります!」


 リセットはこれまでにおいて一番良い状況かもしれないと感じた。


 王太子妃候補になっても審査に落ちるだけ。ザカリアスの婚約者には選ばれない。そして、ザカリアスは暗殺されてしまう。


 だが、リヴァイスの婚約者になれば、かなりの立場だ。


 様々な情報を得ることができ、ザカリアスの暗殺を阻止できるかもしれないとリセットは思った。


「そうだね。二人で力を合わせて兄上を守ろう。これからは名前で呼んでくれるかな?」

「わかりました」


 リセットが了承すると、リヴァイスはとても嬉しそうに微笑んだ。




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