第3話
第3話更新しましたー!
よろしくお願いします!
「あなたも相変わらずのようね……そういう誰の前でも気弱な姿勢で喋るとこ」
艶のある茶髪を軽く靡かせながら彼女の代名詞ともいえる、くっきりとした二重で俺を凝視してくる。
「たった1年でね? 変わるわけないじゃないですか」
「ふふっ……それもそうね」
先輩は微笑みながら覗き込むように俺の顔を見つめてきた。
「……えっ? な……なんかついてます?」
「なにもついてないわよ。安心して」
彼女は続ける。
「私、相手側に目糞や鼻糞……それにチンカスがついてたら、すぐに指摘しちゃうタイプだから」
「チ、チンカスって……ま〜~たそういうこと言う」
これぞ桐嶋節と呼ぶべきか……。
「前から言ってますよね? そんな穢らしい言葉を先輩の口から聞きたくないって……」
このようによく……反応に困るようなね?
穢らしい言い回しをしてくる癖がある。
「なら、恥垢は? どう? お上品になったでしょ?」
「だ、だから……」
こう何回言っても……。
いつまで経っても直そうとしてくれない。
「あなたもいい加減慣れなさいよ? もう実質……七年の付き合いでしょ?」
今みたいな目糞やら鼻糞やら……一応、チンカスもまだ序の口。
特に大学時代の彼女は——
高田馬場のロータリー広場でドンチャン騒ぎしてるヤリマンクソビッチ共‼︎とか。
この肉便器が‼︎とか。
この粗チン野郎が‼︎などなど……。
レパートリーは豊富でそれはもう……あと誰々のヴァギナはよく使ってたな……。
「ま、まあ……それなりの付き合いにはなりますけどもぉ……」
彼女とは高校時代に知り合い、同じ大学に通っていたわけではないが、共に東京の大学に通っていたという縁。
お互い連絡は頻繁に取ってたし、大学時代はご飯や飲みにも月一の頻度で行き、その都度彼女の口から排出される穢らしい言い回しをね?
耳にタコができるほど聞かされていた。
「せっかくの顔立ちが台無しになるんですって! それをもっと自覚してください‼︎ ホント……あなたのためを思って言ってるんですよ?」
よくもまぁ……こんな本性をひた隠ししながら化けの皮を被り続けられているよ。
端正な顔が勿体ない、台無しだよ。
「美人なんて……私にもそんなお世辞言ってくれるのね? 達樹くん」
先輩はどこか悲しげに苦笑を漏らしながら、語りかけてくる。
「べ、別にお世辞なんかじゃ……せ、先輩は——」
性格はともかく……誰もが羨む完璧な容姿だからな。
吸い込まれるような可愛らしい目元に、豊満な美ボディを誇る美しさ。
そんな二刀流を体現している、手が届かない……別世界の住人。
どこぞの人気ファッションモデルに引けを取らないぐらい整えられた造形には高校時代、多くの男子が虜にされたと聞く。
「そんなことよりさっさとお店に行きましょ。予約時間まであと五分くらいあるけど……多分もう入れると思うから」
俺の言葉を遮るかの如く。
予約していた居酒屋へ向け、先輩は走り出す。
「ちょっと……! 待ってって!」
そんな彼女を追いかけるべく、こっちも急ぎ足であとを追う。
まったく……相変わらずだ。
相変わらずマイペースなお人だよ。
歩くスピードもヒールを履いていると思えないほどの速さだし……。
……しかし、今日行く居酒屋。
食べログとか、その店のSNSとかで調べてみるとね?
どうやら2年ほど前に開業され、和のお酒や洋のお酒など、様々なお酒を楽しめるのが売りとのこと。
値段に関していえばまあ……。
中々いいお値段するんだよなぁ〜~……。
果たして今日、自分の財布の中に入ってるお金で乗り切ることができるんだろうか?
今の所持金は2万と4千。
最悪、一回コンビニとかで金下ろしに行かないといけんのかなぁ……トホホ……。
気が遠くなりそうな出費に恐れおののきながらも……俺は先輩と一緒にお店の中へと入っていった。
読んでいただきありがとうございます!
もしよろしければ、ブクマ・評価もよろしくお願いします!