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僕らは異世界生活に憧れる  作者: 山波 藍
第二部
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四人の幹部

梅雨ですね

「そうだね。って言っても、相手はレビオロだけじゃないよ。レビオロを支える側近と、四人の幹部たちも相手しなくちゃいけないんだ」


 レビオロに仲間がいることを考慮していなかった俺は、少し気分が落ち込んだ。魔王と、その直近の部下たち、肩書きだけでも十分に恐ろしい。


「そうか……。じゃあ、その側近たちの事も教えてくれないか? 前回戦ったときのこととか、弱点があるのか、とか」


「もちろんそのつもりだよ。まず、四人の幹部についてだけど、こいつらは四大元素と大きく関わっている」


「四大元素と……?」


「そう、火の化身レッカ。水の化身ウビナ。風の化身イグオム。土の化身クレムロ。それぞれが属性の名を冠してるから分かると思うけど、使ってくる魔法はそれに特化してるよ」


 なるほど、分かりやすくていいな。今の俺では歯が立たないだろうが、使ってくる魔法に関しては対処できないわけではなさそうだ。


「注意するべき点はそれだけなのか?」


「あとは幹部たちの特異についてだね。四人の幹部はみんな、属性魔法の無効化っていう特異を持っている。レッカに、火属性の魔法は効かないし、ウビナには水属性が効かない。イグオムは風属性、クレムロは土属性の魔法を完全に無効化する。威力の大小に関係なくね」


 渚の説明のおかげで幹部たちのことについては大体把握することができた。威力の大小関係なく無効化する特異は少しめんどくさそうだが、属性が限られているのならばそこまで脅威ではない気がする。


「じゃあ、幹部たちと戦うときは相性を考えてマッチアップすればいいってことか?」


 魔法にだって属性の相性があるだろう。それを考慮して、的確な人員配置をすれば問題ないはずだ。


「うん、理論的にはね。でもこの四人は連携を取って戦う技術に長けている。お互いの欠点を補いつつ、逆にこっちの相性が悪いように立ち回ってくるんだよ。前回の戦いのとき僕たちはこの連携を知らなかったから、多くの被害者を出してしまった」


「四人でいるときは欠点がないってことか。……なら、連携を取らせなければいい。なんらかの方法で分断させて、各個撃破ってのはどうだ?」


「それも悪くはないんだけど、肝心な各個撃破をできるほどの人材がいないんだ。幹部一人一人が、ライカと同じくらいの実力を持っている。だから、うまく分断させることができたとしても、返り討ちにされる可能性のほうが高いんだよ」


 自分の考えの甘さを実感させられた。幹部たちが持つ特異は使い方によってここまで脅威になるのか。これじゃ対処の仕様がない。


「知れば知るほど勝てる気がしねーな。なんか策はあるのか?」


「この四人はエルクさんにお願いしようと思ってるよ。エルクさんが使う特異は、重力。重力を自在に操作することで、あらゆるものを押し潰す。策というか、単純に力で圧倒してもらう」


 重力魔法か、チートだな。さすがS級と言うべきか。でも、エルクさんの特異なら無効化の対象にならないとはいえ、四人同時に相手するのは厳しい気がする。


「重力を扱う魔法の強さは大体想像できるけど、それでも一人で戦うのは無茶があるんじゃないのか?」


「大丈夫だよ、エルクさんの強さは登真の想像以上だから。中途半端な援護はエルクさんの邪魔になるから、むしろ一人の方がいいと思うよ。ね、ライカ」


 俺が少し不安そうな顔をしていたからなのか、渚はライカに同意を求めた。ライカは目線を上に向け、幾度か小さくうなずいた。


「そう、ね。多分私が四人いても、エルクさんには敵わないわ」


 ライカはそう言った後も何かを考えるような仕草をしていた。エルクさんとの戦闘をイメージしているのか、首を傾げて「やっぱ無理ね」と呟いていた。それでもまだ少し心配だが、エルクさんのことをよく知っているであろう渚とライカがここまで言うのなら、黙って信じよう。


「登真もエルクさんに会えば、僕たちが言ってることに納得できると思うよ。あと数日すればギルドに戻ってくるはずだから、そのとき紹介するよ」


「分かった。俺もちゃんと挨拶しておきたいから、よろしく頼む」


 近いうちにエルクさんと会うことができそうで良かった。渚の友人として紹介されることにプレッシャーを感じるが、S級のギルドマスターと話すことができるのは楽しみだ。渚はマナを失っているし、実際S級がどれほどすごいのかまだよく分からないからな。


「もちろんだよ。ちょっと無愛想だけど、優しい人だから安心して。話を戻すけど、四人の幹部たちについてはエルクさんがいるから大丈夫。それより問題は……」


「側近のアレンシス。あいつだけは絶対に私が殺す」


 渚の言葉を遮ったライカの声は、いつもより冷たかった。思わずライカの顔を見てみると、まるで光が失われているような、黒く濁った目をしていた。場の空気が一瞬凍りつき、俺は何も言えず目を伏していた。その雰囲気の悪さに気付いたのか、我に返ったライカはいつもの調子でまた話し始めた。


「……ごめんごめん。アレンシスには個人的に恨みがあるのよ。こんなんで感情的になってちゃダメね」


「いや、大丈夫。……恨みって、一体なにがあったんだ?」


 簡単に聞いていいことなのか悩んだが、一緒に戦う相手の情報はなるべく共有しておきたい。もちろん言いたくなさそうであれば無理強いをするつもりはないが、ライカからそんな素ぶりは見えなかった。


「もう10年以上も前のことだけど、アレンシスに故郷を滅ぼされたのよ」


「故郷を……」


「そ、小さな村だったけどね。この街の外れにあったのよ。魔族の領地に近いとこだったから、元々安全な場所ではなかったわ。でも、村の大人たちはそれなりに魔法を使うことができたから、自分たちの身は自分たちで守っていたの。決して裕福とは言えなかったけど、みんな故郷を愛していた。……もちろん私もね。優しくて暖かいところだったわ。あいつが現れるまでは——」

もうエアコンないと無理です。

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