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僕らは異世界生活に憧れる  作者: 山波 藍
第二部
29/34

特異魔法

せめてスギかヒノキか、どっちかにしてほしいです。

「さて、じゃあなんでマナが無くなっているのか、ゆっくり話してもらうわよ」


 ライカは椅子に座るや否や、食い気味に会話を切り出した。ずっと気になっていただろうし、そうなるのも仕方ないだろう。


「そうだね。簡単に言うと、登真をこの世界に呼んだからだよ」


「登真を? ……じゃあ登真も、別の世界から来たってこと?」


「うん、そういうこと」


 なんだ、ライカは渚が転生者だってことを知っていたのか? まずそこの説明がややこしいと思っていたが、これなら話が早い。どうせ疑われるだろうし、てっきり誰にも言ってないかと思っていたが、ライカはこんな話でも信じてくれるんだな。


「なあ、俺たちが違う世界から来たって、嘘だと思わないのか?」


「思ってない。そりゃ最初聞いたときは驚いたわよ。まあでも、もし嘘だったとしても別にかまわないわ」


 嘘でもかまわない、か。心が広いというか、器がでかい人だな。ライカからは見習うべきところがたくさんある、そう敬服していると、渚は自分が魔法を使えなくなった事情の説明を始めた。


 俺をこっちに呼ぶにあたって、マナが不足していたこと。そのために三年間のマナを使ったこと。ライカは元々俺たちがいた世界のことを知っていたので、ややこしい話にならず、すんなりと納得してくれた。流石に三年間も魔法が使えないということに関しては、かなり怒り気味で渚に突っかかっていた。しかし、ある程度文句を言い終わったあとに、怒ってもどうしようもないわ、と、自分で自分を宥めていた。


 さて、一旦話が落ち着いたところで、ずっと気になっていることを質問してみることにした。


「あのさ、特異魔法ってなんなの?」


「特異? そのまんまよ、他と異なり特に優れている魔法。自分だけの固有スキルってとこかしら」


「ほー、そんなのあるのか。じゃあライカの特異魔法は、雷ってこと?」


「違うわ。私はただ雷魔法が得意なだけ。得意な魔法と、特異魔法は全然違う」


 少しややこしいが、特異魔法についてなんとなく理解できた。普通の魔法とは違う特殊能力、もしくは必殺技みたいなものと考えて良さそうだな。


「なるほど。じゃあ俺でも雷魔法を使えたりするのか?」


「それは微妙ね。雷は四大元素じゃないから、使えない人も多いわ」


「四大元素……?」


「……ちょっと渚、あんた何も教えてないの?」


 ライカは渚を睨みつけたが、渚はごめんと言いながら笑っていた。今更だが、確かに俺は魔法についての知識が少ない。イメージが大事ということは聞いていたが、逆に言えばそれしか知らない。魔法学校のようなものがあれば通いたいものだ。こんなにも勉強がしたいと思ったのは、初めてかもしれない。


「まあいいわ。四大元素とは、火、水、風、土のことよ。この四つが魔法の基礎であり、多くの冒険者は、このいずれかの属性の魔法を使用している。これ以外の属性魔法は、習得が難しくて使いこなせる人間は少ないわ。だから登真が雷魔法を使えるかどうかは微妙なのよ。でも、四大元素が弱いってわけではないから安心しなさい。とにかく! 自分に一番適している属性を見つけて、それを極めることが大事よ。それを踏まえて聞くけど、登真が使える属性はなにかしら?」


「俺の属性か……。なんだろうな、分からん」


「はあ? じゃあどうやって戦うのよ」


「普通に殴って戦ってたぞ。一応、魔法で身体能力をあげることはできるからな」


「それだけ?」


「うむ」


 ライカは少し呆れていたが、渚がちゃんと教えてくれなかったのが悪いと思う。それに、まだこっちにきたばかりだし、ほかの魔法についてはこれから学んでいくつもりだ。俺だって属性魔法を使ってみたいという気持ちは、もちろんある。

春…、花粉さえなければ…。

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