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僕らは異世界生活に憧れる  作者: 山波 藍
第一部
27/34

ライカ

ツンデレ大好きです。

「に、人間ごとぎが、ああッ」


「バカね。人は強いのよ」


「貴様らなんぞ、レビオロ様の、ア、足元にも、及ばぬわ」


「ほんとバカね。なーんか最近様子がおかしいと思ってたら、レビオロが動いていたのね」


「……様をつけろ、女」


「あんたこそ、様をつけなさい。それに、私は女じゃなくて、ライカよ。ライカ様と呼びなさい」


「くたばれ、クソ女」


「はいはい。いま楽にしてあげるわ。そっちでレビオロを待ってなさい」


 少し言葉を交わしたのちに魔族の首を刎ねた彼女は、刀を鞘に収め、少し怒ったような顔で渚に文句を言い始めた。


「それで? どういうこと? 久しぶりに会ったと思ったら魔法が使えないって、ふざけてるの?」


「まあまあ。まず登真のことを紹介させてよ。僕の昔からの友達だよ」


「なにが、まあまあよ。……ライカよ、よろしく」


 渚に色々と文句を言いたそうだった彼女は、それを我慢して先に挨拶をしてくれた。


「登真です。助けにきてくれて、本当にありがとうございました。正直、もう死んだと思いました。ライカさんのおかげです。このご恩は、一生忘れません」


 俺は深々と頭を下げた。もしライカさんがいなかったら、俺たちは死んでいた。とても頭が上がらない。


「堅苦しいわねえ。呼び捨てでいいわ、顔をあげなさい」


「呼び捨てだなんて、そんな……」


 顔をあげると、ライカさんは握手を求めるように、手を差し出してくれていた。恩を売るような態度は一切なく、ライカさんにとって、人を助けるのは当たり前のことのように見えた。俺に気を遣わせないようにしているのか、それとも自然体でこうなのか分からないが、とても優しい人だということは分かった。


「敬語もやめなさい。そもそも、私があいつを逃しちゃったのが原因よ。だからそんなに気にしないでいいわ」


「そう、ですか。でも、命の恩人に対して、急に馴れ馴れしくするのも、申し訳ないというか……」


「あー、もう! じれったいわね! 私だって渚に命を救われたこともあるわ。戦場なんてそんなもんよ。それに、渚の友達なら、私も仲良くしたいと思ってるのよ。分かったなら敬語はやめなさい。これは、あなたの命の恩人からの命令よ」


 本当に俺なんかがタメ口を使っていいのか不安だが、ここまで言ってくれているのだから勇気を出そう。俺は少し緊張しながら、改めて感謝の言葉を伝えた。


「……わかった。ありがとう、ライカ、さん」


「ライカでいいわ。私も登真って呼ぶから。これも命令よ。……ところで、いつまで私にこうさせているつもり?」


 ライカと呼ぶのはまだ違和感が残るが、恩人の命令に従おう。仲良くしたいとまで言ってくれたのだから、気を遣いすぎるのは逆に失礼になる。俺は、さっきからずっと差し出してくれていた手を、ようやく握ることができた。


「ごめん。よろしく、ライカ」


「ん」


 ライカはなんだか満足そうな顔をしていた。俺はそれが嬉しかった。ライカとは仲良くなれそうな気がするし、そうなりたいと思った。命を助けてもらったからなのか、会ったばかりなのに心を許すことができた。そんな友達は、もうできないと思っていたが、人生何が起こるか分からないものだ。まあ、異世界に来た時点で、何が起こるか分からなすぎるけどな。


「よし! じゃあ、帰ろうか」


 ギルドでゆっくり話そうよ、そう言って歩き出した渚の隣に、またすこし文句を言っているライカが並んだ。この二人の背中は、俺にはまだ遠い。魔族を目の前にして、自分の弱さを実感した。そしてライカが現れて、上には上がいることを知った。しかし、落ち込んでいる暇はない。ライカに助けてもらったように、俺も誰かを守れるぐらい強くなりたい。幸い、目指すべき人がこんな近くにいるんだ。こんなに恵まれた環境は、なかなかないと思う。

 いつか必ず、この背中に追いつこう。そして、二人の隣りを、胸を張って歩けるようになろう。そんな大きな誓いを立て、俺たちはギルドへの帰路についた。

ツンデレ最高です。

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