百雷ト一
主人公のピンチに駆けつける仲間って、ありがちだけど胸熱で好きです。逆も然り。
「なぜ、なぜ貴様がここにいる」
「マーキング。私の雷をあなたのマナに帯電させといたのよ。あなたが動物や魔族に寄生するときに、少しだけそれを感じることができたわ。その残された痕跡を点々と追って、やっと捕まえることができたってところね」
「……化け物め」
「失礼しちゃうわね。あなたの顔のほうがよっぽど化け物よ。……あなたたち二人も、よく頑張ったわね。もう大丈夫よ……って、渚!?」
俺たちのほうを振り向きながら話しかけてきた彼女は、渚の顔をみると、とてつもなく驚いていた。なにをそんなに驚いているのか知らないが、下の名前を呼ぶくらいだ、きっと二人は顔馴染みなのだろう。そして、彼女の能力を知っていたからこそ、渚は時間稼ぎに努めた、ということか。
「久しぶり、ライカ」
「久しぶりって、あんた今までどこでなにしてたのよ! 急にいなくなったと思ったらこんなところにいるなんて。あんたがいるなら急がなくても良かったじゃない、まったく」
「いや、助かったよ。きてくれてありがとうね」
「意味わかんない。……ていうか、どうしたのよ。全然マナを感じないわ」
「うん、いま魔法を使えないんだ。だから本当に助かったよ」
「はあ!? どういうこと!?」
「あとでゆっくり話すよ」
「なんなのよまったく……。ほんと意味わかんない……」
あとでちゃんと説明しなさいよ。彼女はそう言い残し、腰から抜いた長い刀をそのまま魔族のほうに向けた。その瞬間、雰囲気がガラッと変わったのを、肌で感じ取った。それは魔族の禍々しいマナとは違う。さっきのオークのようなものでもない。あれはただ暴れていただけというか、特定した人物を殺すためのものじゃなかった。いま彼女が発しているのは、おそらく殺気というやつだ。漫画などで聞き馴染んだ言葉ではあるが、今まで感じたことはなかった。そんなもの本当にあるのか甚だ疑問だったが、これがそうなのだろう。彼女の殺気は、自分に向けられたものではないのに背筋が凍りついた。明確な殺意は、こんなにも恐ろしいのか。
「もう逃さないわよ」
「ぐっ……」
彼女のマナが膨れ上がっていくのと同時に、天高くかざした刀からは雷が生じた。その勢いは止まることを知らず、刀は数多の雷を纏った。そこからさらに、彼女の膨大なマナが刀に流れていくのが見える。刀にあれだけのマナを込めるのは、至難の業だ。実際、俺は自分の身体のなかのマナコントロールでさえ難しいと感じている。それをいとも簡単にこなしているのだから、彼女はマナと刀の扱いに相当長けているのだろう。もしあんなものが自分に直撃したら、ひとたまりもないだろう。
「百雷ト一」
ゾッとするほどのマナが込められた刀は、バチバチと音を立てて振り下ろされ、無数の雷が魔族を襲った。避けきれないと悟ったのか、魔族はすかさず魔法壁のようなものを繰り出したが、それでも全てを防ぐことはできなかった。最初に襲いかかった雷が魔法壁を壊し、その後に続く雷が魔族を直撃したのだ。まるで本当に雷が落ちたような轟音が鳴り響き、砂ぼこりが激しく舞い上がった。少し防いだとはいえ、これほどの威力を持った攻撃が直撃したのだから、もう原型を留めていないのではないか? そう思いながら目を凝らしてみると、砂ぼこりの中に立っている魔族が見えた。両腕を負傷しているように見えるが、それでもまだ倒れてはいなかった。
「……この程度で、私を殺せると思うなよ」
「この程度? 浅はかね」
彼女が居合い切りのように刀を振り抜いた瞬間、肉眼で捉えるのが難しいほどの速さで斬撃が飛んでいき、魔族の胴体を真っ二つに切り裂いた。とんでもない速さと威力だ。あんなもの防ぎようがない。しかし、魔族は身体が半分にされているのに、まだもぞもぞと動いていた。
技名考えるのも楽しいけど難しいです。




