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僕らは異世界生活に憧れる  作者: 山波 藍
第一部
26/34

百雷ト一

主人公のピンチに駆けつける仲間って、ありがちだけど胸熱で好きです。逆も然り。

「なぜ、なぜ貴様がここにいる」


「マーキング。私の雷をあなたのマナに帯電させといたのよ。あなたが動物や魔族に寄生するときに、少しだけそれを感じることができたわ。その残された痕跡を点々と追って、やっと捕まえることができたってところね」


「……化け物め」


「失礼しちゃうわね。あなたの顔のほうがよっぽど化け物よ。……あなたたち二人も、よく頑張ったわね。もう大丈夫よ……って、渚!?」


 俺たちのほうを振り向きながら話しかけてきた彼女は、渚の顔をみると、とてつもなく驚いていた。なにをそんなに驚いているのか知らないが、下の名前を呼ぶくらいだ、きっと二人は顔馴染みなのだろう。そして、彼女の能力を知っていたからこそ、渚は時間稼ぎに努めた、ということか。


「久しぶり、ライカ」


「久しぶりって、あんた今までどこでなにしてたのよ! 急にいなくなったと思ったらこんなところにいるなんて。あんたがいるなら急がなくても良かったじゃない、まったく」


「いや、助かったよ。きてくれてありがとうね」


「意味わかんない。……ていうか、どうしたのよ。全然マナを感じないわ」


「うん、いま魔法を使えないんだ。だから本当に助かったよ」


「はあ!? どういうこと!?」


「あとでゆっくり話すよ」


「なんなのよまったく……。ほんと意味わかんない……」


 あとでちゃんと説明しなさいよ。彼女はそう言い残し、腰から抜いた長い刀をそのまま魔族のほうに向けた。その瞬間、雰囲気がガラッと変わったのを、肌で感じ取った。それは魔族の禍々しいマナとは違う。さっきのオークのようなものでもない。あれはただ暴れていただけというか、特定した人物を殺すためのものじゃなかった。いま彼女が発しているのは、おそらく殺気というやつだ。漫画などで聞き馴染んだ言葉ではあるが、今まで感じたことはなかった。そんなもの本当にあるのか甚だ疑問だったが、これがそうなのだろう。彼女の殺気は、自分に向けられたものではないのに背筋が凍りついた。明確な殺意は、こんなにも恐ろしいのか。


「もう逃さないわよ」


「ぐっ……」


 彼女のマナが膨れ上がっていくのと同時に、天高くかざした刀からは雷が生じた。その勢いは止まることを知らず、刀は数多の雷を纏った。そこからさらに、彼女の膨大なマナが刀に流れていくのが見える。刀にあれだけのマナを込めるのは、至難の業だ。実際、俺は自分の身体のなかのマナコントロールでさえ難しいと感じている。それをいとも簡単にこなしているのだから、彼女はマナと刀の扱いに相当長けているのだろう。もしあんなものが自分に直撃したら、ひとたまりもないだろう。


百雷ト一(ひゃくらいといち)


 ゾッとするほどのマナが込められた刀は、バチバチと音を立てて振り下ろされ、無数の雷が魔族を襲った。避けきれないと悟ったのか、魔族はすかさず魔法壁のようなものを繰り出したが、それでも全てを防ぐことはできなかった。最初に襲いかかった雷が魔法壁を壊し、その後に続く雷が魔族を直撃したのだ。まるで本当に雷が落ちたような轟音が鳴り響き、砂ぼこりが激しく舞い上がった。少し防いだとはいえ、これほどの威力を持った攻撃が直撃したのだから、もう原型を留めていないのではないか? そう思いながら目を凝らしてみると、砂ぼこりの中に立っている魔族が見えた。両腕を負傷しているように見えるが、それでもまだ倒れてはいなかった。


「……この程度で、私を殺せると思うなよ」


「この程度? 浅はかね」


 彼女が居合い切りのように刀を振り抜いた瞬間、肉眼で捉えるのが難しいほどの速さで斬撃が飛んでいき、魔族の胴体を真っ二つに切り裂いた。とんでもない速さと威力だ。あんなもの防ぎようがない。しかし、魔族は身体が半分にされているのに、まだもぞもぞと動いていた。

技名考えるのも楽しいけど難しいです。

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