雷の剣士
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読んでくれている人がいると思うと頑張れます。
魔族は、口元を手で覆い隠すようにして、しばらく黙り込んだ。渚のことを見定めているのだろうか、まあ、なにかしら考えているのは明白だった。会話を聞いている限り、かなり知能が高いということは分かった。だからこそ、迂闊に手を出してこないのだろう。渚のネームバリューに臆して、このまま逃げてくれれば助かるのだが……。そんなことを考えているうちに、魔族は手を下ろし話し始めた。
「違うな。貴様は本物ではない。もし本物だとしても、いま私を殺すほどの魔法は使えない。理由は分からぬがな」
バレた。結局時間を稼いだだけで終わってしまった。この状況を乗り切る術を、俺はまだ持っていない。さっきのオークと違い、力だけじゃなく、知能も持ち合わせている化け物を倒す方法が分からない。ひたすら逃げるしかないのだが、村まで戻ったところで、死人が増えるだけだ。国まで戻るには遠すぎる。ギルドから村まで、確か一時間ほど歩いたはずだ。道が整備されていないから、という理由で馬車を使うことはできなかった。もちろん自動車などの乗り物は存在しなかった。まあ今それがあったところで、一瞬で壊されて終わりだろう。ああ、渚の沈黙が怖い。やっぱりもうなにもないのか? 藁にもすがる思いで渚の横顔を覗き見ると、なぜかまたニッコリと笑っていた。
「……うん、正解!」
「そう見栄を張るな、もう貴様に笑う余裕はない。時間は十分に与えた。死ぬ覚悟はできているな?」
「与えすぎだよ、時間」
とりあえず逃げようと決断した瞬間、視界の隅に稲妻が走り抜け、その直後、思わず顔を背けてしまうような突風が吹いた。何が起こったのか一瞬わからなかったが、渚と魔族の間に割り込んだ女性の姿を見つけて、なんとなく状況が分かった。誰だか分からないが、とてつもない速さで助けに駆けつけてくれたのだ。長く伸びた金の髪を二つに結った、華奢な彼女の後ろ姿が、とても頼もしく見えた。腰にぶらさげた長い日本刀のようなものと、襟を立たせた白色のジャケットとニーハイが特徴的だ。
「やっと姿を現したわね。まったく、見つけるのに苦労したわ」
緊張のあまり気がつかなかったが、とんでもないマナ量だ。魔族の恐ろしいマナさえ、彼女を前にすると霞んで見える。渚が言ってた雷の剣士とは、きっと彼女のことだろう。渚はこうなることを知ってて時間を稼いでいたのか? 彼女が駆けつけてくれる確証なんてなかったと思うのだが……。
そういえば年が明けてから初投稿でした。
今年も頑張ります。
ストックがなくなっちゃったんで、更新がおくれちゃってますけど、ちゃんと書いてます。




