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僕らは異世界生活に憧れる  作者: 山波 藍
第一部
22/34

vsオーク

娘の誕生日やら運動会やらで多忙でした。とても楽しかったです。

 深いため息を吐いた。本当に疲れた。かくれんぼ大会があったならば世界一になれるだろう。凝り固まった身体の力が抜け、少し体勢を変えた。その時、枯れた枝が折れたような、乾いた音がした。足元を見てみると、しっかり小枝を踏んでいた。急いでオークの様子を確認すると、不気味な笑い声をあげてこっちに走ってきていた。


「登真。戦うよ」


 戦う? あれと? 嘘だろ、今までと明らかにレベルが違う。逃げた方がいい、いやでも逃げれるか? 魔法が使えない渚と? 無理だ、この距離で背を向けるのは危険すぎる。どうする、やるしかないのか?


「登真!」


 ……ダメだ、もう腹を括るしかない。


「すまん」


「いいよ。切り替えて」


 淡々としている渚の態度が、あいつの危険度を示していた。だけど怯んでいる場合じゃない。俺がやるしかないんだ。相変わらず不気味な笑い声を発しているオークは、近くの大木に勢いよく突っ込み、大きな衝突音をあげた。どう考えても正気じゃない。


「い、いア。やっばリ、いタ」


 辿々しい発音だが、言葉を発した。オークは人間の言葉を喋れるのか? いやそんなことより、なんだこのマナの感じは。すごく嫌な感じで押しつぶされそうだ。


「おかしい。このマナの禍々しさ、魔族と同じものだ。それに人間の言葉を話すオークは、僕も初めて見る」


 かなりやばいってことね。渚に返事をする前に、オークは襲いかかってきた。でかい図体に似合わぬスピードに驚いたが、目で追えるレベルだ。集中を切らさなければ問題ない。このでかい身体を速く動かすには相当なエネルギーを使うだろう。俺は攻撃を躱すことに専念し、オークの疲労が蓄積されるのを待った。


 ペース配分というのを考えていないのか? ただひたすら攻撃を仕掛けてくる。まるで怒りに任せて暴れ回る子どものような戦い方だが、一撃でも喰らえば致命傷になるだろう。しかし、オークは自分の攻撃が当たらないからなのか、苛立っているように見えた。


 打ち込めそうな隙もあったが、無理に攻めることはしなかった。もし一度でもカウンターをもらったらそこで終わりになってしまうから。その緊張感に精神をすり減らされたが、最小限の動きで避けることで体力を温存した。全身をフルに使って仕掛けてくるオークとは疲労度の差が生まれる。長期戦に持ち込むことで、その差をさらに広げた。


 それでも、俺の顔面を狙ってくる丸太のように太い右腕は、やはり恐怖だった。集中を切らしていけないこと、確実を狙うため、反撃せずに回避に撤退するのはストレスが溜まる。だけど耐えるしかない。我慢、我慢、我慢……。

身体がでかいって、実際に喧嘩する際は圧倒的暴力だと思います。

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