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僕らは異世界生活に憧れる  作者: 山波 藍
第一部
1/34

早川登真と綾瀬渚の死

投稿頑張ります。

とりあえず登場人物の説明みたいな感じです。

あらすじみたいな、プロローグみたいな、そんな感じのです。

「魔法陣展開」

 

 小さく呟いた声に呼応して、巨大な魔法陣が薄暗い大自然の中に広がった。綾瀬渚はいつになく固い表情で、地面に手を当てて黙り込んでいる。しばらくして何かを感じ取った渚は、硬直していた頬を緩ませた。……やっと会える、と声が漏れた、一息ついて、もう一度気を引き締める。


「召喚魔術、アニゴディアロス」


 強いマナと輝きを放った魔法陣は辺り一面を明るくし、生い茂る緑をライトアップさせるように彩った。より一層強くなる光は、繭を形成するように中心部分に集まり、その輝きは目を開けていられないほどになった。しかし、すぐに成長を終えた光の繭は緩やかに輝きを失い、渚は恐る恐る目を開ける。目の前に見える懐かしい後ろ姿に、渚は呼吸を忘れた。


「……登真」


 突然の出来事に呆気にとられ、広大な山々が魅せる景色を眺めていた男は、渚の声を聞いて動きを止める。そして、細心の注意を払いながら後ろを振り返った。 



——————



 綾瀬渚は何の前触れもなく自ら死を選んだ。それをきっかけに早川登真は、鬱憤と絶望の日々を過ごすことになる。


 登真は父親の顔を知らず、頼りにするべき存在の母親は、夜な夜な出掛けてしまうような人だった。両親からの愛をもらえずに、ネグレクトを受けてきた登真は絵に描いたような不良に育った。


 小学生の頃から周囲の人と衝突ばかりしていて、中学生になるとさらに喧嘩に明け暮れた。そんな中でも、中学で出会った渚にだけは心を許していた。初めは肩が当たっただけで小競り合いになり、罵り合った二人だったが互いの強さを認め、いつしか共に行動をするようになった。日々を重ねていくことでお互いが全く同じ家庭環境に置かれていることを知り、さらに友情が深まっていった。


 自分の居場所を見つけた二人は次第に丸くなっていき、喧嘩をすることで消費されていたエネルギーは、テレビで見て憧れたボクシングへと向かった。そこから多種多様の格闘技や護身術を身につけたが、登真は入口となったボクシングを続け、渚は剣道の道へと進んだ。全ての大会で優勝を飾った二人はスポーツ推薦をもらい、授業料など全額免除で私立高校へと入学した。地元の私立高校であったが、自分の家を出るために寮生活を選びいつも同じ時間を過ごした。


 高校の大会でも優勝を重ねた二人はプロの道へと進む切符を手に入れたが、これを破棄した。卒業後は適当に日銭を稼ぎつつ、自由に遊びたいからという理由だった。筋トレに目覚めた登真は減量をしたくないという理由もあったようだ。


 高校卒業後、渚は居酒屋やアパレル店でバイトをするフリーターになった。趣味で作曲活動やイラストを描く日々を送り、なによりアニメや漫画に夢中になっていた。登真は地元の工場で交代勤務をしながら、仕事終わりにジムに通うのが習慣になっていた。渚の影響でアニメを好むようになった。


 二人は休日になると遊びに出かけたり、酒を飲みながらアニメの話で盛り上がる日々を過ごしていた。社会人になっても相変わらずの仲で、むしろ深まったと言える。母親と縁を切りお互いが唯一の家族となった。


 登真は普通に仕事をこなし、趣味を嗜み、休日には渚と遊ぶ日々を大切にしていた。


 しかし、満足していた現状は渚の死によって崩れ去る。


 今日は1月1日。綾瀬渚の命日である。

読んでいただきありがとうございます。

次の話から主人公目線です。

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