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«夢»の報告義務化

作者: 景山 斐雲





──ピピ、ピピ、ピピ



「ぅ…、ん…」



理央は布団から右腕だけを這い出させてがちゃんと目覚まし時計を止めた。



『朝デスヨ!ゴ主人様、朝デスヨ!』



雀のホログラムが目覚まし時計を止めると共に起動される。



『本日ノ«夢»ヲ登録シテクダサイ!本日ノ«夢»ヲ登録シテクダサイ!』


「ゆめ…、」



時代は2XXX年。



「今日見た夢はーー、」



多くのものがオートメーション化した現代、世界中の人類は国を問わず、1つの義務が課せられていた。



「怪獣と戦ってた…?」


『登録完了!ゴ協力アリガトウゴザイマス』



それは、夢の報告の義務化。

毎朝、起床を感知するとホログラムが立ち上がり、夢を見たかを問いかけてくる。

何故そんな事をするかって?



「今日の朝食は何?」


『本日ハ、白米に目玉焼き、ポークピッツとキャベツのお味噌汁デス!』


「お〜…」


『オ母様カラ伝言デス!【冷める前に降りて来なさい】トノコトデス!』


「ふぁ〜い」


『本日ノ最高気温25度、最低気温18度、暑ガリノゴ主人様ハ、半袖ガオススメ!』


「ん」


『今日ハ1日晴天!』


『«本日ノ予言»ハ、アリマセン!

安心シテ1日ヲオ過ゴシクダサイ!』


「そりゃいいや」



それは未来予知のためである。


夢という未知の存在が解明されると共に、それが予知を伴うものだと判明したのだ。

もちろん、全ての夢ではない。だが、大きな事件や災害が起きる前、複数名が同じ夢を見ていることが明らかになっていた。

何故未来を夢で見るのか…?

多くの謎は残ったままだが、この発見は、人類にとって偉大な進歩となった。



「うっし、降りるか」



学ランに着替えた理央は手すりに掴まり、少々急な階段を降りていく。




────




同時期。

WDO(世界夢機関)は世界の平和を守るため、本日も忙しく人が働いている。

特に時差や昼夜逆転など、24時間誰かしらが起床しては、ホログラムに«夢»を登録しているので、休む日など存在しないのだ。



「なんだと!!!!!!!」



そんなWDOで1人の男の叫び声が館内に響く。



「«(ミコ)様»方が同時予言だと!?!?」


「は、はい!!」



上司の気迫に押されながらも、部下は必死に首を縦に振って肯定する。


«巫»それは、予言的中率5%以上の人物を指す言葉である。

5%というと少なく感じるかもしれないが、大半の人が一生に1度当てるか当てないか程度だといえば、その脅威の的中率が分かるだろう。



「まず、青の巫様が【2X〇X年XX月XX日】」



青の巫は、日付以外何も見ていないらしいが、青の巫の指定した日に他の巫が何か見ていると大当たりするのだ。



「赤の巫様が【何か大きなもの、戦ってる人がいる…?若い感じ。彼…、男の人なのね、彼から悪い感じはしないわ】とのことです」


「大きなもの??戦う??大きなものが厄災なのか…?」



赤の巫は、よく夢を見るし、的中率はずば抜けて高いが、その分曖昧で分かりにくいのが難点である。

今回は、日にちが分かっただけでも有難い話である。



「緑の巫様が【見たこともない巨大な化け物…。下手なビルよりも大きかった。現代の武器は役に立たない。戦ってるのは少年?大きな剣を持って戦ってる。場所は…、この位置は日本?その辺のはず。少年もアジア系な雰囲気がした】と」


「巨大な化け物!??????!!!!!

本当にそんなものが現れると言うのか?!!!!!夢物語ではなく!?!」



「そ、それが(オウ)の巫様も【彼は自分の役割を夢に見ている】と」



緑の巫は、夢を見ることは少ないが見る夢が鮮明であり、

黄の巫は、どうすればいいか?など事件事態よりも、助言的な夢を見ることが多い。



「巫様フルコンボ!!!本当に未知の化け物が現れるというのか…!!」


「こ、ここまで被るとなると…、流石に頓珍漢な話とは言いきれません…!」


「っ、」



部下の言葉に、分かってはいたものの、受け入れたくない現実に上司は頭を抱える。



「…ん?【夢に見ている】?」


「え、ええ、黄の巫様はそう仰られてました」


「………せ」


「え?なんですか?」


「っ!すぐに夢を洗い直せ!!!」


「ええ!????何で!?!?」



上司の言葉に部下は心底驚いた声を出す。

その察しの悪さに舌打ちをしながら上司は口を開く。



「黄の巫様が【夢に見ている】と言われたなら、【夢に見ている】はずだ!!

化け物と戦う夢を!!!!」


「あ゛っ!!」


「分かったらさっさと洗い直せ!!!!」


「は、はい!!!!」





────




「おはよ!」


「はよ」



同時刻、そんなWDOの騒動など知らない理央は、友人と合流しながら学校へと向かう。



「チュンもおはよー!」


『オハヨウゴザイマス!』


「シシもおはよ」


『ガウッ!オハヨウダ!』



ーー1人1台自律型ホログラムの時代。



「ん?」


「どうしたー?」



友人の言葉を聞き流しながら、理央はしゃがみこんで太陽の光に反射したそれを掴む。



「キンホルダー??」



それは剣の形をしたキンホルダーだった。



「落し物か?」


「じゃない?」



ーーこれは、



「まあ、帰りにでも交番に届けとくわ」


「おー、それがいいそれがいい」



ーーヒーローに選ばれた少年の物語。

































「うっそ!!何回届けても戻ってくるんだけど!!!!なにこれ呪いのアイテム!??????俺死ぬの!?!?」

理央

〇男子高校生

〇本日呪いのアイテム()を手に入れた。


青の巫

〇日付けだけなので気にしなければ意味の分からない夢でしかない。


赤の巫

〇1番予知夢に近い。


緑の巫

〇リアルだけど情報量が多過ぎるせいで物凄く忘れるのが早く、自力で書こうとするも間に合わないので予知は不可。

〇あと、意外とハズレの夢が1番多い。


黄の巫

〇助言なので単体だと意味不明な夢でしかない。


剣のキーホルダー

〇巨大な化け物と戦えるアイテム。

〇理央を選んだ。

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