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怪文集  作者: 壁
5/6

苦い勝利の思い出

お題は『テニスの王○様』

ある日目覚めるとそこはテニスの強さで全てが決まる異世界だった。僕はそんな世界のとある国の王子だそうだ。生まれてからずっと身分的にテニスで負けられない、ということで朝から晩までテニス漬けだった。


僕が12歳になった時のことだった。僕は国中の12歳の子供が集められる大会に出ることになった。負けられないということでラケットは使用禁止のもの、その上審判を買収した状態での試合だ。


そもそも僕は毎日テニス漬けだったので普通にやっても上手い方だと思う。そんなわけで負けるはずもなく、決勝までは余裕で勝てたのだが決勝であたったのは辺境の麒麟児と呼ばれている天才と名高いやつだった。


決勝戦、僕は前世で培った、水筒を回す技術を応用して、テニスラケットを高速で回すことによって発射するドロップなどを駆使したが点差を離すことが出来ずに、とうとうファイナルセットのデュース、僕側のアドバンテージまできてしまった。


相手のラケットの動きを捉え、次に来るボールを予測し動く。予想どうり、ネットの上で360°大きく円を描くように回ったボールがショートクロスのコースに飛んでくる。


落ち着きながら僕はまだ見せていないとっておきのショットをうつ、これはただのロブに見えて、空中でボールが4つに別れるといったものだ


勝利を確信して相手の様子を見ていると、1球目、2球目と当然のように帰ってくる。相手の様子を眺めるのをやめ、返す準備をする。


幸い、返すので精一杯なためか普通のストロークだ。4球目を返し終えたところで前を向くと…何故か5球目が僕側のコートに2回目のバウンドしようとしていた。


間に合わず、仕切り直しかと思っていると


「アウト!!」


明らかに入っていたのに買収された審判がアウトのサインを出した。試合が終わり、握手を交わし、表彰台に立つ。


最後の試合、不正なしで戦っていたならば勝ち目がなかった。隣で悔し涙を流す彼を見ながら、僕は心が痛むのを感じた。










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