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まぁ紆余曲折の末冒険者ギルドの最高峰レベルである宝石級に上り詰め、金も名誉も手に入れて風俗を出禁になった話。


 目の前には1つ目で10メートルほどの巨躯な化け物がいた。


 そんな化け物は今回討伐目標であるサイクロプスと言われる生物で、推薦レベルは宝石級と指定されている。


 因みに宝石級というのは冒険者ギルド内のランク付けにおいて最高峰とされているランクだ。


 異世界に来て一年ほどが経ったが、紆余曲折の果て冒険者ギルドにて宝石級の冒険者になっていた。

 

 大変なこともいろいろあったが、この体の性能のおかげで今の安定した生活を得られたといっても過言ではない。


 そして俺は今この生活にとても満足している。


 十分な金もあるし、冒険者の仕事は殊の外楽しい。金の心配をしながら、楽しくない仕事をしては将来を憂いていたあの頃と比べれば雲泥の差だ。


 いわゆる順風満帆って奴だ。


 と、怒り狂うサイクロプスがその巨体には似合わない速度で俺を殺すために殴りかかってくる。


「黒雷脚!!」


 それを飛んで避けるとともにいつものように黒雷を足に纏ってサイクロプスの顔面を蹴る。

 すると顔面は爆ぜて額に生えていた大仰な角と体だけが取り残されて青い血を放出させながら地面に落ちる。


「うっし、依頼完了」


 腰に手を当て一応愁眉が開いたように呟いた。

 


     ⭐︎



 冒険者ギルドに戻ると、ギルド内にいた冒険者たちがざわめき始まる。


「手に持ってるのまさかサイクロプスの角か?」

「でけぇ、」

「おいおい、さっき出かけてこなかったか? サイクロプスの目撃場所って静謐の森だったよな? あそこめちゃくちゃ遠いぞ」

「ばっか、お前。あいつならあんな距離一瞬だって」

「サイクロプスって白銀級の冒険者百人いても勝てるかどうか怪しいって化け物だろ?」

「てかやっぱいい乳だよな」

「それは同感だわ」

「はぁーレズじゃなくて中身があんなんじゃなけりゃなー。抱けたかもしれないのに」

「いやけつもいいぞ?」



「うぉーい。聞こえてんぞ! 変態ども!」


 サイクロプスの話題から脱線して、猥談に一瞬にして移り変わりやがった。

 男ってのはどこの世界でも変わんねーな。


「うっわ、やっべ」

「さすが地獄耳」

「くわばらくわばら」


「クロさん! 抱かせてくれーー!!」


 剽軽者のクランツがおちゃらけてそんなことを言ってくる。

 因みにコクトってのはこの世界での俺の名前だ。肌が黒かったから、クロ。俺の今の外見から取った安直な名前だ。


「可愛い女の子になってから出直してこい!」


 俺がそう言うと、ギルド内は爆笑しだす。

 クランツじゃ可愛い女にはなれねーよな等の言葉が飛び交う。

 そんなクランツはその反応に笑いながら「言ったな!、今度女装してきてやるよ!」と叫ぶとそれはやめてくれ、とギルド内はまた騒がしくなった。


 こんな風にギルドはいつも賑やかだ。


 そんな中、俺は呆れ顔になりながら受付の方へと向く。

 そこには俺に負けじと巨乳な受付嬢のフィアリさんがいる。


「はぁー、ほんと嫌になるよな粗野なおっさんってのは。てか今日もいい乳してるやん。今日夜空いとったりせぇへん?」


 エセ関西弁で乳を凝視しながら言う。


「ふふふ、クロさん自身が粗野なおっさんですよ?」


 乳に手を伸ばそうとするとありえない速度で手を弾かれる。

 

「いちち、」


 弾かれた手を気遣いながら俺はサイクロプスの角を前に置いた。


「ほいこれ確認お願い」


「かしこまりました。それと遊郭街の方から多くの苦情が来てますよ。火遊びもほどほどにお願いしますね」


 突然だが、この身体の精力はとことん凄い。それこそいつもムラムラしてしまうし、金もあるのでそっち系の店に行くのが俺のルーティンなのだがまさかそこから苦情が来るとは。

 良客たる自覚はあるのに、不名誉だと思った。


 加減が無かったのは少しあるかもだが、なにぶん抑えられないので仕方ないところはある。


 俺はへーへーと適当に流しながら報奨金を貰っては今日はどこの店にしようかと思案していた。



 そんなワクワクな夜の時間が訪れ、俺はふわふわと軽い足取りでそっち系の店に赴いた。

 

 今日はロリっ子風な娘を抱こうと店に入ると開口一番に「お帰りください」と言われてしまった。


「...え? な、なんで?」


「まことに申し訳ないのですが、コクト様の御相手を出来る娘がいないのです。一人一人がうちの店では大事な稼ぎ頭ですから」


「え、えー? でもどんな娘も気持ちよさそうだったぜ?」

 

「...クロ様の御相手をすると、どんな娘も三日は動けなくなるんですご理解ください」


 そう言うと、お店の人は深々と頭を下げた。


 こうまで言われてしまっては下がるほかないだろ。

 なら仕方ないとこの場を後にして、次なる性を謳歌できるだろう場所へと向かった。


 が、「すいやせん。うちはコクトさん出禁です」、「申し訳ございません。今対応できる嬢いなくて」等々の文言が行く店行く店で聞かされる。

 

「なんでだよぉ!!!」



 なんでだよぉ!!、なんだでだよ!、なんでだよぉと、人気の路地裏で言霊が悲しく帰ってきた。


 その日俺の性活は突如として脅かされたのだった。

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