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第二部、開始です!
「こ、こうですか?」
「そうそう。いい感じ」
王国を出て、機械都市を目指した私たちは今、二人きりだ。
何故一緒にいたはずのフォルカスとディルムッドがいないのかって?
まあ、順を追って説明しよう。
王国のあれこれと決別したイザベラと私は、黒竜帝がいるというフォルカスの母国、北方のフェザレニアに向かうことにした。
とはいえ、今すぐ行かなきゃいけないとか切羽詰まったものでもないし、王国から出たことのないイザベラにあちこち見せてあげたい気持ちがおねえちゃんとしてはあったわけ。
いやまあ、私も黒竜帝に聞きたいことがあるから、あんまりのんびりしてちゃいけないなとは思っている。思っているんだよ?
でもさあ、イザベラが機械都市の魔道具に目を輝かせたら、ちょっとくらいいじらせてあげたいじゃない。
ってなわけで、機械都市に一ヶ月ほど滞在することにしたのだ。
ディルムッドはともかく、フォルカスはあまり賑やかなところは落ち着かないそうなので、申し訳ないから先に精霊村に行ってもらうことになったのだ。
さすがに一ヶ月滞在してしまったことは反省している。
まあディルムッドが色々察して、彼らは彼らで寄り道したりしてくれていると信じているよ!
……ちゃんと反省しているので、お詫びとして美味しいものを作りたいと思います。
「そうそう、上手上手。説明書によるとそのメーターいっぱいまで魔力を注げば、それで大体一ヶ月くらい保つんだってさ」
「すごいですわねえ、これで寒さ対策は大丈夫ではないでしょうか?」
今日いじっているのはヒーターみたいなヤツ。
最近機械都市で人気の、起動すると蓄積用の魔石から一定量の魔力が火の魔石に作用して一定の温度を発するものらしい。
……これ完成するまで、火傷しまくった科学者がいたんだろうなあ……。
「まあ防寒具も買うけど、馬車の中はコレで温かくなるんじゃないかなあ。それにしても魔力操作、上手になったじゃない」
「姉様が教えてくださったからですわ。それにこの魔道具に関しては聖女の務めで行っていた、結界の場に祈りを捧げることに似ていたのでなんとなくですがコツを掴みやすかったように思います」
「うん、私はそれに関してはわからないけど、国中に結界を張るっていうのが多分聖属性の魔力を流して作動する古代の魔道具みたいなものなんじゃないかなあ」
「そうかもしれませんわ。各所にあるということは、おそらく……まあ、今となってはわたくしに関係のない話ではありますけれど……」
それでも聖女とはなにか、それを気にしているんだから関係ないと言いつつも本当に真面目だなあと私は思うのだ。
「ところで、今はどちらに向かってますの? あの……アルマ姉様のことですから大丈夫とは思いますが、どうにも人の姿が見られない道を進んでいるような……」
「ああ、うん。前にも話したけど、精霊村だよ。歓迎された人間しか通れない道ってのがあるんだ」
そうか、精霊村に行くってことは説明したけどそれだけだった。
私としたことがうっかりうっかり。
「精霊村は前にも言ったけど、精霊たちが集まりやすい土地で人や妖精が混じり合って成り立つところだからとても特殊なんだ。その分、欲まみれの人もやってきやすいから、彼らはある種の隠蔽魔法を使っているの」
「ある種の……?」
「うーん、精霊魔法っていうのはね、体系で言えば私たちが使う〝魔法〟とはまた別物だと思った方がいい。私たちは体内にある魔力を術式によって自然界にある魔素と組み合わせ外に出しているけど、精霊ってのは存在そのものが魔力の塊みたいなもので……」
旅を始めて私は約束通り、イザベラに魔法のあれこれを教えている。
私の独自なものでもあるから他言無用という言葉をしっかり守って真面目に取り組むイザベラ、うんうん、姉妹ってこんな感じでいいのかな……!
「あっ、そういえば精霊村に行くなら、雲羊を見せてあげられるね」
「くもひつじ、ですか?」
「そうそう、そいつの毛がすっごくあったかいから、イザベラのコート作ってもらおうね!」
「くもひつじ……?」
私の言葉に想像が出来ないらしく、きょとんとしたイザベラが首を傾げる。
そんな様子が可愛くて思わず笑ってしまったけれど、ふと気がつくと鬱蒼と生い茂る木々の先に明かりが見え始める。
それにイザベラも気がついたらしい。
ハッとした様子で色とりどりの明かりを見つめ、ほうっと感嘆のため息を漏らすのを見て、私はやっぱり寄り道って大事だよなあと改めて思うのだった。
活動報告にも書かせていただきましたが、こちらの作品は毎月3の倍数日での更新となります。
というわけで、次は2/6だよ!!




