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悪役令嬢、拾いました!~しかも可愛いので、妹として大事にしたいと思います~  作者: 玉響なつめ
最終章

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153/160

3-46

「……は?」


 人間理解ができないと、妙な声が出るもんだよね!!


 素直に声が出たわ。びっくりしたよ。

 真っ直ぐに私を見て何言ってんだって理解が追いつかないよね!!


 なんとなく流れで私の後ろにあるテントを見たけど、そこからイザベラが出てきた様子もないし……父さんは静観の構えなのか、とても静かだ。


「は?」


 もう一度出ちゃったわ。

 こいつ、何言ってんだ?(二回目)


 今、悪役令嬢って言わなかったか?

 それも私に向かって。


 悪役『令嬢』だよ!?


「……失礼ですが、どなたかとお間違えではないでしょうか」


 思わず丁寧な対応をしてしまいました。

 だって怖いじゃん……。


「いいえ? 間違ってないわ、冒険者アルマ。貴女のことよ?」


 わぁ、目だけが笑ってねえー……。

 こちらから行かなくても勝手に来てわけわかんないこと言ってくるとか、本当に迷惑なんですけど。


 でも何かしら用があってきたんだろう、ここは下手に『カエレ』って強硬手段に出るのはだめな気がする。

 そもそも〝始まりの聖女〟が今、どのくらいの力を持っているのかも私にはわからない。


 ただ、得体の知れない感じはヒシヒシと感じているけどね!


「本当に貴女ってば、憎らしいわ……」


「ナンノコトデショウ」


「ええ、ええ、わかってるの。今の貴女に記憶はないものね」


「……」


 記憶がない。悪役令嬢。

 その二点が、なんとなく結びついて嫌な予感がする。


(え? マジで?)


 もしかして、元の世界(・・・・)から今の私に転生したと思ってたんだけど、間に一回……もしくは複数回転生してるってことかな?

 いやいや、そんなできすぎでは。


 待てよ、転生ってのは読んで字の如く生まれ変わるんだから、別に間で記憶を取り戻してなければ転生しまくっててもおかしくないってことか?

 転生って文字が頭の中を巡り巡ってゲシュタルト崩壊しそうだ!!


「本当に腹が立つわ、貴女ったら」


「……」


「いくら言っても『悪役令嬢なんてしらない』って言い張って、役目も果たさないくせに偉そうにワタシの前に立ちはだかって……ワタシは選ばれたヒロイン(・・・・)なのよ? その証拠にこうやってこの世界で聖女として長年崇められているの」


 フフフと少し照れたように笑う姿は、年相応の可愛らしいエミリアさんの姿だ。

 なのに、言っていることが電波過ぎて背中がぞわぞわしてしまう。


 選ばれたヒロインって……自称するか? 普通。

 むしろヒロインと言えばうちの可愛いイザベラだっていうの!!


(いや、一応エミリアさんもヒロインだった)


 ガワはヒロインだからな……ある意味彼女が言っている内容が合っているってのが不思議な感じだ。


 だけど、ひとしきり楽しそうに笑っていた彼女は、急にピタリと動きを止めて真顔になった。

 止めてほしい、深夜にリアルホラーはダンジョンで突然グールの大群と遭遇するより怖いなんて誰が思うよ。


「ねえ、なんで貴女、今幸せそうなの?」


「なんでって」

 

「ワタシ、あの世界を去る時に貴女のことを呪ったのよ。誰からも愛されず、独りぼっちになるようにって」


「……」


「呪いは発動したわ。ワタシがあの世界を去る時、貴女が倒れたのも見たもの」


 ねえ、どうして?

 そう問われたところで私が知るわけがない。


 むしろとんだ言いがかりをつけられている気分なんですけど!?


 というか、呪ったとかもう聖女とはえらいかけ離れた言葉を堂々と言い放つ目の前の人物が信じられない。

 いや神に成り代わろうとしている段階で真っ当じゃないってわかっちゃいるけども。


「……それにしても、わざわざそんな話をしにきたの? 可愛い手駒のカイゼルくんたちを捨て駒にしてでも?」


「カイゼル?」


 それまで淀んだ目で私を見ていた彼女が、その名前に心底不思議そうに小首を傾げ――笑った。

 本当に幼い子供が見せるような無邪気な笑顔を浮かべたのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] ああ、聖女って名前の陰湿ストーカーか。 どんだけアルマに固執しとるねん(笑) さぁ世界と聖女の全容はどんな感じなのか、ワクワクしながら見てますね。
[一言] 悪役令嬢を拾ったと思ったら自分も悪役令嬢だった????
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