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悪役令嬢、拾いました!~しかも可愛いので、妹として大事にしたいと思います~  作者: 玉響なつめ
三部 第三章 聖女信仰

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3-25

 アンドラスへの怒りと呆れを覚えつつ、私は少し考える。

 そりゃそうだ、ここでプリプリしたって何も変わらないし、イザベラがいるからって八つ当たりなんて言語道断。


 可愛い私の妹だぞう?


(小説版や漫画版ではイザベラが追放されて、で、ヒロインは聖女になって……と続くわけでしょ? マリエッタさんが書いている内容は彼女好みに改変されていると考えたとして、大筋は変えてないはず……)


 なんせ筋金入りのファンっぽいからして。

 モブ部分はどうでもいいと思っているあたりがどうなのかなと思わなくもないけど……彼女は彼女で転生してこの世界を生きることを楽しんでいるようなので、まあそこはどうでもいい。


 私としては、可愛い妹に被害がなけりゃそれでいいんだからね!


(でも、かなりきな臭いんだよな)


 当初私たちの考えとしては、イザベラという悪役令嬢が舞台から消えても……聖女の話が進まないどころか、ヒロインであるべきエミリアさんは修道院にいて今は脱走したんだっけ? してないんだっけ?

 興味がなさ過ぎてうろ覚えだけど、とにかく彼女は王子と結ばれることもなけりゃ聖女として人々が注目することもない状態である以上、この世界はもう物語とは似て非なるものだと言えるはずだ。


(っていうかまあ、物語通りだったら逆に怖いんだけど)


 だってイザベラ、すっごく可愛いし?

 いや違った、イザベラの兄っていう立場の人間がまず転生者だったことからもう話はずれ続けているような気がするんだよね。


「アルマ姉様?」


「始まりの聖女は、瘴気がなくならないこの世界に嫌気が差したのかな」


「え?」


「でも、それは置いといたとして神になるってなんだろう。転生し続けている間に特殊能力を得たとか?」


 そう、そこだ。

 始まりの聖女は私たちが出た国の地下深く、瘴気の大元と共に眠りについた……と黒竜帝は語った。

 でもこの場所で私たちは、始まりの聖女が神になろうとしていることを知った。


 それってきっと、大きな繋がりがあるような気がする。

 ただ単なる慈善事業で自分の身を賭して封印したとか、そんな綺麗な話じゃない……そんな気がする。


「このダンジョン、一筋縄じゃいかないかもねえ」


 モンスターが襲ってこないことも含め、謎が多すぎる。

 でもここにはきっと、答えも存在するんじゃなかろうか?


(それに)


 私はイザベラに視線を向ける。

 少しだけ不安そうに、胸元で手をギュッと握りしめるイザベラは私を見つめ返した。


(聖女の道を歩んでいるのは、きっとイザベラだ)


 人のことを憂い、身を粉にして働く聖女たちを憂い、己にできることを探る姿を見て人がどう思うだろうか?

 少なくともあの国において、一生懸命働く彼女を見ていた者たちはイザベラこそが聖女の鑑だと思っていたと、カルライラ領で証明されている。


 だとしたら、悪役令嬢として役目を終えた彼女が再び今度は〝聖女として〟祭り上げられる、そんな可能性も出てきてしまうかもしれない。


「ま、そんなことはさせないけどね」


「……あの、姉様……?」


「よし、調べ物はこの辺りにして先に進もうか。……聖女についてわかることがあるとすれば、深部に行くほどわかるかもしれない」


 このダンジョンの記憶の中で……私たちに伝えたいと思う、そんな思念が残っていれば、だけどね!


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[一言] 原初の聖女黒幕説か
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