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悪役令嬢、拾いました!~しかも可愛いので、妹として大事にしたいと思います~  作者: 玉響なつめ
三部 第三章 聖女信仰

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3-24

「記録によると、瘴気に冒されて人々が苦しみ、対応に困っていたところに一人の女性が現れたのだそうです。その女性は自らを選ばれた〝聖女〟であると名乗る美しい女性だったと記されています」


「……始まりの聖女が、各地を巡る」


「彼女は幾人かの女性を供に連れており、自分の娘たちであると言いました。勿論、突然現れたその女性に対し国としては懐疑的でしたが、瘴気を取り除いていく彼女たちに対し信仰していったのだと言います」


 そして瘴気から国を守れば周辺諸国からも人が救いを求め集まり、国は大きくなっていった。

 人々の感謝と畏敬を一身に集めた聖女は、黒竜帝が言っていたように転生しながら聖女を増やし、瘴気を滅するために旅をしていると述べ、聖女を増やすために夫を必要としているとも告げたそうだ。


 不思議なことに彼女は一向に衰える様子は見受けられず、実は不老不死なのではないかという噂まであったそうだ。

 いつしか王家も彼女の前に膝をつき、国は聖女を頂点とした宗教国家になったんだそうだ。


「聖女は多くの子を生み、いずれも女児であったそうです。いずれも聖女としての力を持っていましたが、母親である聖女ほどではなかったと……」


「ふうん……でも、それがどうして聖女が国を滅ぼすことに?」


「ある程度の年月が経った時、聖女が崩御し、娘たちのうちの一人が継いだそうです。なくなる寸前に、再びこの地に生まれると書いてあり、その場にいた者たちは懐疑的であったと記されています。……ええと、まるで容姿は衰えずに美しいままだったとも記されてますけど……」


「まあ、懐疑的なのはわかるかなあ。容姿については、うん……聖女を称えてのことかもしれないし、そこは気にしないでいいかな」


「そ、そうですよね!」


 それにしても歴史書に〝懐疑的〟って書かれちゃうのかあ。

 でもまあ、生まれ変わってくるから! って今際の際に言われても信じがたいよねえ。


「続きになりますが、それからは特に穏やかな話が続いているんですが……百年後に本当に生まれ変わったと記されています。そして、その知識と能力が当代の聖女たちの遙か上をいくものであることから、本物であると認定されたとも」


「……ふうん、トップに返り咲いたってわけか」


「そして聖女は現状を把握し、不満を抱き、宣言をし……それを当時の上層部も、神殿も、国民も、受け入れられなかったとあります」


 イザベラは、なんとも微妙な面持ちだ。

 決してそれが良い話でないことはわかるし、なんだったら私も知りたくないような気もしてきた。


 けれど、これはきっと大事なことなんだろう。

 だからイザベラだって私にこの話をしてきたわけだし。


「聖女は、自分が神となってこの世界をやり直すべきだと言い出したのだそうです……」


「ほうほう、この世界を。……神になって。……やりなおす……」


 私も言葉を繰り返して、イザベラと同じようになんとも言えない気持ちになった。

 なるほど、従わなかったから聖女は国を滅ぼして世界のやり直しの第一歩とした、そういうことでいいのかな?


「そして、ここからがまた加えて気になったのですけれど」


「うん。もう驚かない」


「初代聖女のその宣言に対し、対抗したのが当代の聖女であった……孫か、ひ孫かわかりませんが、血で血を争うようなことになったようです」


「わあ」


「当代と初代で争いが起き、派閥が生まれ、国は衰えていく一方だとあります。そして、初代を退けるために当代は悪魔と契約したとここに記されています」


「んん?」


 悪魔と、契約? それは穏やかじゃない。

 というかここでいきなり悪魔の登場?


 驚かないって言ったな、あれは嘘だ。


「エァンドゥラスという、悪魔だそうです……」


 エァンドゥラス、その発音をもっとシンプルにしたらアンドラス。

 私たちにダンジョン探索をさせたがった張本人。


 あのヤロウ、何が何もわからないだよ。

 思いっきり当事者じゃねえか!!


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[一言] 思いっきり当時の当事者やないかーい!
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