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悪役令嬢、拾いました!~しかも可愛いので、妹として大事にしたいと思います~  作者: 玉響なつめ
第二章 守りたい、この平穏生活

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二章、開始です!

 イザベラちゃんと一緒に暮らして一週間。

 ついついあれこれと買い与えちゃう私に対して、大分打ち解けてくれたイザベラちゃんは「無駄遣いはよくない」と最近はやりくりを覚えました。

 ううーん、しっかり者!

 でも私、稼ぎは悪くないからいいんだよ……?

 もっとねだってくれてもさあ……。


 この一週間で買ったもの。

 大きめの家具一式、カーテン、絨毯、衣類、食器(カトラリー)類、後はまあ小物。

 イザベラちゃんは花のモチーフが好きらしく、それでも今までは可愛らしいものは似合わないと言われていて手が出せなかったんだって。


 買うよね! 全力でね!!

 花柄のカーテンにベッドに後付けの棚を(特急で)作ってもらって花の模様も刻んでもらったし! 鉢植えだって買っちゃったよね!!

 まあ私、実は植物育てるの苦手なんだけど。ついつい水やりを定期的にって忘れちゃいがちだからさ……一カ所に留まって生活をしない弊害ってヤツだね……。

 そっから服はいっぱいあっても困らないだろうと思ってクローゼットに入るだけ買ったし、なんだったら靴も普段用、お出かけ用、四季に合わせて……って買い込もうとしたらイザベラちゃんにストップかけられちゃったのよね。


 うーん、このしっかり者さんめ!(二回目)


 とはいえまあ、確かに散財ばっかりしてたら『大丈夫かこの人』って心配されるのも頷けるので、ココは保護者としての威厳を保たねばならない!

 ……てなわけで、必要なものは遠慮せずに言ってもらう、ということで落ち着いて私たちは生活をしているわけである!

 

「アルマ姉様、今日は何を教えていただけるんですか?」


「そうだなあー、そういえばさっき買ってきた中にジャガイモあったね。それ取ってくれる?」


「はい」


 最近のイザベラちゃんは、よく笑うようになってくれました。

 こうして台所に一緒に並んでお料理とか、なんかもう癒し空間じゃない? よく笑ってご飯を喜んで食べてくれて、その素直な反応が可愛くて私も幸せ。


 イザベラちゃんもすっかり私に懐いてくれて、姉様って普通に呼んでくれるようになったんだよ!

 おねえちゃん、嬉しい!


 私も聞いた話でしかないけれど、貴族のご令嬢は基本的にアルカイックスマイルで全部対応するものなんだって。

 感情を大きく表に出すのは下品な所作に当たるんだとか。まあ、扇子とかで口元を隠すとかそういう小物を使って誤魔化す方法はいくらでもあるとのことだったけど。


 だけど、イザベラちゃんは今のところ貴族位を剥奪された平民だからね!

 そんなの気にしなくていい生活は、彼女にとって申し訳なさと喜びがない交ぜになったものらしい。


「それじゃあ今日はジャーマンポテトを作りたいと思いまぁっす!」


「じゃあまんぽてと? ですか?」


「まあまあ、料理名はともかく。美味しいから楽しみにしててね!」


 しまった、ついノリで。反省反省。

 何を隠そう、私は前世『お料理系配信者』だったのだ。

 どういうことかって? つまり、料理動画を作って流してたってわけだ。

 ちなみに言っておくが、プロの料理人でもなければ別に栄養士の資格を持っているとか、そういうのはない。


 ただの料理好きが素人でも作れる美味しい家庭料理を配信していただけ!!


 転生して記憶を取り戻してなにより嬉しかったことは、料理の仕方を知っているってことだった。

 孤児院の生活はそりゃ最低限の衣食住を保証されてはいたけど、パンと塩味のみの具なしスープなんて日もザラだったし、教育なんて最低限の読み書き、それもほとんど教えてもらったとは言えないレベルである程度の年齢になったら働きに出る。


 だから、美味しいご飯の作り方を最初から知っているっていうのはでっかいアドバンテージだったんじゃないかなと今でも思っている。


(冒険者になって、魔法を駆使して依頼をこなし、最低限のお金を手にして私がしたことは持ち歩きできる鍋と食材を買うことだったもんね……!)


 同じ頃に冒険者デビューを果たした皆は装備や豪勢な食事にとお金を費やす中、私のことを馬鹿だなんて言っていたけど……彼らはどうしているだろうか。

 あの時はまだ駆け出しだったから、安い肉と野菜の切れっ端だったけど、それでも野菜炒めをおなかいっぱい食べられたのは嬉しかったよなあ。


 そんなことを思い出しながら、私はソーセージとベーコンを取り出した。


「まずはソーセージを三等分くらいでいいかな。で、ベーコンはこんくらいね」


「はい」


「ジャガイモは芽を取って、一口大に切る」


「はい」


 私と一緒に包丁を使うイザベラちゃんの手つきはまだまだおぼつかない。子供のお手伝いレベルだけど、それがまた可愛いの。

 一緒にこうやって並んで料理できるくらい広い台所がある家を選んだ甲斐があるってもんですよ……!!


「ほんでもってそのジャガイモを茹でるんだけど、その間にニンニクをみじん切りにして……それからフライパンを熱してオイルをちょこっと入れて、さっきのニンニクを炒める。で、いい香りがしてきたなーって思ったらソーセージとベーコンを入れる!」


 広がるニンニクの香りに交じってじゅわっと音がする。

 最初の頃こそびっくりしていたイザベラちゃんだけど、最近はとてもフライパンから出る音が楽しいらしくにこにこしている。


「ジャガイモが茹で上がったらフライパンに入れて炒めつつ、塩こしょうで味を調えて、はい、完成!」


「わあ、いい香りです……!!」


「あとはバゲットでも切ってお昼にしようね」


 笑顔で食器を並べるイザベラちゃんは、生き生きしていて一緒に生活することにして良かったなあってしみじみ思う。私もとっても楽しいからウィンウィンだよ、ホント。

 

 私と妹のこの生活、結構順調なんだけど……お城の方ではどうなってんのかね。

 ……いやもうずーっとこのままでいいんだけど。

  

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― 新着の感想 ―
[一言] デレッデレに鼻の下伸ばしてる顔しか想像できんなァ! そのうちデレっとした顔がデフォになって仲間から「アルマ、顔。」とか指摘されてキリっと直す事案とか発生しそうやで
[一言] 面白い!
[一言] 姉と言うより旦那様。 妹ちゃんも無駄遣いを諫めるしっかりものさん。 親も王子もろくな奴じゃなさそうだし、誰が迎えに来ても追っ払ってね( ´∀` )b とは言え、辺境伯様はまともな方だからキ…
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