表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢、拾いました!~しかも可愛いので、妹として大事にしたいと思います~  作者: 玉響なつめ
三部 第一章 砂漠の国に咲く花の名前は

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/160

3-10

 サァルスの町に戻った私たちは早速ギルドに報告へ行き、解散の運びとなった。

 

 今後調査する上でどうするのか、お偉いさんたちを集めて会議するんだってさ!

 それまでは一旦、立ち入りを禁ずるとのことだった。


 まあ、お早い決定をしてくれることを祈るばかりである。


「あーあ、まあ収穫らしい収穫はないけどとりあえず終わったし、どっかで果物でも買って部屋に戻ろうか」


「はい、姉様。お疲れ様でした」

 

「イザベラもお疲れ様! 初めてのダンジョン、なんとなく雰囲気がわかったでしょ? 次は私と二人だからもうちょっと効率よくやるつもりだからそのつもりでいてね」


「はい!」


 あのボウヤたちが一緒じゃあついて来られなくなっちゃうだろうから、別行動がいいんだよ。うん。

 私は片手に持ったままのゴブレットを砂漠の太陽にかざしてみる。

 金属製のそれに刻まれた古代語と、いくつかの宝石がちりばめられたそれは美術品としての価値もあるだろうし、歴史的価値だってあるだろう。


 でも、私たちにとって別の価値があるに違いない。


「とりあえず、これをアンドラスに渡す前に聞いておきたいんだよね」


「え?」


「イザベラ、この古代語読めるんじゃない?」


「は……はい。彼らの手前お話しすることはできませんでしたが、姉様にでしたら勿論お話しいたしますわ!」


 イザベラによると、そこに刻まれているのは王国にある石碑と同じ言葉だという。

 聖女を称え、聖女は人々を導く……或いは人々と共にあるといった訓告が刻まれているようだ。


「教会に集められた聖女たちはその石碑を前に、自分たちが聖女であることに誇りを持ち、結界を支え人々を守るのだと教えられるのです」


 ところが、それと同じ言葉を刻んだゴブレットが遠く離れた地で見つかったってことだ。

 つまり、ここでも聖女は信仰されていた……ってことなんだろう。

 王国と同じとは思わないけれど、聖女を称えているくらいだから恩恵はそれなりにあったはずだ。


(それなのに、古代王国は滅亡した)


 アンドラスが私たちに調べろと言ったのは、古代王国に聖女がいたという事実なのかしら。

 とりあえずゴブレットを渡して、遺跡の再調査の権利をもぎ取りたいところだなあ。


 そういや父さんはどうしたんだろう。


「姉様、あちらの露店をご覧くださいまし。花蜜桃がございますわ」


「へえ、美味しそうだね。買っていこうか」


 この世界では桃が砂漠地帯に生るんだから不思議だよね!

 まあそれはともかく美味しそうだし、買っていくことは賛成なので私たちが人混みをかき分けて交渉しつつ桃を手に入れたところで、声が聞こえた。


「イザベラ! イザベラ=ルティエ……!!」


「殿下! おやめ下さい、ああ、くそっ……」


 懐かしい名前で、私の可愛い妹の名前を呼ぶ人物が制止する人物たちを振り切って駆け寄ろうとするのを懐かしい顔が容赦なく取り押さえる姿が見えて、私たちは目を丸くする。


 そう、懐かしい顔だ。

 そして会えて嬉しい顔と、二度と会いたくない顔でもあった。


 イザベラが、口元に手をあてて、呆然と呟く。


「殿下……それにエドウィン……?」


 そう、それはかつてイザベラのことを〝悪役令嬢〟として断罪した二人だったのだから私は思わず天を仰いでしまったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 何故にこんなところに?
[一言] そこは取り敢えず、問答無用で二人に一発グーパンしておこうず!(* ̄∇ ̄)ノ なんか係わるとロクなこと無さそうなので、二人がのた打ち回っている間に逃げるが良しwww つか、何しに来たんだ?
[一言] 確かにエドウィンには会いたかったけど王子にはちっとも会いたくなかったですね(笑)。 何故王子がここに来れているかも分からないし遺跡の謎もあるしますます楽しみです。妹ちゃんの手紙もあるしひょ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ