ドラゴンさんのお話
ナツカとミフユは小説の中に出てくる登場キャラクターです。
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俺の意識を埋め尽くしていたのは、全てを溶かすほどの炎と、
「・・・・・・・・・・。」
頭から流れる生暖かい血の赤と
「・・・・・・・・・・」
そして・・・耳をつんざくような・・・・
ーSFEFDVODCMKNKFKMDKMDKMAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!ー
目の前の・・・・”死”の咆哮・・・・・それだけだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
普通の人間では、数秒と持たない灼熱の大地で、所々、血の割れた場所からマグマがその姿を見せている。
元来、この場所は、そんな危険な場所ではない。
その原因は、ただひとえに、目の前で鎮座している理の外のもののせい。
「ハァ・・・ハァ・・・。」
仲間の誰もが、額から膨大な汗を流しているが、それは、熱いからというだけではない。
「ハァ・・・ハァ・・・。」
先ほどの咆哮とは一転、”それ”はしらけ切った目でこちらを見ていた。
「ハァ・・・ハァ・・・。」
きっと、先ほどの咆哮の意味は”身の程を知れ”・・・だ。
―と、―
重圧に耐えかねた仲間の一人、シーフが踵を返した。
どうやら、仲間のきずなは、彼女にとって、この重圧よりも優先するべきものではなかったようで、
「・・・タイムクロウ」
速度特化の多重魔法。彼女の身を風がまとい、
異次元の速度に、彼女をいざなっていく。
開ききった瞳孔には、恐怖への逃避の色しかにじんでいない。
岩から岩へと飛び移り、逃避の妨げとなる父の遺品だと言っていたナイフは、マグマの中へと放り投げた。
否、それはおそらく、あの規格外に戦う意思はないというメッセージを伝えるものだったのだろう。
―人のものではない瞳が、うっすら、その影をたどる―
王城をさらに一回り大きくしたサイズの、巨体。
まるで、炎そのものをそのままあしらったかのような、真っ赤な鱗。
そして、まるでハエを見るような興味なさげにこちらを除く蛇のような眼。
必死の形相を浮かべながら逃げ出していく彼女の後姿を見ていると、
”私は、盗賊の頭だけど、仲間を裏切ったことだけはないからなっ!!”
あの日そういってにかっと笑った彼女の笑顔が脳裏に浮かんだ。
一瞬・・・その試みは、、、成功するのではないかと思われた、
、、、だが、、、
それは、我々の命に、蚊ほどの憂いも感じはしていない。
―つまり、―
彼女の顔が逃避の成功を予感してほころばせたのは、ドラゴンが、眠りの姿勢はそのまま、魔法によって巨大化した尻尾を振りかぶったのと同じタイミングだったのだ。
―ぐしゃり―
彼女の必死の試みの結果得たのは、ただその”音”だけ。
尻尾を持ち上げた場所からは、人一人分の血と、仲間だと思っていた彼女の・・・肉塊だけが、、、見受けられる。
そんな無残な姿も、一瞬後には、マグマに溶けて、消えてなくなった。
―きっと・・・―
我々がああなるのに・・・・そう時間はかからないだろう・・・。
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スキルで見た、あの怪物のHP は、一割でさえも・・・・・減ってなどいない。
現実から目をそらすように、隣にいる仲間に視線を移す。
「・・・・・・・・・・・・。」
過呼吸をひたすら繰り返す仲間、途切れ途切れに俺たち、このままじゃと聞こえてくる。
瞳孔の開いた目と、止まらない汗が、紡がれない次の言葉を、雄弁に物語っていた。
ー全滅ー
その未来は・・・・もう変えることはできそうもない・・・
ひきつった俺たちの視線には、再度大きく息を吸い込む、巨大なドラゴンが一匹。
そのドラゴンは、俺たちの最期の時でさえも、どうでもよさげに見下しながら再度、一鳴き
ーSFRFEDFFFEFHYYJUJNHMOIJNKJAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!ー
一瞬で、赤色が埋め尽くしていく・・・。
死と灼熱で彩られたコントラストが一瞬でしかいいっぱいに広がっていく。
死の淵で、思った・・・。
―こんな場所来るべきでなかった―
別に、目の前のそれが人々の生活を脅かしているという訳ではなかった。その者は、自身の存在が世界の脅威であると認識していたからだろう、生物も何も存在しないこの世界の果てで一匹こっそりと暮らしている。
俺たちが攻撃されているのは、ただひとえに俺たちの傲慢のせい。
指にはめた指輪が、淡く輝く。
世界をぶち壊す壊音が、俺の鼓膜の許容範囲お構いなしに、鼻先三寸を破壊で満たしているが、
獄炎が俺たちを飲み込む・・・その少し手前で、虹色に輝く膜が寸での所で俺たちがこの世にとどまることを許してくれている。
俺の家計に代々受け継がれてきた、災いから、自身を守ってくれる宝玉。
そして、
―ビキィッ―
今この瞬間、俺たちを、この世界に押しとどめておいてくれる保険はなくなった。
魔王の攻撃でさえも、何度も防いできたはずの家宝は、
目の前で、金色の灰となって空中に霧散して・・・そして、再度、
思った。
―こんな場、所来るべきではなかった・・・―
悪魔の軍勢を押しのけ、世界の平和を守ったと自負していた俺たちは驕っていた・・・。今の俺たちに倒せない敵はいないと。だから、過去の伝承をあさり、数百年一度たりとして人間に牙をむいたことのない”それ”を勝手に害悪と決めつけ・・・勝手に作り上げた栄光を求め、今がある。
・・・・・・
「・・・・・・・終わった・・・。」
・・・・・・
近くにいた仲間の本音。
・・・・・・
「・・・・・・・・。」
・・・・・・
崩れ落ちていく、重装備騎士。彼の眼には、旅立つ前の、あの輝きはみじんも残ってなどいない。
・・・・・・わかってる。
抵抗しようとするまいと・・・・もう・・・結果は変わりはしない。
・・・・・・
意味などない。
勇者の血など・・・何の意味もありはしない。
目の前にあるのは・・・・
理なんぞでは抗えることのない・・・・・・・・・絶対的な理不尽
心はもう・・・・・・・修復不可能なほどに・・・折れた・・・
そんな時だった。
「はにぁー、今回の相手はドラゴンですか・・・」
まったくもって、気の抜けた・・・そんな声が聞こえたのは・・・。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
死の間際で、幻でも見えてしまっているのだろうか?
目を向けた先に立っているのは、
貴族の屋敷で使えているような、メイドが一人。
ドドーーーンッ☆とでも言いたげな風格をして立っているメイドが好戦的な笑みを携えて、ドラゴンのことをまるで”雑魚キャラその1ッ☆”とでも言いたげに見下ろしていた。
そして、
「ドラゴン・・・かっこいい・・・。」
そんなメイドのもとにもう一つの人影。そいつは、死地だというのにもかかわらず、まるで幻想譚を聞く童のように目を輝かせている。
(なんだあの・・・場違いな奴らは・・・?)
あまりにも、滑稽な様子というのは、死の間際でも人の興味をそそるものらしい・・・・。
そして知る、、、その滑稽は・・・・ただの滑稽ではなかったのだと。
「にゃはッ!!」
――突然――
メイド服を着ていたそいつの姿が掻き消えたかと思うと・・・
「ぐぎゃあAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」
悲痛な咆哮がそのあたりに響き渡った。
「!!!!!!!!っ」
目を向けると、
あんなに規格外の力を誇っていたはずの、ドラゴンの首筋からどろりと垂れる赤い血。
「!!!!」
ドラゴンの首筋には、人の持つ武器では到底つけることのかなわない大きさのバカでかい傷跡・・・
「!!!!!」
ドラゴンのそばにあのメイドはいない。
慌てて視界を左右に振ると、いつの間にかメイドが元の場所に戻っていて・・・。
いつの間にかメイドのそのかわいい両手にはにあわない”鉤爪”という近接武器がはめられていて、その刃には、まるでドラゴンを傷つけたのは、これですっ☆!!!とでも言いたげに、赤黒い血がどろりと滴っていた。
(なんなんだ・・・こいつら・・・?)
仲間のほとんどが現実を受け入れられずにいる中・・・
仲間のうちの一人、オターキュ(職:mahoutsukai)が震える手をそのままに、『お助けメイド☆困ったときは、こちらまで☆』と書かれたチラシを、神様に会えた信者のように、とめどない涙を添えて、まじまじと見ていた。
―そして―
ドラゴンの方は、すでに臨戦態勢に入っていて、
エルフのメイドめがけて正確な連撃を行う。
大言壮語などでは全くなく、地面をえぐってしまうその一撃一撃は・・・
―されど―
メイドに、かすり傷さえつけることさえもできない。
我々をミジンコのように打ち砕いてたはずの攻撃・・・
メイドは左、右とドラゴンの魔法を軽快なステップでよけて、まるで猫かくありなんというよぬにくるくると、とんぼ返りを行う(実際の猫はそんなことできないと思うが・・・)。
一重二重にもぶれて敵の攻撃を躱すその様は、それ自体が影映であるかのようだ。
数秒のうちに繰り出される回避不可能なはずの連撃。
回避不可能なはずなのに、彼女は、傷一つさえも、負ってなどいない。
―今度は―
五月雨のような連続斬撃を放った!!!
俺たちではほとんど歯が立たなかった鋼のようなうろこに次々と切り傷と・・・・そして・・・・悲壮なドラゴンの叫び声が生み出されていく。
それはもう、現実世界では、説明できないような光景だった。
―だんだんと―
ドラゴンの目に、聡明さが戻っていく。
奴は気づいたのだ。
目の前の敵は、自身の眠りを邪魔する、身の程をわきまえない勇者一行などではなく・・・
自身の命を脅かしてしまうような・・・・そんな敵であるのだと。
ドラゴンがブレスを真上にはこうとしているかのように、一瞬うつむくと、
ピンと首を上に伸ばして、
自身を叱咤するように、あるいは、一度も会うことができなかった”強敵”に歓喜するかのように一息、
大きく大きく、嘶いた。
―次の瞬間には―
我々のことなど完全に忘れてしまったかのように、ある一点だけを嬉しそうに注視している。
―そして、―
メイドは、かわいらしく微笑むことで、それに返した。
―次の瞬間―
相手の獲物では急所である心臓まで届かないとみたのか、防御は捨てて、大きな口を開き、相手を丸のみにすべく、メイドに食らいつこうと、その者の眼前に迫った!
「ひっ!」
仲間の何人かが目を細めるものの、あのメイドの笑みは消えない。
――どんな胆力をしているのか、――
喰らいつかれる、その瞬間、メイドは腕をクロスさせ防御の姿勢をとったかと思うと、相手の唇めがけて、ガッと鉤爪を突き立てた。
ドラゴンは目の前の唇にぶら下がる相手を食いちぎることも飲み込むこともできないまま、荒い鼻息だけがメイドの髪をたなびかせる。
突進した勢いそのまま、眼前にぶら下がった”敵”を己ごと、岩にぶつけようと、ドラゴンはもろ刃の突進を続ける。
―そして、―
眼前にいるエルフのメイドとドラゴンの目が一瞬交差する、メイドのエルフはにぃっとかわいく笑って、
―岩に激突するその間近―
己の腕力のみを使って、空高く舞い上がった。
高く高く舞い上がった彼女は、とある一点から、降下を始め、その風が、再度彼女の髪をたなびかせ始める。
「なかなか強い、ドラゴンさんですねっ!!あなたの強さを讃えて、私も必殺技で締めさせていただきます!!」
再度空中でくるくると回り始めた。
ドラゴンはというと、こちらもとどめを刺す好機と見たのか、回避不可能な相手目掛け、仲間を数人消し炭にかえた”あの”獄炎を吐き出そうと大きくのけぞった。
――無我夢中に――
「ブレスが来るぞっ!!!」
叫ぶものの、エルフのメイドはそれでも笑みを絶やさない。
「私の斬撃は、ブレスじゃ破れませんよっ!さあっ!勝負ですっ!!!!」
――叫んだ!――
「神 喰 斬 !!!!!!」
瞬間、
メイドの姿がぶれる___
我々に分かったのは、メイドが何か攻撃をしたのだろうという憶測だけ・・・
ーそして・・・ー
ドラゴンの口から吐き出される・・・
黒く黒く染まった大量のドラゴンの血が・・・・
―――――――――――――――――――――
――驚きに目を見開きながら――
ドラゴンは数歩後ずさる。
トカゲのような眼を下に向けると、そこは、どす黒い血で、水たまりができており、
その時になって初めて、、、そのものは自身の敗北を悟ったのだ。
そして、再度大きく、大きく・・・・・嘶く・・・。
―最後に―
自分が敗れたことが心底おかしいかとでもいうようにニイッと笑って、よろめくと・・・次には、ドスーーーンッと豪快な音を立てて、無敗だった”それ”は地響きとともに、地面に横たわる。
静かに目をとじる・・・
―そして・・・―
その後目を開けることはなかった。
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「ふぅっ!これで、依頼完了ですっ!!」
「これで、今月も・・・食べていける・・・」
俺たちは、これまたポカーンとした顔で、この惨状を眺めていたのだけど、ただただ、
(この化け物は・・・一体何なのだ・・・。)
その考えのみが、頭の中を支配していた。
メイドたちは、こちらに近づいてくると、mahoutukaiのもとに歩み寄って、
「えーっと、あなたがオターキュさんですねっ、この度はご依頼ありがとうございますっ。」
「ハ、ハイ!お二人にお会いできて、恐悦至極ですぅっ!!」
メイドは困ったように笑いながら、
「えーっと、ありがとうございます。依頼料は1000Gですっ」
「やすっ!!」
オターキュは震える手でお金を渡すとそれは今にも昇天しそうな顔をしていた。
「それではみなさん、さよーならーーーー。」
メイドと悪魔は魔法陣を展開したかと思うと、次の瞬間には、消えていた。
「何だったんだ・・・あいつらは・・・・?」
俺は、一人むなしく、そうつぶやいた。
ミフユさんツイッターやり始めました・・・よかったら相手してあげてくださいm(_ _)m
https://twitter.com/shironigozaru