こんな事って
初めまして、めるてぃと申します。
本作を見ていただいて、ありがとうございます。
何かと至らない点があるかと思いますが、温かい目で見ていただけると幸いです。
真っ暗な視界の中
彼女は身体から伝わる感覚に違和感を覚える。
(おかしい…)
私はいつも通り大学で講義を受けて、その後サークルの同志と飲みに行って、帰宅してすぐにふかふかのベットで寝たはず。それなのに身体が痛い。家の中にいたハズなのに何故か風を感じるし、それに手から伝わるこの感触はなんだろう…。まるで砂を撫でているようにザラザラした…。えっ?!砂?!と思い目を開けると、視界には
「真っ黒な雲…?」
ハッとして身体を起こす。周りを見渡すと寝る前に自分がいた世界だと思うには、かなりかけ離れた景色だった。
見渡す限り構造物は一つもなく、ただただ大地が広がっているだけだった。枯れた樹木のようなものはところどころあるけれど…。いきなりビュッと強い風が吹いた。風が吹けば遠くでひび割れた大地から砂埃が舞う。
(こうゆう風景【荒野】っていうんだよね。初めて見たわ。)
今まではゲームやアニメでしか見たことがなかった景色を実際に見ると呆然としてしまうものなのだと思った。
まだ重い腰を上げて立ってみる違和感があるとすれば視線の高さ、身体の異常な程の身体の軽さ。足が地面についていう感覚がないぐらい。まるで浮いているような……。
「ん?浮いている…?」
下を向いてみると地面から足が浮いていた。
「うっそ~~!!ほんとに浮いてるんですけど~~~~~!!!!」
浮いてるって…。ファンタジー系の小説・マンガで、浮遊魔法とか風魔法とかで「風よ!我に力を!!」みたいな呪文と唱えたら体が浮いてそれで移動するとかじゃないの…?もしかして、無意識下による常時発動スキルみいたいな。
「…え~…。」
試しに軽く前後左右に身体を傾けてみた。すると傾けた方向にゆっくりだけど移動した。なるほど、身体の傾けによって進むという感じなのね。前に思いっきり身体を傾けたらジェット機並みのスピードで飛べるのかな。別に今の時点では困ったことはいけれど、この服装は何だろう。ギリシャ神話に出てくる神様達が来ているような一枚の縦長い布を巻いてまとっている様な服を着ていた。この荒廃した世界には洋服という概念がないように思えた。取り敢えず、周りの状況はできるだけ把握できたので少し移動してみることにした。けれど、景色はほぼ変わらなかった。
強いて言えば大量の大型の動物(?)の白骨体があったことや禿山と化した大きな山、川が流れていただろう跡があったぐらいだった。あと、さっき[前に思いっきり身体を傾けたらジェット機並みのスピードで飛べる]説はなくなった。思いっきり前に倒れてみたものの、そのまま地面とご挨拶するだけになった。速く移動するには別の方法があるらしい。
ん?でも、何か大切なことを忘れているような…
「どうして私はここにいるの……?」