カラス
その日もあいつは空を飛んでいた。
大きく翼を広げ羽ばたくたびにあいつは嫌われた。
黒いから、黒いから
笑ってるの?怒ってるの?
その顔から表情は見えない。
ある日の朝に少女が街角に佇んでいた。
大きく翼を広げ急降下であいつは少女を威嚇した。
疲れたから、疲れたから
寂しいの?孤独なの?
少女の笑顔は光ってみえた。
汚したいと思っていた場所に
キレイな瞳の光が何かを思い出せ
みえないものをみているその瞳に
いつしかその場にいるあたたかみを覚えた。
少女は毎日街角に立っていた。
あいつはもう威嚇しなくなった。
「お願いがあるの」
少女はペンダントをあいつに渡した。
空は飛ぶあいつの目は燃えていた。
雨は降り、稲光は炸裂し、太陽光は黒い肌を焦がした。
少女との約束
「お願いがあるの」
ただそれだけがあいつが空を飛ぶ理由
たどり着いた場所は思っていた場所
キレイな瞳の光に写っていた景色
みえないものを共有し実現した
みえた場所で力つきた瞳に
本当ののあたたかみに抱かれ「ありがとう」