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第3話~ノーザンテースト国~

どうも、VOSEです。

かなり久々の投稿でございます。

というのも、リアルの方でいろいろかなり忙しいので、書こうにもかけない状況がありました…

とりあえずストック一つ書き終えたので、この話を出すことにします。

というわけで、今回はただの街紹介なのでよろしくお願いします。

では、本編どうぞ!


(…ここは…)


 寛平が目を覚ましたのは、薄暗く、土がむき出しの部屋だった。


(ここって…壕の中…)


 見覚えのある部屋の中で、寛平はゆっくりと起きると…


「お!寛平!目を覚ましたか!」


 聞き覚えのある男の声がした。


(…松村…松村なのか!)


 戦友である松村伴久が目の前にいたのだ。


「大丈夫か?しっかりしろ!」

(俺は大丈夫…でもなんでお前がここにいるんだ…お前はもう…)


 寛平がすぐ疑問に思ったのが、戦友である松村は…()()()()()()()()()()ということだ。

 松村は寛平より先に戦争で亡くなっていたからだ。


(松村…お前は行くな…!死んでしまう!)

「…すまんが寛平…俺は先に行く。お前は仲間に担いでもらって逃げろ」

(行くな!松村!行くんじゃない!)

「じゃあな、寛平…今度会うときは、日本でな」

(行くなぁぁぁぁ!)


 寛平はここで…目が覚めた。


「はぁっ…はぁっ…」


 寛平はふと周りを見ると、豪華絢爛な部屋に、寛平には似合わないベッド…

 外は暗く不気味なほど静かだった。

 寛平はふと、自分が寝ていたベッドを見ると、汗でかなり濡れていた。


(なんていう夢見てたんだ、俺は…)


 寛平はいまだに鮮明に覚えている夢の内容を振り払うかのように首を横にぶん回した後、再び眠りについた。

 次に目が覚めたのは、明朝。

 太陽の日差しが寛平の瞼をくすぐった。


「…ん…もう朝か…」


 寛平はゆっくりと起き、窓を開けた。


(窓を開けて…爆弾はおろか、飛行機すら飛んでこない日なんて、いつぶりだろうか…)


 寛平は今全身を持って感じている平和を感じながら、部屋を出た。


「あ、おはようございます!カンペイさん!」


 いそいそとすこし慌てているフランが、寛平を見てあいさつをした。


「おはよう…どうしたんだ?どこか行くのか?」


 寛平は急いで着替えているフランにそう尋ねた。


「今日は保育園の視察なの。こう見えて、私の王家の一員だから、こういう公務はしっかりしないとね」

「なるほど…」


 フランから説明されてもいまいちピンとこなかった寛平は、ただなるほどとしか言えなかった。


「とりあえず、私はこれからお仕事に行くの。カンペイはどうするの?」

「そうだな…町を見てみたいが…」


 寛平は城にずっといるのも申し訳ないと思ったので、城から見えた町を散策してみたいといった。

 フランは一瞬苦い顔を見せたが、ずっとここにいさせることに申し訳ないと思い…


「わかったわ。ただし、フードをかぶって出て頂戴。そうでもしないと、町のみんなが荒立ててしまうわ」

「確かにそうだな…」


 寛平は用意してもらったマントを羽織って外に出た。

 外にはすでに馬車が止まっていた。


「カンペイさんは噴水広場で降ろしますね。いくつかここのお金を渡しておきますから自由に使ってください」

「あぁ、ありがとう」


 寛平はフランからお金が入った巾着袋をもらい、噴水広場より少し離れた路地裏で寛平を降ろした。


「教会の鐘が鳴るころに保育園を出ますので、そのタイミングでここで待ち合わせをしましょう」

「わかった」


 寛平はフランを乗せた馬車を見送った後、噴水広場へと足を運んだ。


「きれいな噴水だな…」


 降ろしてもらう前にフランから町のことを聞いた寛平は、噴水の美しさに惹かれただけでなく、活気があふれていることに懐かしさを感じていた。


(俺が小さいころは、よく友と遊んだものだ…)


 と振り返っていると…


「あぁっ!」


 女の子の声がし、寛平がその声の方へと振り向くと、女の子が果物を落としているのが見えた。そのうちの一つが寛平のところにコロコロと落ちてきた。

 寛平はそれを拾って女の子のもとへと持って行った。


「はい、これ」

「あ!ありがとう!おじちゃん!」

「どういたしまして」


 寛平が女の子に果物を返した同時に、その女の子の母親らしき人が走ってやってきた。


「すみません!リル!何してんの!?」

「ごめんなさい…」


 母親は女の子を叱ったが、寛平はそれをなだめた。


「まぁまぁ、わざと転んだわけではないですし、この子にもけがはないようですから」

「すみません、本当に…」


寛平は平謝りする母親と未だに元気はつらつとしている女の子を、羨ましい目で見送った。


「…俺も結婚すりゃあんないい家庭になってたかな…」


寛平はボソリと呟いた後、噴水広場から歩いてすぐにある市場へと向かった。


(ここはすげぇ賑わってんなぁ…)


 多くの人々でにぎわっている市場に少し圧倒された寛平は、市場を特に違和感なくぐるりと見渡していると…


「今日はお魚置いてないの!?」

「すみませんね、お客さん…外の情勢がいかんせん悪くなってるもので…」


 魚屋らしきお店で、品薄になっている商品棚を目の当たりにした買い物客の女性が、店主に詰め寄っており、それに店主が事情を説明していた。

 その店主の説明に、寛平は思わず食いついた。

 女性が魚屋から離れた後、寛平は店主のもとへと寄った。


「へいらっしゃい!魚屋だよ!」

「あ、さっき通りかかったのでわかってる…それより、聞こえたんだが…外の情勢が悪いとは…」

「ん?お客さん知らんのかい?」

「あ、あぁ…」


 寛平が何も知らないことを知った魚屋の店主が、渋い顔をして話をしてくれた。


「ここは山に囲まれていて、魚は川魚くらいだが、その川魚も量が少なくてね…んで、外から魚や肉などを仕入れているんだけどね…最近『グラディウス王国』が平和条約を無視していろんな国に侵攻してきたものだから、物流が滞ってね…唯一通じる道でも『グラディウス王国』が占拠しちまっているから…」

「なるほど…」

「それに、品薄はここだけじゃねぇ。野菜はどうにかこの国で作れてはいるが、国民全員にいきわたるほど残ってはいないさ…こうやってにぎわっているのは、もしやと思ってきている奴が多い」

「そうなのか…」


 寛平は深刻な状況に置かれていることに、心を痛めていた。


「幸い、うちでは世論のおかげで兵隊をこの町の周りだけに固めているだけで助かっているが、これで戦争で敵地に行くとなったら国中の食料が一気に減るからな…アレックス国王は頭抱えているだろうな…」


 魚屋の店主は城の方を見ながら、つぶやくように言った。

 その様子を見た寛平は、フランにこの状況を言おうと思った。


「そういえば、お客さんなんでフードかぶっているんだ?」

「ん?あ、あぁ…諸事情でな…」


 フードをかぶっていることを怪しんだ魚屋の店主がふとそう言うと、寛平はたどたどしく返事をした。


「もしかして…お前さん、『人間』か?」

「っ!」


 魚屋の店主が鋭い発言をしたことで、寛平はその場から離れようとした。


「やはりな…安心しろ。俺は『人間』に対しては嫌な感情はない。むしろ好意的にとらえているから」

「そ、そうなのか?」


 魚屋の店主がやさしい言葉で言ったので、寛平は安堵した。


「元々この国含め、『エルフ』と『人間』は友好な関係にあったんだがな…『グラディウス王国』が好戦的になったおかげで、関係が悪化して決裂しちまったんだ…『人間』でもいい奴はいるのにな…」


 そんな話をしているうちに、約束の時間になっていった。

 寛平は降りた場所で待ち合わせをしようとした。

 すると…


「…おい、そこのおっさん…」


 寛平以外いないところでそう呼ばれたので、寛平は声に反応して振り向いた。

 そこには、ガラの悪そうな男3人が寛平を睨んでいた。


「お前…人間だよな?」

「さっきの話聞いてたんだよ!」

「お前の居場所はここじゃねぇ!さっさと出ていけ!」


 男たちはそう言って寛平を罵ったが、寛平は落ち着いていた。


「…申し訳ねぇけど、俺は待ち合わせをしてる…お前らに構うつもりはない」


 その一言が、男たちを怒らせた。


「んだとゴラァ!」


 真ん中にいた、体格のいい男が、寛平に襲い掛かった。

 それを見た寛平はすっと横にそれ、足を引っかけさせて転倒させた。


「猪突猛進なのはいいが…よく考えてから動かんとよけられんぞ」

「てめぇ…兄貴に何しやがる!」


 寛平から見て右にいた、飄々とした体格の男が、懐からナイフを取り出して寛平に襲い掛かった。


「…行動が見え見えだ」


 寛平はナイフで襲い掛かった男の攻撃をすっすっとかわし、ナイフを持っていた手を抑えて地面にたたきつけた。


「んなっ!?」

「攻撃が単純だ。簡単によけられんぞ」

「んだとてめぇ!」


 さっき転んだ大柄の男が、再び寛平に攻撃をしようと立ち上がって来た。


「何のこれしき」


 と、再びよけようとしたとき…


「へへっ!これで動けねえだろ!」

「兄貴!やっちまえ!」


 残っていたちびっこの男とさっき倒した細い男が、寛平の足をつかんで動けなくしようとしていた。


「これで終わりだぁ!」


 大柄の男がそう叫んで攻撃をしてきた。

 しかし、寛平は冷静だった。

 寛平はその場でしゃがみ込んだ後、大柄な男のみぞおちに一発こぶしを入れた。


「ぐほあっ!」


 男はあまりの衝撃に、右手を差し出したままその場で倒れてしまった。


「兄貴!」


 足をつかんでいた男2人はそう叫んだ。

 そのあとに寛平が足をつかんでいた男2人を手刀で気絶させ、ひとまず離れた。


「さてと…あ、ちょっとすまん」


 寛平は通りかかった人を止め、病院の行先を教えてもらった。

 寛平はその足で、男3人を病院へと連れて行き、事情を説明してその場から離れた。

 再び集合場所に着くと、すでに馬車が止まっていた。


「もう、遅いわよ」

「すまん、いろいろあったもんでな…」


 フランが頬を少し膨らませながら、寛平を馬車の中に迎えた。

 そして、城へと出発をした。


「…そういえば…フランに聞きたいことがあるんだが…」

「何?」

「実はな…」


 寛平は先ほど魚屋の店主と話したことを、フランに話した。


「…そう…」


 フランは悲しい目をして町を一望できる場所で、馬車を止めた。


「…悲しいけど…その魚屋の店主が言っていることが正しいのよ…」

「んじゃ、町があれだけ栄えているというのは…」

「みんな、悲しい思いをしたくないかしらね…私の父は、ああ見えてこの国を守った英雄だったりするけど、そんな父でも、町の人に膝をついて懇願するほど、今のこの国の情勢は苦しい限りよ」

「その原因が…」

「グラディウス王国の制裁よ…」


 フランの言葉一つ一つに、怒りが込められていることに寛平は悲しさを覚えていた。


「…ノーザンテースト国は、グラディウス王国とはかつては友好関係にあった国なの…でも、100年前にグラディウス王国の王が変わってから関係は悪化したの…グラディウス王国の方針が大きく変わって、好戦的になって…それが今でも続いているって感じ」

「方針が変わった原因とかは…」

「わからない…でも、国内の情勢がよくなかったのか、そうせざるを得なかったみたい…今、グラディウス王国とノーザンテースト国の間には不可侵条約が結ばれてるのだけれど…ここ最近の動きからして、この国を乗っ取ろうとしているらしいの…」


 寛平は話を聞いて、まるで昔自分がいた国のようであると感じた。それと同時に、自分の手を徐に見始めた


「…私はこの国だけでなく、いろんな人が争うことなく暮らせていけたらいいなと思っているの…そのためには、グラディウス王国の蛮行を止めないといけないと思ってるわ…」


 フランが決意を固めたような目で夕焼けを見つめていた。その言葉に、寛平はすぐにフランの考えを察知した。


「止めないといけない…ということは…」

「…この前、カンペイが持ってきてくれた紙あったでしょ?あれ、ノーザンテースト国(ここ)に侵攻してくる日時などが書かれてあったの。それをネタにして交渉をするつもりだわ」

「その事…アレックスさんには言ったのか?」

「言ってないわ…お父さんは国内の対応にも追われているし…そういうことで面倒はかけたくないの…」


 フランはそういうと、寛平の方に向いて、人差し指を唇に当てた。


「このこと、お父さんには内緒ね」


 フランは小さく微笑んでそう言った後、馬車に乗り込んだ。寛平はそのあとに続いて馬車に乗り、城へと戻ったのだった…


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 その日の夜…

 寛平はとある人がいる部屋を訪ねた。

 その部屋のドアをノックすると…


「はい、どうぞ」


 部屋から声が聞こえた。

 寛平はその声が聞こえたので部屋の中に入った。そこにいたのは、アレックスだった。


「やぁ、君から私に話があるとは…」

「ご無礼申し訳ございません」

「気にしなくていい。それより、話とは…」

「実はですね…」


 寛平は昨日拾った紙のこと、フランが非公式でグラディウス王国に乗り込むこと…先ほど話したことをすべてアレックスに言った。


「…そうか…フランがそんなことを…」

「はい…」


 アレックスは寂しげにかけていた眼鏡を置き、徐に立ち上がって外を見た。


「…フランはお母さんがいなくてね…私だけが唯一の肉親なんだ…それなのに、私は国のことで頭いっぱいで、フランには何もしてあげられなかった…そんな私を見てか、恨んでるのか、やさしさからか…私から離れてね…」


 アレックスは悲しい顔をしながらそう言った。寛平はそれを見て、さすが親子だなと思い、ニヤリと笑ってしまった。


「どうした?」

「いえ、何でもありません。それより…フラン一人だけで大丈夫でしょうか…」

「『グラディウス王国』は今は危険だからな…カンペイ殿はこっそりついていくことに慣れているかい?」

「前にいた場所では偵察もこなしていました」

「なら、申し訳ないが、気づかれないようにこっそりついていってもらえぬか…」

「わかりました」


 寛平はアレックスのお願いを快諾した。


「そういえば、カンペイ殿はここの世界の者ではなかったな…前の世界について聞きたいのだが…」


 アレックスは寛平の元いた世界について、ふと興味がわいたが、寛平はそれを聞いて思わず唇をかんだ。


「…その話は…やめてもらえると…」


 寛平は先ほどのきびきびとした声とは打って変わって、ようやくのどに声が届いたような声だった。


「そうか…あと、聞きたいのだが…君がここの世界に来た目的は?」

「わかりません…なぜ、俺がこの世界に飛ばされたのか…この世界に飛ばした『神』というやつが、『キングス・ザ・クラウン』というものを使えば、俺を未来の世界に飛ばしてくれるというが…」

「ん?『キングス・ザ・クラウン』?」


 寛平が言ったその一言に、アレックスは首を傾げた。


「どうしましたか?」

「いや…その『キングス・ザ・クラウン』なのだが…」


 その次のアレックスの言葉に、寛平は目を大きく開いて驚いたのだった…

いかがでしたでしょうか?

とりあえずこんな感じで出すことにしましたが、どうでしょうか…

次回はようやく旅が始まる感じに仕上げていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

では次回、お会いしましょう!


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