第2話~泊まることになりました~
どうも、VOSEです。
さて、この小説のタイトルは「『修羅』と呼ばれた男の異世界旅」でございますが…まだ旅が始まりませんし、まだ僕が出したいと思ってる部分までは到達しておりませんw
理由としては…まぁ、最初に異世界に飛ばされたのに準備なしではいけないだろうと思い、しばらくは『ノーザンテースト国』の話が続くと思いますw
書いていくうちに自分が書きたいものを書いていきたいなと思っていますので、しばしお待ちください
というわけで、本編どうぞ!
…夜中ずっと走り続けた寛平は、へとへとになりながら先ほどいた石造り建物に着いた。
戻るときに遠目から見てみたその建物は、とても立派な城だった。
(…窓が締め切られてるな…どこか空いていないか…)
と探っていると…
「そこのお前!何者だ!」
巡回中の護衛兵に見つかってしまった。
「ちっ!」
今いる場所に住んでいる人たちが、自分を受け付けていないと分かっていた寛平は、その場から逃げるしかなかった。
「待て!この野郎!」
不審者が現れたということは城を守っている護衛兵の間はもちろん、先ほど寛平を助けた少女の耳にも届いた。
「うーん…どうしたの?」
眠たそう部屋から出た少女は近くにいた護衛兵に尋ねた。
「お嬢様!侵入者が現れたということで…!」
「グラディウス王国かしら?」
「いえ、装いから見知らぬ者で…」
「見知らぬ者…?」
少女は不思議そうに首をかしげた。
「監視兵の目に映っていないそうなので、多分盗人の可能性が…」
「そう…もし捕まえたら私に報告してくれるかしら?」
「というと…?」
「何となくなんだけどね…その人、私と会っているかも」
「勘ですか?」
「勘よ」
「ダメです。もしお嬢様の前で暴れて危害及んでしまったら…」
「私は大丈夫よ…なんでみんな心配性なのかしら…」
と、少女が呆れていると…
「捕まえたぞ!」
大きい声が城中に響き渡った。
「お嬢様はお下がりください。判断は国王にゆだねますので」
護衛兵はそういうと、走って侵入者のいるところへと向かった…
「…もう…」
少女はそう言って、その護衛兵の後を追った…
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「お前は一体あそこで何をしていたんだ!」
護衛兵が怒号をあげている先には、両手首を縛られている寛平がいた。
頬には叩かれた跡みたいなものがついていた。
「……」
寛平は護衛兵の拷問に耐えて黙秘していた。
「全く…口を割らないとはいい度胸だな!」
護衛兵の隊長らしき人が、寛平に再びビンタをかました。
それでも寛平は依然口を割らなかった。
「どうします?隊長…」
「まだ捕まったばかりだからな…しばらく拷問しろ」
「了解しました!」
寛平はその隊長格の男をじっと睨み続けていた。
「その目…お前がこの国に入るというのならば入れさせたいほどだ…」
「……」
隊長格の男が寛平を笑いながら称えるも、寛平は黙って男を睨み続けた。
「…そいつを独房に入れろ。尋問は明日からだ」
隊長格の男がそう言った直後だった。
「…その人は無害よ」
寛平は聞いたことのある声で、隊長格の男はこの場所にはいないはずのひとがいることで、それぞれ驚いていた。
「お、お嬢様!なんでここに!」
「ちょっと気になって来たのよ…その人は、昨日私を助けてくれた人よ」
「え…」
少女の言葉に護衛兵全員が固まった。
「その人は私のところで預かるわ。お父様には私から言っておく。だからあなたたちは下がって」
少女の一言に逆らえない護衛兵たちは、仕方なくその場から解散した。
「……」
寛平はいまだに沈黙を保っていた。
「…昨日助けてくれたお礼よ。立てるかしら?」
「…なんとかな…」
寛平はようやく言葉を交わした。それを見た少女はほっとした。
寛平は少女が案内した部屋に入った。たくさんの本棚がずらりと並んでおり、本棚が全部本で埋まっているその様子は図書館を思わせるほどだった。そんな本棚のほぼ中央に位置しているのが紙でいっぱいの机である。
「ここは…?」
「私の部屋よ。本を読むのが好きで…」
「すごいな、これは…」
寛平は少女の部屋を見て思わずのけぞってしまった。
「…ええっと…昨日はごめんね?」
「ん?どうした?」
少女が部屋に入るなり急に神妙な面持ちで謝ったので、寛平は戸惑った。
「…カンペイさん…だっけ?私たち『エルフ』が『人間』を嫌っていると聞いて」
「あぁ…君が気にする必要はないよ。君が仲間と対立するより、こっちが身を引いたほうがいいと思ったからね」
「本当に…ごめんなさい…」
「いや、こっちこそ申し訳ないよ…それより、君はこの国の王の娘だろう?」
「えぇ、そうよ?どうしたの?」
「これを見てほしい」
寛平はそう言って持っていたバッグから紙を取り出した。
「それ…グラディウス王国の…?」
「ここから離れる途中に…」
寛平が昨日あった出来事を話し、少女はそれに耳を傾けた。
「…なるほどね…その時に取ったものが、この紙なのね…」
「そういうことだ」
寛平はそう言って、少女が用意してくれたお茶を飲んだ。
「…この紙は私たちにとっても重要なものね…」
紙の中身を確認した少女は、紙を懐のポケットにしまった。
「さてと…俺はこれにて失礼しようかな…」
国の事情を知っている寛平は、これ以上お世話になるのは嫌だったので離れようと徐に立ち上がった。
「あ、待って!この後お父様に合わせてこの国に住んでもらうように説得するから、一緒に来て!」
「…え?」
少女が立ち去ろうとする寛平を止めた。
少女は寛平を連れて城の中を移動した。
「…そういえば、君の名前聞いてなかったな…」
「そういえばそうだったわね。私はフラン。ノーザンテースト国の国王…アレックス国王の娘よ」
「は、はぁ…」
聞きなれない名前の国にただ生返事するしかなかった寛平に、フランは少し申し訳なさそうにした。
「そういえば、カンペイさんって別の世界から来たんだよね…ごめんね」
「気にするな…いずれ慣れるさ」
2人はしばらく城の中を歩いていくと、大きくて豪華な扉の前に着いた。
「ねぇ、お父様に合わせてもらえるかしら。重要な話があるの」
「わかりました」
フランが扉の前にいる兵士にそう言うと、兵士はアイコンタクトで扉を開けるための機械を動かした。
扉はゴゴゴと音を立てて空いた。その扉の先には、いろいろな書類を見ている、無精ひげを生やした大柄な男がいた。
「うん?何者だ」
「私よ、お父様」
「全く…入るときはノックくらいしろ」
寛平はノックして聞こえるのか?と、分厚い扉を見ながら心の中で突っ込んだ。
「…そこにいるのは?」
大柄な男は寛平を見てそう言った。
「木之本寛平と申します。昨日、彼女に助けてもらいました」
「そうなのか…うちの娘が無礼なことなどしておられなかったか?」
「お父様!」
大柄な男は冗談っぽく笑いながらそういうと、フランは頬を膨らませて怒った。
「私はノーザンテースト国の長である、アレックスだ。君は別の世界から来たようだね?」
大柄な男…アレックスは寛平をまじまじと見つめて、寛平が別世界から来たのだと看破した。その事にフランは驚きを隠せなかった。
「お父さん、どうしてわかったの!?」
「なぁに、カンペイ殿が来ておられるその服…この世界には存在しないからな」
フランの驚きの言葉に、アレックスはガハハと笑いながら返事をした。
「それでフラン…お前は何しに来たんだ?」
「あ、そうそう…お父様、カンペイさんをここに住まわせてもらえるかしら?異世界から来たというなら、住む場所が無いわけだし…」
フランは父であるアレックスにそういうと、途端に難しい顔になった。
「私は構わないが、この国の者たちがそれを受け入れてくれるだろうか…」
「みんなが納得してくれるまでは秘密にしてくれるかしら。納得してくれたらどこかに住まわせても…」
「それならば、フランの部屋を借りるとよいだろう」
「私は歓迎するわ。カンペイさん、いいかしら?」
「あぁ、よろしく頼む」
こうして寛平は行き当たりばったりではあるが、しばらくフランの部屋で過ごすことになった。
城に住む条件として、寛平はしばらくフランの部屋で閉じこもることになったのだが、寛平は休まる場所があるだけでもありがたかった。
アレックスから許しをもらった寛平は、再びフランに連れられて部屋に戻った。
「さてと…」
部屋に戻るなり、フランが寛平のほうへ振り向いた。
「カンペイさん、一つお願いがあるんだけど…」
「なんだい?」
「前にいた世界のこと、詳しく教えてくれないかしら?」
フランは興味津々で寛平に聞いたが、寛平はその質問を聞いた瞬間、目の色を変えた。
「あ…ごめんなさい…」
寛平の目の色が変わったことに、フランはすぐに謝った。ただ、寛平はその事に気づいてなかった。
「え?どうしたの?」
「あ、うん…なんか、寂しげな顔していたから…」
「そうだったか?まぁ…俺が生きた時代はいいものではなかったからな…」
「そうなの…」
寛平の寂しげな声に、フランはかなり申し訳なさそうにしていた。
「とりあえず、今日はいろいろお疲れでしょう?お休みになられてください」
フランの案内で、寛平は用意された場所へと向かった。
図書館みたいなフランの部屋にはいくつもの隠し部屋があるらしく、そのうちのいくつかがベッドが備わっている部屋だという。元々はゲストルームとして子供心をくすぐる仕様にさせたのが発端らしいが、結局使われることなく、フランのものになっているという。
「ここを使って」
と、フランに案内されたのはいろんな武器が置いてある部屋だった。
「すごいな…剣に弓矢…槍なんてのも…」
「実はここ、私の部屋なのよね」
「え!?」
寛平は驚きを隠せなかった。
「ここにあるものは父が実際に使っていたやつなんだよね…」
「な、なるほど…」
寛平はなぜそんな物騒なものが部屋にあるのか疑問に思ったが、あえて突っ込まないことにした。
「それで、俺は下で寝たほうがいいのかな?」
急に寛平がそう言った理由が、部屋の中のベッドが1つしかなかったからだ。やはり王家であるから、ベッドはキングサイズでフランだけでは有り余るくらいであるが、さすがに女子と一緒に入るのは駄目であると寛平は思っている。
「どこでも寝ていいわよ。私は別の部屋で寝るから」
フランがそう言ったので、寛平は思わずほっとした。
「それとも、私と一緒に寝たかったの?」
「いや、ここ君の部屋だって」
「確かに私の部屋だけど、別にここじゃなくてもいいのよ。ここをよく使うのは、母との思い入れがあるからなの」
「思い入れ?」
「うん…」
寛平はその事について聞こうとしたが、自分の過去や前にいた世界についてすら話していないので、やはりここも突っ込むのはやめにした。
「…そろそろご飯の時間ね…ちょっと待っててね。召使いの人に食事持ってきてもらうから」
ちょうど夕時になっていたので、フランは召使の人に食事を持ってくるよう言うために部屋を出て行った。
「…別に要らんけどな…」
寛平はそういうと、バッグから乾パンと肉の缶詰を取り出した。
寛平が持っていた携帯口糧である。この世界に飛ばされた時も何日分か持っていた寛平は、この携帯口糧で食事を済ませようとした。
しかし…
「…ちょっと!何してるの!?」
召使に言ってきたフランが戻ってきたのだ。
「ん?これで飯を済ませようと思ってたんだが」
「でも、それ足りないでしょ!」
「戦争の時はこれくらいで十分」
「戦争って…あなた、何言ってるの!」
フランは怒って寛平に詰め寄った。
「ねぇ…あなた、何者なの!?グラディウス王国のスパイでしょ!?」
「だから俺は知らん」
寛平はそう言って携帯口糧を黙々と食べ続けた。
寛平がそれを食べ終えると同時に、夕食が届いた。
「ありがとう、持ってきてくれて」
「いえ、どういたしまして」
フランは召使が持ってきてくれた食事が入ったカートを、寛平がいる部屋に持ってきた。
「全く…これ、一緒に食べて」
と、フランがカートにかぶさっている蓋を開けると、豪華な食事が並んでいた。
「これ、1人前分だけしかないけど、一緒に食べましょ」
フランはそう言って、一緒に食べるように言うが…
「それはお前のもんだろ。軍人には似合わねぇ」
寛平はそう言って拒否した。
「…もう…」
フランはこれ以上は聞かないと思い、この先は何も言わなかった。
それでもフランは寛平を気にかけるように見ていた。
一方の寛平はそんなことには気づかず、ベランダに出て外を見た。
そこにはキラキラと光る街並みが見えていた。
(…松明の明かりだろうけど…きれいだな…こんな景色…見たかった…)
寛平は故郷である大都市と、目に見えている街並みを重ねながら、故郷が無事であると願ったのだった…
いかがでしたでしょうか?
この小説を気に入ってくだされば、ぜひとも評価等よろしくお願いします。
マイペース更新ではございますが、この小説に関してはどんどん出していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
では、次回お会いしましょう!