第一話:悪魔出現
午前0時
とある搭の頂上に
2つの影有り
「人間界か…。邪悪な臭いが満ち溢れてるな。」
【あいつら弱ぇのに憑くの得意だからな。】
「なんにせよ、俺等の任務は人間界の全悪魔の回収・迎撃だ。」
【こりゃあ大仕事になるぜ−…。弱ぇ奴がうじゃうじゃいやがる。俺は弱い奴を殺るのは嫌いなんだよ…】
「そんな事言ってられるか。命令だ。」
【わ−ってるよ。ったく、たりぃ−】
「それからお前は姿変えろ。そんな姿だと人目につきやすい。一発で他の連中にばれる。」
【なら指輪にでもなるか】
「そうしろ。」
一瞬眩しく光が搭の頂上を包み込み、ゆっくりと消えていった。
ピピピ…ピピピ…
目覚まし時計が鳴っている。
あ、そっかあ−今日から新しい学校に転入するんだっけ−?
「ふわあ−ぁ」
大きな欠伸をして、ゆっくりと起き上がる。
「新しい学校嫌だなあ…」
ただでさえ人見知りが激しいのに、誰も知らない学校になんて行きたくないよ。
そう思いつつも支度をして
一階に降りた。
「おはようございます。」
「あ、風花ちゃん、おはよ。」
この人は私の里親である星野夕美さん。
私はなぜか十歳以降の記憶がない。十歳の時に夕美さんに引き取られて、今まで育ててもらってる。
「今日から新しい学校ね!どう?楽しみ?」
お皿に卵焼きをのせながら夕美さんは笑顔で聞いた。
「…あんまし…」
極度の不安から私は少しテンションが下がってた。
「まあ、緊張するのは無理ないけど、風花ちゃんなら上手くやっていけるわよ!」
食べなさいと皿を指された
パンをほうばりながら
「…がんばりまふ…。」
とは言ったもの頑張れる気がしなかった。
ご飯を食べてたら出校時間になり、夕美さんが
「ファイト!!」
っと勇気つけてくれたのをあとにし、私は学校へと急いだ。
「…ここかなあ?うん、ここだ黒翼学園。」
入学手続きの時にもらった紙を見ながら私は一人で納得し、校門をくぐった。
私は一先ず職員室に向かった。
コンコン…
「失礼します…」
職員室のドアをそっと開けた。
「なんだお前。どの先生に用だ。」
ドアから一番近い席に座っていた先生が話しかけてきた。
しかも、スーツは着崩され、タバコを吸っている。チンピラみたい…
「あ、あの、今日からこの学校に転入することになった、星野風花と言います。校長先生はどこにいますか?」
これだけでも心臓がばくばくしてるしっ
「あぁ!?転入生だあ!?んなこと校長言ってたかあ?」
若干きれぎみに隣にいる先生に聞くチンピラ先生。
「あぁ、それなら昨日言ってたじゃないか。星野さん、こっちにおいで。」
優しそうな若い男の先生が微笑みながら私を校長室まで招いてくれた。
「ああ、星野さんですね。黒翼学園にようこそ。冴島先生、あとは頼みましたよ。」
「わかりました。」
冴島先生と呼ばれた優しそうな先生は私にむかって爽やかスマイルをしながら
「星野さんは今日から2年B組のクラスでやってもらいます。担任は榊先生です。」
と冴島先生が手を指したのはさっきのチンピラ先生だった。
「え、榊先生…?冴島先生ではないんですか?」
担任なら冴島先生の方がずっと優しそうでいい。
「すみません。僕は三年A組の担任なので。でも困ったことがあればいつでも相談にきてくださいね。」
そういって私を榊先生の所に連れていき、
「榊先生、星野さんは榊先生のクラスなので、よろしくお願いしますね。」
「はあ!?俺のクラスなわけ?…めんどくせぇなあ」
そう言って榊先生はタバコを消して教科書やらを持って立って
「おら、星野ついてこい」
本当にめんどくさそうに私をクラスまで案内した。
「おら、てめ−ら静かにしろ。」
榊先生が入ってきて、うるさかったクラスが一気にシーンとなった。
この人、見た目チンピラだから生徒は従順なのかなあ…。
「今日からこのクラスに転校してきた奴がいる。おら、入れよ」
手でひょいひょいとやられ、私はおずおず教室に入る。
「星野風花だ。まあ、仲良くしてやれ。」
「よろしくお願いします。」
ぺこりと頭を下げ、私はクラスを見回した。
「へぇ−!結構可愛くね?」
「この時期に転校とか珍しいよね−」
「はいは−い。星野さんは彼氏いますかあ−?」
そんなガヤが一気に出てきて、私は思わず笑ってしまった。
「なら星野は藤堂の隣な」
榊先生に窓際の空いてる席を指差され、私はその席に向かった。
「あの…隣よろしくお願いします」
隣に座っていた男の子に話しかけると
「…ああ。」
と素っ気なく返された。この人はあまり喋らないタイプなんだな…。
「星野、お前今日は教科書藤堂に見せてもらえ!以上、一時間目の用意をしろ。」
ホームルームが終わった瞬間、私はいろんな人に囲まれた。
「ねえ、星野さんいままでどこにいたの−?」
「風花って呼んでいい?」
「彼氏、彼氏は?」
そんな質問に一つ一つ答えてたら一時間目のチャイムが鳴った。
「あの…藤堂君、教科書見せてもらえますか?」
おずおず聞いたら藤堂君は机をくっつけ真ん中に教科書を置いて反対側を向いて寝てしまった。
…なんだかやだなあ。
そんなかんなで四時間目まで過ぎていった。
お昼休みになった。
私はまた質問攻めにあったが、じはらくしてらちがあかないと思い、
「屋上行ってみたいから行ってくるね」
と言い残し、教室をあとにした。
トントントン…
屋上への階段を上ってると、扉が少し開いてて、中から人の声がした。
「…だから、準備しとけ」
藤堂君…?
背中しか見えないからわからないが、あれは藤堂君だ。
でも屋上で一人で何してるんだろ…
扉のかげからこっそり見て、藤堂君を観察した。
…指輪に話しかけてる?
見間違いかと思ったが藤堂君は左手にしてある指輪を顔の前に持ってきて、それを見ながら何か言ってる。
「あの感じだとAランク以上だ。」
なんの話しかはさっぱりわからないけれど。
私は屋上をあとにし、教室に帰った。
午後の授業も終わり、私は一人で通学路を帰っていた。
はあ…まあ、そこまで嫌な1日にはならなかったけど、藤堂君は屋上で何してたんだろ…?
そんな事を考えながら歩いていたら、前からきた人とぶつかってしまった。
「いて…」
「あ、すみません!ぼ−っとしてて」
私がぶつかったのは綺麗な顔の青年だった。
「あの、お怪我は…」
「あ−…ひじすりむいた。」
とぶっきらぼうに言い、すった右腕を私に見せた。
「す、すみません!!」
焦る私は急いでハンカチを出し、その人の血をふいた。
「本当にすみません…」
項垂れる私にその人はフッと笑って
「いいよいいよ。変わりに君の魂をくれれば。」
「…え?」
そういう男の人の目は赤く見開いていた。
「きゃあっ」
急に腕をつかまれ、なめられた。
「な、何を…!?」
混乱している私は必死で腕を離そうとするが、男の人の力が強すぎて振り払えない。
「いいねぇ君…。Aランク以上の臭いをしてる…。」
Aランク…?
藤堂君もそんな事言ってたなと思いながら私は無理矢理暗くて狭い路地に連れ込まれた。
「は、離してください!!」
もう涙声になりながら私は必死で抵抗した。
「こんな素晴らしい獲物逃がすわけね−だろ。」
そういって、その男の人の体が変化していった。
「え…?」
バキバキ
そんな気味の悪い音をたてながらその人は肌の色が黒くなり、耳がとがって、背中に黒い翼がはえ、歯は鋭くとがり、手足の爪はのび、長い舌をだしながら
「試食ターイム」
と言い襲ってきた
「いやああああああ!!」
恐怖でぎゅっと目を閉じた。
…あれ?何もない…?
そーっと目をあけると、そこには化け物が振り下ろした長い爪に剣をあてている男の子がいた。
「…藤堂君…?」
それは紛れもなく藤堂君だった。
「ったく、雑魚が…」
そういって剣を押して化け物を押し退けると、藤堂は自分の指を切って、そこから出てきた血で地面に何か模様を書いた。
「これって…魔方陣?」
サイトとかアニメで一度は見たことがある魔方陣のようなものを書いた藤堂君は何か呪文のようなものを唱えて、両手を魔方陣に押し付けた。
すると、その魔方陣が光り、そこにはもう一匹の化け物が現れた。でも、私を襲った奴とは違い、翼がでかく、肌の色が真っ黒だ。
「ルシファー、殺れ」
【わ−ってるっての。】
ルシファーと呼ばれた化け物が化け物に襲いかかる。
「お前、なぜ人間側に…!?人間と契約を結んだのか!?」
【だったらわり−か。】
ふいと言いルシファーは爪で化け物をひっかいた。
「うぐあぁぁぁぁぁ!!」
あっけなく、その化け物はバリンッと音をたてて消えていった。
「…大丈夫か?」
そういって腰の抜けた私に手を差しのべた。
「あ、はい…。今のは…?」
おこしてもらいながら、私は今あった出来事をさっそく聞いた。
「あれは悪魔だ。」
「…悪魔?」
【嬢ちゃん、そんな旨そうな臭い出しながらも今まで悪魔(俺等)に会ったことね−のか?】
「え?は、はい…」
悪魔に話しかけられ、しかも嬢ちゃんって…
「てめぇは指輪に戻れ」
そう言って睨む藤堂君にやれやれと肩をすくめながら、ルシファーは指輪に戻った。
「あなたは何者なんですか?」
「…魔術師だ。」
「魔術師…?」
そんなものがいるのかと驚きを顔に表してしまったのか、藤堂君は
「信じなくていい。」
とちょっと不機嫌になった感じで、さっさといってしまう
「待って!藤堂君!」
私は走って藤堂君の袖をつかみ、
「魔術師のことや悪魔のこと教えてくれない?あと、私がAランクってどういうこと?」
私は疑問に思ったことを全て藤堂君に一気に聞いた。
「そんな一気に答えられない…」
藤堂君はめんどくさそうに顔を背けた。
「あ、えと…」
私が戸惑っていたら
「明日、暇なら話すけど」
と藤堂君は私を真っ直ぐみて言った。明日は休みだし、特に用事もなかったから
「明日は暇だよ?」
とせがむように言った
「なら、明日話す…」
と藤堂君はメアドを教え、帰っていった。