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66話 主人公、ドラゴンに会うー2

 


「ドラゴンは、エレメンテ最強の存在だ。ドラゴンに勝てるのは、ドラゴンしかいない。ドラゴノイドも強いぞ。どれだけドラゴンの血が発現したかによって、強さが変わるけど。だが、強いドラゴノイドでも、ドラゴンには絶対勝てない。ドラゴンとは、そういう存在なんだ!」

 ソラはそう断言する。


「僕が、そのエレメンテ最強のドラゴン?」

 強いという実感がない僕は、疑問に思う。


「タクミは、35歳だな?僕から見たら、まだまだ幼い子供だよ。だが、これから強くなると思うぞ!タクミは力の使い方が分かっていないだけだ。」


「力の使い方?」


「おっ、そうだ!ひとつの遺跡を攻略するごとに、力の使い方も教えてやることにしよう!」


「えっ?教えてくれるの?じゃあ、ぜひお願い!」


 僕は、このエレメンテでしか生きられないとセシルさまに言われてから、ずっと考えていた。


 ドラゴンにしか出来ないことがあるなら、それを会得したいと。


 この世界では、みんな、自分の好きな仕事をしている。

 ガルシア様は、そのうちしたいっていう仕事が見つかるさ、と言ってくれたけど、アースでの仕事は、死にたいくらいに悩んで、結局辞めることになった。上手く働くことができなかった僕は、次こそ、コレだ!っていう仕事をしたいと思う。


 今度こそ、じっくり考えて、僕にしか出来ないことがあるなら、それを仕事にしたい。


 でも、ドラゴンにしか出来ないことが何なのか分からない。だから、それを教えて欲しかったのだ。


「そうだなぁ。ドラゴンの能力はいっぱいあるぞ!だけど、今のタクミにできることは、すべてを見通すドラゴンの瞳と高い身体防御能力だな?他の能力は、徐々に覚えていくしかないぞ!」


「今の僕でも何かできることはある?」


「タクミは、ドラゴンの瞳を上手く使えている。その能力を伸ばすことなら、すぐできると思うぞ。この遺跡にあった僕のメッセージを、見破っていただろ?あれは、ドラゴノイドでは見破れない。」


「あぁ、あの文字はソラが書いたの?」


「ここは、元々、僕の遊び場として、作ったんだ!」


「遊び場?」


「そうだぞ!楽しかっただろ?」


「いやいや、難易度が高過ぎだよ!あのガーディアンの部屋とかは、ソラが書いた文字が無かったら、危なかったよ!」と、僕が訴える。


 すると、「この世界の住人も弱くなったな」と、ソラがつまらなさそうにつぶやく。


「この世界には、もう戦争はないらしいからね。戦闘能力は必要ないんじゃないかな?」


「うわー、そんな世界、ツマラナイぞ!セシルのヤツは、そんなつまらない世界を作ったのか?」


 平和な世界をつまらないっていうなんて!ソラは思ったより、危険なドラゴンなのかもしれない。


「あっ、でも。ガンガルシア王国では、力がすべて!って考えみたいだよ。この遺跡もガンガルシア王国にあれば、良かったのにね。」


「なに?そうなのか!じゃあ、そっちに引っ越すかな!」


 引っ越す?ソラは何でもないことのように言う。


「この遺跡の2階層目より下は、僕が後から作った空間なんだ。だから僕が望めば、どこにでも移設することができるんだぞ!」


「そうなの?すごいんだね。」

 ドラゴンって、そんなこともできるんだ。それとも、ソラがすごいってことなんだろうか?


 それより、肝心なことを聞いてなかった!


「そういえば、いまここで僕と話しているソラは本体なの?姿が透けてるけど?」


「そうか。僕がタクミの記憶を、一方的に覗いただけだったな。僕のことは、全然わからない?ドラゴンの瞳をもっと上手く使いこなせたら、相手の記憶ものぞけるようになるぞ!」とソラは言う。


 そんなこともできるの?

 ドラゴンって、なんでも有りなのか?


「タクミの言う通り、この姿は本体じゃない。本体は別の所にいる。タクミ!僕の中心をドラゴンの瞳で良く見てみるんだ。」


 僕は、ソラに言われた通り、ソラの身体の中心を見る。


 んっ?なんだか透明の球が浮いてる?


「見えたか?それがいま目の前にいる僕の正体だ。その球には、本体の記憶と力を移してある。まぁ、今の僕は本体の分身ってところかな。この部屋に誰かが入ってきたら、起動するようになってるんだ。分身と言っても、本体を元にした思考能力もあるからね!タクミが前にいた世界にある、人工知能AIの進化版だぞ!」


「へぇ!すごい技術だね。」

 僕は素直に感心する。そしてソラなら、いろいろなことを教えてくれるに違いないと強く思う。


「まぁ、僕のことも、遺跡を攻略する度に教えることにしよう。だから、頑張って攻略するんだぞ!じゃあ、まずは、この遺跡を攻略出来たご褒美に、力の使い方を教えてやる。レッスン1だ!」


 はい!よろしくお願いします!

 僕は心の中で、元気良く返事をした。





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