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46話 主人公、国の成り立ちを聞くー4

 


「7つの国以外の場所ってのが、よく分からないよね。」


「だから最初に、7つの国の国土の話をするよ。7つの国は、必ず一続きの陸地だ。大陸だったり、島だったりするだけどね。日本は、陸地が続いていない島と島が集まって、日本っていう国でしょ?」


「あぁ、本州、四国、九州、北海道は、確かに島同士だね。それに日本には、多くの小さな島があるね。」


「エレメンテでは、そういう小さな島は、どの国のものでもないんだ。そうだな。あえて言うなら、エレメンテに生きる全ての人や生き物のもの、かな。」


「紋章システムを放棄した人は、7つの国以外で好きに生きていいんだよ。どこかの島で、1人で自分の王国を作ってもいいし。だけど、1人しかいない王国の王様ってどうなんだろう?まぁ、本人が納得してれば、それは幸せなのかな。」


「でも、紋章システムみたいな便利なものを放棄して、そんな生活を選ぶ人って、本当にいるの?自給自足ってことは、原始的な生活ってことだろ?」

 僕は、素直な疑問を投げかける。


「紋章システムがイヤだって言うんだから、仕方ないよね。だから、ファミリアでは、自給自足の生活をさせてるんだよ。紋章システムが無くても生きていけるように。」


 子供達に自給自足の生活をさせてるのは、そういう理由もあったのか!紋章システムに慣れさせて、人を堕落させる事も出来るのにな。お金のある世界だったら、確実にそうするよな。紋章システムの無い世界は考えられないようにして、全人類が紋章システムを買うように仕向ける。開発者は、ボロ儲けだ。ここがお金の無い世界で良かったよ。ホント。


「結局、国民になるってことは、国から提供されているものを受け入れるってことなんだよ。日本で言うなら、日本国憲法とか、日本の文化とか、だね。僕達は日本、大好きだよ。コスプレとかいっぱい出来るし!」


 日本が好きな理由は、そこなの?さすが、セーラー服が似合うシオンだ。言うことが、違うな。僕は半ば呆れ顔で、シオンを見る。


「その国で提供されてるものがイヤなら、出ていけばいいんだよ。アースでもいるでしょ?他国に移住する人。万人が満足するシステムなんて、無理だよ。どうしても、それがイヤだっていう少数が現れる。紋章システムがイヤで、出て行く人の中には、精霊に監視されてるようでイヤだ、と言って出て行く者もいる。」


「確かに、精霊は捕縛機能もあるからね。行動を制限されてるって感じる人もいるかも。でも、集団で生きるためには、捕縛機能は絶対必要なんだよ。一生、善人でいる人なんて、いないんだから。」


「魔が差すって言葉が日本にあるよね。これって、人というものをすごく的確に表現した言葉だよね。」


「誰しも悪魔に魅入られたように悪いことをしてしまう時がある。世界に一人しかいないなら、そんな時があってもいいよ。でも、周りに他の人がいる世界で、魔が差した人がいたら?巻き込まれた他人は、迷惑だよね。」


 そうだな。日本でも、通り魔事件が何年か毎に起こっていた。巻き込まれた人は、運が悪いじゃ済まないよ!ホント迷惑だ!


「エレメンテで紋章を持つ者は、決してこんな事件をおこさない。精霊が止めてくれるからね。でもその中に、精霊を持たない人物がいたとしたら?そして、その人に、魔が差す時があったとしたら?」


「困ります!」って、もしかして、それは僕の事か!


「「そうです!!タクミのことです!!」」

 双子は、綺麗にハモる。


「だから、そういう人には仕える者が必要なんだよ。精霊の代わりをする者、つまり、タクミが道を踏み外した時に修正する人がね。」


「で、それが僕達ってこと。セシルさまに頼まれたからね。ちゃんと守ってあげるよ。」


「タクミが欲求不満で女性を襲いそうになったら、殴って止めてあげるよ!」


 僕はそんな事しないよ!!!

 僕のこと、なんだと思ってるんだよ!そりゃ、モテたことはないけど!


「だから、僕達から離れて生活することは出来ないよ。不便かもしれないけど、慣れるしかないからね。」


「大丈夫だよ。75年前の人も最後は原因が分かって、紋章を授かることができたんだから。」


 そうか、紋章システムっていう制度を維持するためには、僕みたいな存在は気をつけなくてはいけないんだな。周りの皆さんに迷惑をかけないように、頑張ろう。リオンとシオンには、お世話になるけど、原因が分かるまでは望みを捨てないでおこう。


「7つの国の成り立ちと呪われし者の基本的な説明は以上です!だいたい理解できたかな?」


「ということで、このエレメンテには戦争もありません!国と国が争う必要がないので。」


「そう、そもそも、王様にはそんな権力ありません!ただ王宮でゴロゴロしてるだけの存在だからね。」


 それは、セシルさまだけだよね!と僕は心の中で、ツッコンだのだった。




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