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42話 主人公、呼び出される

 


 その日の夜、僕はみんなが集まる部屋に呼び出されていた。


「まさかタクミさんが、呪われし者だったなんて…。はっ!もしかして、先祖返りのドラゴンだということが関係しているのでは?」


 トールが僕のことを、さん付けで呼んでいる。気を付けてくださいねって言ってた本人なのに。僕が呪われし者ってことは、そんなに驚くことなんだろうか?紋章システムが使えない存在ってことだよね。紋章システムのような便利なものが使えないのは残念だけど、アースではそれが当たり前だったし、そこまで困らないけどな。


「確かに、紋章システムが出来てから、ドラゴンに紋章を授けた例はないのぅ。」と、セシルが答える。


「いや、それより。グールにかなり深くまで取り憑かれてたことが原因かも!」リオンが言う。

「陽子のように、グールの一部が、タクミの中に残っているとか?それが原因で、上手く紋章が授かれなかっただけじゃない?」シオンが、そう口にする。


「まぁ、ドラゴンですからね。ドラゴンは非常識と昔から決まっていますし。」エルが冷たく言い放つ。


 エルの言葉はいつものように、酷い!が、ドラゴンのことをよく知ってるような言い方をしているのが、気になる。エルはもしかしたら、ドラゴンと会ったことがあるのかな?


「でも。呪われし者って分かっちゃったんだから、仕方ないわよねぇ。ドラゴンちゃんには、色々と教えていくしかないと思うわぁ。」イリスが、のんびりと発言する。


「まさかタクミが、王以外の呪われし者だったなんて!信じられないよ!同じような存在が確認されたのは、75年以上も前だったはず。」と、ライルが心配してくれている。


「確かあの時は、誰もが無理だと思っておったが、唯一、フラルアルド王国で紋章を授かる事ができたのぅ。」と、セシルが答える。


「そっ、そうですね。まだ呪われし者だと確定した訳じゃないです。原因が分かれば、精霊の加護が得られる可能性はあります!タクミさんは、貴重な先祖返りなんですから!」と、トールが熱く語る。


 前から薄々分かってたけど、トールは僕のこと、貴重な標本か何かのように思ってるよね?アースにいる時も、いろいろな実験されたし。まさか!モルモットだと思ってるとか?!


「まぁ、それでも原因が分かるまでは、このままという訳にはいかぬのぅ。」

 セシルはそう言って、それぞれの顔を見る。そして、「リオン、シオン。お主達に任せたいと思うが、どうじゃ?」と、双子に聞く。


 双子はお互いの顔を見ると、綺麗にハモッて、「「りょーかい!!」」と元気良く返事をする。


「タクミは、なんだか弟のように思えてきたし、仕方ないから守ってあげるよ。」と、リオン。

「教えがいのある弟子ができたと思って、いろいろなことを叩き込んであげるよ。」と、シオン。


 僕がよく分からないままに、話が進んでいってますけど、誰か説明してくださいよ!


 そんな僕の感情に気づいてくれたのか、セシルが説明してくれる。


「田中よ。良いか?呪われし者は、紋章システムが使えない。だから必ず、仕える者が必要なのじゃ。一人になることはせず、必ずリオンかシオンといるようにしなければならないのじゃ。できるか?」


「あっ、はい。リオンとシオンが、それで良いって言ってくれるなら、僕は大丈夫ですけど。」


「そうか。では、これを与えておこう。」


 セシルが、僕の手首に紐のような何かを巻きつける。が、すぐに見えなくなった。


「なんですか?これは?」


「田中に分かりやすく言うと、結界発生装置じゃよ。これで何かあっても、お主の周りには必ず結界が発生する。これで安心じゃな。」


「はい、ありがとうございます。」

 僕は素直にそう答える。


 でも、僕はドラゴンだから、かなりの身体防御能力あるって言ってましたよね?結界とか必要ないんじゃ?

 まぁ、きっとセシルさまは心配して、これをくれたんだよな。人の好意はありがたく貰っておこう。


「では、田中を頼んだぞ。リオン、シオン。部屋へ戻って、これからのことを田中に話してやってほしい。」


 セシルにそう言われて、僕達は自分達の部屋へと戻ったのだった。






 タクミがいなくなった部屋では、王達が苦悩していた。


「セシルぅ。ちゃんと言わなくて良かったの?」


「イリス様、タクミさんが呪われし者だと、まだ確定した訳ではないですし。セシルねえさまも、いろいろと考えているかと。」


「でもぉ、そのためにリオンとシオンと付けたのでしょ?あの二人じゃ、ちょっと武力不足だと思うけどぉ。」


「分かっておる。だから防御結界装置を渡したのじゃ。何かあった時は、アレが自動的にタクミを閉じ込めるじゃろう。」


「でもぉ、やっぱり。ちゃんと話した方がいいと思うわよ。」


「うむ、分かっておる。そのうち、我から田中に、ちゃんと話そうと思う。」

 そう話すセシルの顔は、とても哀しそうだった。




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