重大発表がありました
ある日、俺は空の家に呼び出された。
卒業のサプライズの相談だろうかとも思ったが、呼び出し人は空ではなかったのだ。
空の父、君清さんだった。
母さん経由で伝えられたのだが。
不安しかない。空から来るならまだしも、内容がわからないから、空に知らず知らずに何かしたのか不安になる。
俺は足取りが重い足をなんとか動かし、空の家に向かっていた。
空の家にいくと、黒塗りのハイヤーが止まっている。俺の姿を見た運転手さんは、乗れと言わんばかりに後方を指を指す。
俺は、その車に乗った。すると、車は走り出す。
……静かな車内。向かっている目的地はどこだろうか。
「あ、あの、目的地はどこですか」
と、聞いてみるも、運転手さんは何も言わない。
無言の空間。それが、一番怖かった。
これから何があるのか俺はわからない。何も伝えられていないし、何も伝えられようとしていない。
外の景色は札幌の景色のままだ。あ、時計台が見えた。
……で、どこに向かっているのだろう。
「…………おめでとう、ございます」
と、小さく運転手さんが述べると、車が止まった。
どうやら、目的地についたらしい。ホテル。でかいホテルだった。
「目的地になります。ロビーで、君清様がお待ちになっておりますので」
ドアが開いた。
俺は車から降りると車がまた走り出す。
俺は、緊張している。
何を言われるのかわからない。別れろとか言われたりするのだろうか。
俺は、そう思いながら、ホテルに入っていった。
ホテルのロビー。行くとそこには君清さんと、笑顔にスーツを着た空がいた。
仕事終わりなのだろうか。
というか、なんで呼び出されたのだろう。
「久太くん。学校ぶりだね」
「よく来てくれたね。久太くん」
「は、はあ。で、俺なんで呼び出されたんですか?」
「それはじきにわかるさ。さ、着替えるためにまずは更衣室に行こうか。今日は四之宮さんの娘さんが卒業するってことでパーティが開かれているんだ」
と、言う。
なるほど、少しは面識のある俺も誘ったのだろうか。そう言うことにしておこう。
俺は、君清さんに連れられて、更衣室に向かう。
スーツ、ではなくタキシードに着替えさせられた。
タキシードを着て、会場に向かう。
会場は、シャンパンやいろんな酒、そして子供用のジュースもあるのが見える。
……って、ここ、ステージ?
俺はなぜかステージに立たされていた。
隣には君清さんと、空がいる。
そして、なんだろう。この空気。
「皆、よく聞いてくれ!」
と、君清さんが話し始めた。
「重大発表がある」
そう前置いて話し始めた。
なにを話すのかはさっぱり見当つかない。俺は君清さんの会社については知らないから。
なにが始まるのだろう。
「私の娘、空に彼氏が出来たことは知っているだろう?」
ああ、俺のことですね。
「その彼氏である小鳥遊 久太くんに、私の会社の後継人となってもらう!」
……はい?




